アナゴ釣りに出かけたものの、北西の暴風＆大シケで釣りにならず。仕方なく、穏やかな河口内にてハゼ釣りを楽しんだ前回。これはこれで楽しい釣りでしたが、アナゴは釣っておきたいところです。何と言いますか、「今日は寿司を食うぞ！」と出かけたものの、目当ての寿司店はお休み。代わりに焼肉を食べて満足はしたものの、やっぱり寿司も食いたいという、あの感覚といったところでしょうか。

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ということで、改めてアナゴ狙いで、愛知県常滑市にあります〝りんくう釣り護岸〟に釣行。ところが、到着してみると、吹き付ける北西の風が思いのほか強く、海もだいぶ荒れ模様です。

少しでも波の弱そうな所をと、広い護岸を歩いてみますが状況はどこも変わらず。好シーズンには大盛況となる人気釣り場も、平日の夜、ましてやこの荒れ模様ですから、およそ1キロ弱の広い護岸に釣り人は1人もおりません。ザバザバと波立つ海面をしばらく眺め、「まあ、なんとかギリギリ釣りにはなるだろう…」と護岸の中ほどに荷物を下ろして準備に取りかかることにしました。

投げ竿を2本、それに市販のシロギス仕掛けを付け（ここのアナゴはアベレージが小さめなので）、エサのアオイソメをハリに掛けて適当に投入。向かい風ということもあり、50メートルほど沖にボシャンと着水した仕掛けはすぐに着底。全体的に浅いのも、この釣り場の特徴です。この浅さと荒れ模様でアナゴが底に潜り込んでいなければよいが…と少し不安になりつつ2本の仕掛けを投げ終え、竿先に発光体を付けてアタリを待ちます。

と、不安を打ち消すようにほどなく竿先の発光体がミミンッと揺れました。風の揺れとは明らかに違う揺れに、竿を手に取り巻き上げると仕掛けに掛かっていたのは30センチほどのマアナゴです。「メソ」と呼ばれる小型ですが、このサイズのアナゴもまた旨いもの。荒れ模様への不安も掻き消してくれる嬉しい1尾です。

荒れ模様ながら本命好調♪

エサを付け替えて再び投入。竿を置きつつ隣の竿を見ると、こちらもミミンッで同サイズのアナゴを追加。ここからは飽きない程度にポツポツとアタリがあり、どれも人差し指ほどのメソサイズですが、順調にアナゴがヒット。さすがアナゴの魚影が濃い伊勢湾、このシケの中でも食いは活発なようです。

吹き付ける北西風は、なかなかにヘビーなものがありますが、護岸に座り込んでアタリを待つ間に対岸を見やれば、中部国際空港に離着陸をする飛行機や、長い鉄橋を渡る名鉄電車の明かりなど、夜のジオラマの中にいるような、なんともよい雰囲気です。

この頃より北西風がさらに強く吹き付けるようになり、あまりの寒さに仕掛けを投げ入れてから一旦避難することに。避難先は釣り場の裏手にある〝常滑温泉マーゴの湯〟。炭酸泉や硫黄泉、広い露天風呂で冷えきった身体を温めて、しばしのリラックスタイム。冬は、近くに入浴施設のある釣り場は本当に助かります。

あまり長湯をすると寒い釣り場に戻るのが嫌になるので、ほどよく温まってから釣り場に帰還。放置していた竿を上げてみると1本の竿にはアナゴが、そしてもう1本は仕掛けがグチャグチャに絡まっていました。どうやら掛かっていたアナゴが自力で逃げたようです。やはり、ちゃんと見ていないとイカンですな。ともあれ、これで10本ほどのアナゴが確保できたこともあり、湯冷めをせぬうちに竿を畳むことにします。

帰宅後は、釣りたてのアナゴを開いて白焼きと天ぷらで晩酌です。ウナギ同様、アナゴも活魚と死んでしまった魚では値段に大きな差があるように、釣りたてだけあってどちらも一切の臭みがなく極めて美味。小型のメソゆえ脂乗りはいまひとつながらも、アナゴの甘味にも似た風味はしっかりと感じられ、何より小骨が全く当たらないので食感よくサクサクといただけます。

冬場の釣り物の少ない時期でも港湾部で手軽に楽しめるアナゴ釣り。防寒対策をしっかりと施して、皆さまもぜひお出かけなさってはいかがでしょうか。

三橋雅彦（みつはしまさひこ） 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。