新庄剛志 (C)週刊実話Web 
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日ハム『新庄劇場』2023年の見どころ!“4番清宮”より注目は「元監督」16年ぶり復帰か

2023年版「新庄劇場」の見どころは何か?


1月9日、北海道日本ハムファイターズがフリーエージェント移籍した近藤健介外野手の人的補償として、ソフトバンクから2016年のドラフト1位投手、田中正義を獲得した。発表は10日だが、前日の9日時点で新庄剛志監督は、「最初の文字が『た』かな?」と、異例の〝フライング〟発表で、各メディアに教えてくれていた。


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「非常にポテンシャルが高く、その持っている能力に期待して、田中選手を選ぶという結論に至りました。ストレートの強さに魅力を感じてます」


稲葉篤紀GMの言葉だ。


田中は2017年のプロ入り以降、ずっとケガに泣かされてきた。打線の中軸であり、通算打率3割超え、同出塁率4割強のスラッガー・近藤を喪失した以上、田中には復活してもらわなければ本当に困るのだ。


「新庄監督になっても、観客動員数が戻っていないと見る向きもあります。昨季までの本拠地だった札幌ドームは『2万人を超過した試合』では、観客1人につき415円を追加して支払う契約になっていたので、4万人を集客したら、1日のドーム使用料がほぼ2倍になってしまいます。日本ハム側が新型コロナウイルス禍を名目に、意図的に2万人以下に抑え込んできたところもありますが。でも、東京ドームなど他球場での主催ゲームの観客数もイマイチでしたし、新庄効果で集客数が伸びた試合は、実はなかったはず」(球界関係者)


「観客動員数」を伸ばすには、やはり勝たなければならないのだ。


「新球場となる今季は、そのご祝儀的な来場や物珍しさで満員となる試合もあるでしょうが、勝てなければ開場2年目となる来季は厳しいですよ。いや、昨季同様に中盤戦以降で最下位独走となったら、後半戦は…。お客を呼べるビッグネームと言える選手は清宮幸太郎だけですし」(同)

ヒルマン相談役の立場は!?

そこで〝キーマン〟として浮上してきたのが、2003~07年の元監督、トレイ・ヒルマン氏だ。ヒルマン氏は田中の人的補償とほぼ同時期に「コンサルタント」として、日本ハムに復帰することが決まった。

「コンサルタントは何をするのかって? 球団の説明だと、春季キャンプにも参加して、外国人選手やコーチ陣への定期カウンセリングなどを行うそうです。新外国人選手のスカウティングにも携わっていくようです」(スポーツ紙記者)


コロナ禍により、どの球団も家族と離れて暮らす外国人選手のメンタルケアが見直されている。先行き不透明なところもあるだけに「相談役」は必要だろう。適任ではあるが、日・米・韓の3カ国で監督を務めた辣腕からすれば、〝役不足〟ではないだろうか。


「他球団からすれば、ちょっと首を傾げたくなるところはあるんです。他球団ではGMがグラウンドに下りてくることはありません。それで失敗した例もありましたが。でも、日本ハムは稲葉GMがグラウンドに下りてきて打撃指導を手伝うこともあり、このうえ、ヒルマン氏まで来るとなると…」(同)


ヒルマン氏は2007年オフの日本ハム監督退任後、MLBロイヤルズの監督、ドジャースのベンチコーチ、韓国SKワイバーンズの監督などを務め、つい最近までエンゼルスの育成担当コーチとして若手の指導にあたってきた。


今回の日本ハム帰還において、思い出されるのは「稲葉GM&新庄監督体制」との関係性だ。周知の通り、2人とも、ヒルマン監督のもとで現役時代を過ごした。〝相談役〟ではあるものの、2人に意見できる立場でもある。


「現有戦力からして、日本ハムが優勝争いに食い込むのは大変なこと。新庄監督は『優勝を』と言っていますが、投打ともに厳しいやり繰りが予想されます」(球界関係者)

カギを握るのは“田中”の復帰か

人的補償で得た田中だが、日本ハムサイドは「再生可能」と見ている。その田中の右肩がチームの命運を握りそうだ。

「新庄監督が今季のクローザーに指名したのが、3年目となる伊藤大海。でも、本人は先発を続けたいとし、受け入れ難い部分もあるようだ。田中が復活すれば、彼を救援にまわして伊藤を先発に戻すこともできる。それとも、伊藤の抜けた先発の穴を埋めてもらうのか、田中の復帰いかんで投手事情も変わってくる」(地元メディア記者)


新庄監督はすでに昨季8勝の加藤貴之を開幕投手に指名しているが、エース格の上沢直之がMLB挑戦を表明しており、計算の立つ投手が少なくなっていく。伊藤と田中に活躍してもらわなければ黒星先行、「新球場も閑古鳥」となるのも必至だ。


「清宮が危機意識を強めている。もう比較するのもかわいそうだけど、昨季、同級生のヤクルト・村上宗隆との力量差をまざまざと見せつけられた。北海道メディアの取材を受けるとき、新庄監督のことを『ボスが』と楽しそうに語っている。新庄監督も4番に定着させようと目を掛けているのだが…」(同)


稲葉GMも、清宮の指導に付きっきりになることが多い。新庄劇場の見どころは清宮だけ?


気になるのは、ヒルマン氏はコーチ陣の相談にも応じるということ。優勝の公約を果たせず、新庄監督が責任を痛感してしまったら…。ヒルマン氏があえてグラウンドにも下りるのは、すべての〝有事〟に備えてのことのようだ。