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『マハゼ』愛知県常滑市/矢田川産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

1月も半ばとなり水温の低下とともに海の中も、いよいよ冬本番。これから春先にかけて陸からの釣りは、釣り物の少ない厳しい時期となります。そんな中、冬場でも比較的手軽に楽しめるのが、夜釣りで狙うアナゴです。内湾の砂泥底であれば年間を通して狙うことができ、もちろん食べても美味。そんなアナゴの数釣りをもくろんで、愛知県常滑市にあります大野町へと足を向けてみることにしました。

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名古屋から名鉄常滑線に揺られること40分。夕方前の静かな大野町駅に降り立ち、駅前の津多屋さんでおやつの〝えびせん〟を買い込んでから釣り場へと向かいます。

戦国時代から江戸時代にかけて佐治水軍や尾州廻船の拠点となり、尾張藩最大の湊町として栄えた大野町。矢田川沿いの歴史を感じさせる街並みをしばらく歩いて海岸に出ると…この時期ならではの北西の暴風により大シケです。天気予報にて多少の北西風は覚悟していましたが、想定以上の暴風は立っているのがやっと、といったところ。目の前に広がる伊勢湾は一面に白波が立ち、波打ち際には大きな波が打ちつけております。さすがにこれでは釣りになりません。

でも大丈夫。そんなときでも釣りになるのが大野町の強みといいますか、こんなこともあろうかと矢田川河口に逃げ込んでみると、風裏となるこちらは外海の荒れ模様が嘘のように穏やか。加えて背後の防潮堤が風避けとなり、快適に竿が出せそうです。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

秋のハゼ釣り場として知られる矢田川ですから、今の時期であればアナゴ狙いの仕掛け、エサを流用した夜釣りで、型のよいハゼが狙えるでしょう、多分。

まずは釣り座のすぐ後ろにある、江崎神社に好釣果を祈願してから準備に取り掛かります。安物竿に仕掛けを結び、エサのアオイソメをハリにたっぷりと付けて準備完了。さして広くはない川幅の中ほどにポチャンと仕掛けを投入したら、あとは竿を置いてアタリを待つばかりです。

日没後にブルンブルン

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

しばらくはアタリもなく静かな時間が過ぎます。夕日に染まる静かな河口は、なんとも趣があって、おやつの〝えびせん〟をつまみつつ、のんびりと竿先を眺めるうちにやがて日没となりました。だいぶ薄暗くなってきた頃合いで、ようやく竿先にブルルンッ! とアタリ到来。軽く合わせてから巻き上げてくると適度な重みで釣れ上がったのは、よく肥えた旨そうな20センチほどのマハゼです。

マハゼ
マハゼ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

これからの季節、産卵期を迎えたマハゼは夜型になるため、日没後からが本番。さあ、ここからが勝負! と、竿先に発光体を取り付けてからエサを付け替え、再び仕掛けを投入。気合を入れたわりに、投入後は特にやることのない釣りですが、アタリを待つこの時間がまた、なんとも言えずにいいものなんです。

完全に日が落ち、暗くなるとともにアタリが出始め、ブルンブルンと飽きない程度に竿先が揺れます。釣れるマハゼは20センチ前後といずれも型がよく、元気のよい手応えは、なかなかに釣り応えがあります。

刺し身も激ウマ次回も夜ハゼ?

いろいろな釣り場を巡っていると、「帰りたくなくなる釣り場」というものがあるもので、この矢田川河口もそんな雰囲気です。これは人によってさまざまでしょうが、ワタクシの場合は「古びた街中のドブ」というのが、ひとつの条件になっているように思います。もっとも今回はドブというほど汚れた河口ではありませんが、長い歴史を感じさせる重厚な建物が軒を連ねる川沿いで、静かに夜を過ごす独特な趣は、極めて居心地のよさを感じます。

そんな素晴らしい雰囲気の中で、飽きない程度にハゼを釣るうちに夜も更け、まだまだ竿を出していたいとはいえ、電車の時間も気になり始めたことから納竿。ひとけのない静かな街を駅まで歩き、ガラガラの名鉄に揺られて帰路に就いたのでありました。

マハゼの天ぷら(上)、刺し身(下) 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
マハゼの天ぷら(上)、刺し身(下) 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

釣ったマハゼはこの魚の定番料理とも言える天ぷらと、せっかく型もよいことですし半分くらいは刺し身にして晩酌です。天ぷらが旨いのはもちろん、クセのない白身魚の旨味が濃く感じられる刺し身も抜群に美味。一般的には天ぷらとして提供されるハゼゆえ、刺し身にありつけるのは釣り人の特権とも言えましょう。

今回の釣りで冬の夜ハゼ釣りに火が付いてしまったようで、さらなる大ハゼを狙うべく各地の釣り場に思いを巡らせつつ、アナゴのリベンジもしなければなりませんし、さて次は何を狙ってやろうか…といったところで、また次回。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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