新型コロナウイルスの感染が急拡大している中国で、大パニックが起きている。中国政府が感染者数や死者数を公式にカウントしなくなったため実数は藪の中だが、1月13日に中国メディアの『経済観察網』は、約14億人の総人口のうちすでに6割余りが感染したとの情報を伝えた。
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また、マカオ大学と米ハーバード大学の研究者は昨年12月、いわゆる「ゼロコロナ政策」が撤廃され、行動制限など規制が大幅に緩和された時点で、約3カ月で総人口の9割近くが感染する可能性があると公表。計算通りなら2月中にも約12億7000人が感染することになり、半年で200万人以上が亡くなるとの予測もある。
1月下旬の「春節(旧正月)」を挟んだ大型連休には、延べ21億人が移動するとみられており、感染を重ねることで変異を繰り返す「猛毒ウイルス」が中国から日本に流入してくるかもしれない。
当初、中国政府が公表していたコロナによる死者数は、1日に「0〜5人」が続いた。持病があって亡くなった人は「コロナによる死者」の中に計上しないためで、あり得ない数字だ。1月14日に1カ月間の死者を約6万人と発表したが信ぴょう性は乏しい。
少しずつ漏れてくる情報を整理すると、実際の感染状況はもはや「異次元」である。昨年末以来、京劇俳優の儲蘭蘭氏が40歳の若さで死去したほか、俳優の龔錦堂氏(83)、脚本家の倪震氏(84)、元ジャーナリストで南京大学の教授を務めた胡福明氏(87)といった著名人が相次いで死亡している。国内トップの科学技術アカデミーに所属していた科学者が、計16人死亡していることも分かった。死因は不明としているが、コロナ関連死とみるのが自然だ。
すでに“薬”の爆買いが深刻
首都北京では昨年末時点で、感染率が人口(約2188万人)の約8割を超えていたという。また、交通の要衝である河南省でも住民の約9割が感染していると、同省の保健当局関係者が明らかにした。約8850万人に相当する規模だ。
日本にも影響は出ており、日本に住む中国人に風邪薬や鎮痛剤を「爆買い」させ、中国に送らせるケースも相次ぎ発覚している。販売個数を制限するドラッグストアもあるほどだ。
「日本でもコロナ禍の当初は深刻なマスク不足に陥り、2020年3月にタレントの志村けん(70)さん、4月に女優の岡江久美子さん(63)がコロナ感染で死去して社会に大きなショックを与えました。ゼロコロナ政策を続けてきた中国では情報が十分に公開されてこなかったため、今になって混乱が拡大しているのです」(大手外信デスク)
これまで中国は独自のコロナ対策を講じてきた。その1つがワクチン接種だ。日本や欧米各国では、米ファイザー社や米モデルナ社の「mRNAワクチン」が主に接種されているが、これに対して中国政府は国産ワクチンにこだわったため、感染や重症化を防ぐ効果が不十分とみられている。
感染拡大が収まる要素がないまま、中国は行動規制などをすべて取り払ってしまった。全国民をコロナに感染させて、集団免疫をつくるという大胆な狙いもあるようだが、それでも事態は「終息」に向かわないだろう。新たな変異ウイルスが発生し、今後も中国、そして世界を悩ませる恐れがあるからだ。
「現在、中国国内で流行しているウイルスは、オミクロン株の派生型が中心とされていますが、感染が拡大すればさらなる変異ウイルスが発生します。変異ウイルスの感染力と毒性は反比例するという仮説があるものの、あまりに楽観的です。ワクチンをすり抜ける感染力の強さと高い致死率を兼ね備えたウイルスに、変異するリスクは否定できません」(医療ジャーナリスト)
春節の大型連休にウイルス流入
約100年前に世界で5000万人ともいわれる死者を出したスペイン風邪では、第1波より第2波の致死率が4倍以上になったというデータもある。今回の新型コロナでも初期のウイルスより、2021年の第5波で主流となったデルタ株のほうが毒性は高くなっている。
こうした状況を踏まえて、日本政府が中国本土からの入国者に「水際対策」を強化したところ、メンツを潰された習近平国家主席が激怒し、日本人へのビザ発給を停止。日本からの観光旅行やビジネスマンの出張をはじめ、中国留学を宣言している〝こじるり〟ことタレントの小島瑠璃子への影響も懸念されている。
日本から中国へは事実上の入国禁止となったが、逆に中国から日本行きは禁じられていない。春節の大型連休では中国国内だけでなく、日本をはじめ国外にも旅行者が流れてくる。入国時の検疫は100%ではなく、中国で拡大したウイルスの流入を防ぐことは不可能だ。
前出の医療ジャーナリストが警鐘を鳴らす。
「最大の問題は、中国の実態がブラックボックス化していることです。感染の特徴やウイルスの毒性などが分からないままでは、世界各地に拡大した際、対応するワクチンや治療薬の開発が遅れてしまう。現状でもコロナ関連の死者が増えている日本にとっては、すぐそこにある危機なのです」
中国各地の医療施設では病室が足りず、ロビーや廊下にもコロナ患者のベッドが並べられ、葬儀場では霊柩車が長蛇の列をつくっている。パニック映画さながらの光景が今後、日本でも出現するのだろうか。
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