歌手/桑田靖子インタビュー〜デビュー40周年・不作の83年組『お神セブン』ライブやりたいです!
昭和の歌謡界には、ビッグアイドルが大勢誕生した「花の82年組」に対して「不作の83年組」という呼び方がある。桑田靖子はその、83年組の1人。大手芸能事務所からデビューしたが、5年で退社。単身渡米したあと喉を壊すなどして〝引退〟するも、再起して今も音楽活動に専念している。2018年には同期の7人が集い『83年組アイドル〜不作と言われた私たち「お神セブン」と申します〜』というライブイベントが実現した。5年後の今年、その再現はあるのか? デビュー40周年となる桑田を直撃した。
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――森尾由美さん、大沢逸美さんらと行った「お神セブン」(大沢逸美・桑田靖子・小林千絵・徳丸純子・木元ゆうこ・森尾由美・松本明子)のライブはデビュー35周年記念でもありました。今年は区切りのいい40周年。行動制限もなくなり、ファンも第2回を待ち望んでいるのでは?
桑田 実は近々、みんなでお茶会をする予定があるんです。コロナでずっと会えなかったので、単なる女子会で終わってしまうかもしれないけど、そういう話が出るかもしれないですね。
――前回のイベントはすんなり運んだのでしょうか?
桑田 これが、ものすごく大変でした。それぞれが事務所に相談すると「ご自由にどうぞ」って。そう言われてしまうと、「え、どうする!?」となりますよね。アイドル時代はすべてお膳立てしてもらっていたから、一から制作する術が分からない。会場はどう決めるのか、台風が来たときのチケットの補償方法は? など、知らないことばかり。
――なるほど、そうなりますよね。
桑田 そこで活躍してくれたのが(森尾)由美ちゃん。それこそ、楽屋のお弁当の手配から予算管理まで、プロデューサーみたいに八面六臂でした。(松本)明子ちゃんも、いつの間にか電話して会場を押さえてくれたりと、みんなが徐々に同じ方向に向かっていけたんです。最終的にはそれぞれの事務所も援護射撃をしてくれて、なんとか成功できたのかなと思います。
デビューの翌年に“不作”を実感
――収支的にはどうだったんでしょう?桑田 ギリギリだったみたいですよ。儲けもなければ損もないという(笑)。正直、持ち出しも覚悟していましたから、そこは由美ちゃんの手腕だったと思います。準備段階で、その由美ちゃんが言ってました。「どんな形でもいいから、7人でステージに立てたら、それだけでもう成功だと思うよ」って。
――今年はデビュー40周年。第2回の「お神セブン」への思いはいかがでしょうか?
桑田 実現できたらいいですねぇ。もしもまた7人が同じステージに立てたら、不作と言われた私たちだけど、きっと今後の個々の活動を頑張っていけるんじゃないかと思えるんです。
――不作、不作といっても、後になって言われたことなんですよね?
桑田 いえ、デビューの翌年には実感していました。なにしろ花の82年組の人気がすごくてアイドル水泳大会ではメインで歌うのは82年組ばかり。私たち83年組は競技映像の隅っこの方で小さくワイプに入れられちゃうんです。そのうち84年デビューの荻野目洋子ちゃん、吉川晃司くんといった人たちが出てきて、私たちは〝ワイプ扱い〟のまんまで(笑)。
――事務所的には活動の幅を広げようと、バラエティー番組やMCの仕事も取るようになった。
桑田 でも、「歌いたい」という気持ちが強くて、わがままなこともしてしまいました。今思うと、もう少し大人の考え方ができていたら…とは思いますね。
――出演ボイコットをしたこともあるそうですね。
桑田 はい。『8時だョ!全員集合』(TBS系)の本番で楽屋にこもってしまい、出なかったことがあります。体操のコーナーで男性とペアを組み、それぞれの股間に頭を入れてクルクルと前転するように言われたんです。多感な時期だったし、見ている人にはエッチな想像をさせるようで、どうしても受け入れられなくて。楽屋が一緒だった1年先輩の松居直美ちゃんには「本当にいいの? 私たち、まだ仕事を選べないよ」と説得されたのですが…。
――『〜全員集合』の体操コーナーと言えば、昨年交通事故で亡くなった仲本工事さんですか?
桑田 お相手が誰だったかは覚えていないのですが、仲本さんはとても優しくて本当に良くしてくださいました。先ほどの前転は女子としてイヤだったんです。また、『〜全員集合』で言えば、前半のコントコーナーが終わり♪タッタラタッタの音楽とともにセットチェンジがされる中、マイクのコードを持ったスタッフさんと一緒に出てきて歌う…というのが子供の頃からの憧れでした。それをできたのはうれしかったですね。オープニングの♪えんや〜こらやとか。最もやりたかったコーラス隊は、既になくなっちゃってたんですけど…。
修学旅行での事件…
――桑田さんは、当時から歌のうまさには定評がありましたが、幼い見た目だったこともあり、容姿のことをイジられることも多かったそうですね。桑田 そうなんです。街中で「なんで(お前が)アイドルなんかやれるんだよ」とか(笑)。ひどいですよねぇ。なにくそーとは思いましたけど、実際、周りはかわいい子ばかりなのに、私はそういうタイプじゃなかったから仕方ないです。加えてデビュー曲の『脱・プラトニック』の売り出しのとき、レコードのサンプル盤がイラストで、顔を一切出してなかったんです。そのイラストが当時の美人マネジャーにそっくりで、行く先々で「こっちがデビューするんじゃないの?」と言われてました。15歳の少女を目の前にして、大人はよう言うなぁと思いましたけど。
――そもそも、デビューは『スター誕生!』(日本テレビ系)ではないんですよね? 82年組の中森明菜さん、小泉今日子さんなど、当時のアイドルはほとんどそこから出ていたのに。
桑田 私の場合は「全日本ヤング選抜スターは君だ!」(文化放送)というオーディションでした。地元のちびっこのど自慢によく出ていて、審査員の方から平尾昌晃先生の音楽教室を紹介されたんです。先輩には松田聖子さん、1つ後輩には森口博子ちゃんもいました。いくつかの事務所から声をかけていただいたのですが、母から「(憧れの)聖子ちゃんがいるサンミュージックからも話が来ている」と言われ、絶対にそこがいい! と祈ってました。後に聖子さんと一緒に仕事をさせていただくようになって、楽屋が同じこともあったんです。「おいで、おいで」と鏡の前に座らされてメイクをしていただいたことも。うれしかったです。
――サンミュージックの新人は伝統として、相澤秀禎社長(当時)の自宅に居候していた。翌84年にデビューする岡田有希子さんとも一緒だったんですよね?
桑田 1年間ほど一緒でした。ユッコとは堀越高校でも同じクラスで、本田美奈子.ちゃんや高部知子ちゃんも一緒。高校生活の一番の思い出は修学旅行ですね。私たち芸能コース(当時)は途中参加・途中帰京もあるので、行き先は国内を選びました。雑誌の記者の方も一緒に行動するんです。行く先々の見学場所でアイドルの子たちは写真を撮られて、キャンペーンとかが入ってる子は途中で抜けたりして。
――そこで事件があったんだとか?
桑田 北海道の旅館でお風呂から出ると、男子生徒がずらりと並んで正座させられていたんです。「どうしたの?」と聞いたら、「覗こうとしたのがバレた」って。覗けたの?と聞いたら「覗けなかった上に正座させられてる」って(笑)。ユッコをはじめアイドルがたくさんいたんだもの、覗きたくなる気持ちは分かりますよね!? 本当に楽しい思い出です。
◆くわたやすこ 1967年10月30日生まれ。福岡県出身。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)などバラエティーでも活躍。最近は中高年向けのファッションブランド「美susabi」をプロデュース。取材時の衣装も桑田がデザインしたものだ。アルバム『夢みるように生きましょう』が発売中。3月21日、東京・渋谷『JZ Brat Sound of Tokyo』 にて、デビュー40周年記念ライブを開催!
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