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北海道で偶然出会った松山千春さんとさだまさしさん~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七
島田洋七 (C)週刊実話Web

昔、北海道・札幌に仕事で行ったんです。同じ日、たけしも札幌で仕事があり、終わる時間が同じだったので、待ち合わせて飲みに出かけたんですよ。

たけしと2人ですすきのを歩いていると、松山千春さんらと遭遇し一緒にクラブへ行くことになった。たけしと松山さんがしゃべっている間、俺は松山さんの連れの同級生のような方と話していたんです。


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しばらくすると、たけしが俺の耳元で「お前の向かいにいる人を誰か知らないのか?」とささやくから、「松山さんの同級生じゃないの?」と返すと、「違うよ。さだまさしさんだよ」。俺はたけしに言われて、初めてさださんだと気づいたんですよ。まさか売れっ子歌手の2人が街を歩いているとは思わないでしょ。

昔の歌番組では、歌手はジャケットに蝶ネクタイ姿で歌っていた。でも、目の前にいるさださんはジーパンにトレーナー姿。テレビのイメージと違ったんです。おまけに、松山さんのことを「千春」と呼び捨てにしていたから、てっきり地元の同級生だと勘違いしていた。気を取り直し、最初からさださんだと分かっていたように取り繕って話していると、「今、気がついたでしょ(笑)。話がチグハグだと思っていたんだよね」とバレバレでしたね。

嫁を“愛人”と勘違いした松山さん

もう1軒、スナックへハシゴしボックス席に。店内には他にカップルが1組だけ。たけしに促されて、俺は『宗右衛門町ブルース』をカラオケで歌ったんです。4人で話していると、松山さんが「本当は演歌歌手になりたかったけど、こういう見た目だから演歌は似合わないと言われた」と諦めたそうです。そして「俺が歌います」と松山さんが『北の漁場』を熱唱。あまりの上手さにビックリしましたね。間近でコンサートを見ているようでした。

松山さんは店内にいたカップルを気遣い「僕らばかり歌ってすみません。歌ってください」とマイクを渡したんです。すると、さすがに彼氏が「こんな歌の後に歌えませんよ」と遠慮した。俺は先に歌っていて良かったと思いましたね。

続けて、さださんも歌った。そして、たけしに「自分も歌ったらどう? トリやで」とマイクを差し向けると「歌えるわけないだろ!」と拒否しましたね。

こういう出来事の後、俺の講演会が北海道の利尻島で開かれたことがあるんです。利尻島は滅多に行けないから、嫁さんがマネジャー代わりについて来た。行きの羽田空港、またも松山さんと遭遇したんですよ。

「洋七さん、ちょっといいですか?」と呼ばれ、「仕事に女連れですか?」、「いや、嫁やって」、「芸人さんは女性連れで地方の仕事へ行く人もいると聞きますよ」、「講演会に連れていくわけないやろ」。

翌日、千歳空港から戻ろうとしたら、またも松山さんに会ったんです。「上手くいきましたか?」、「だから嫁やねん」、「絶対に彼女でしょ」。仕方がないから嫁さんを紹介しましたよ。「洋七の家内です。お世話になっております」と挨拶すると、「本当に奥さんですか。昨日から彼女だと思っていました」。

やはり、芸人が女性と2人で歩いていると彼女だったり、愛人と思われるみたいですね。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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