大相撲初場所も、いよいよ終盤戦。「高いレベルの優勝なら横綱昇進」と、横綱審議委員会から目の前にニンジンをぶら下げられている大関貴景勝も気になるが、場所の前半、それ以上にファンの注目を集めていたのが、コロナ禍違反で三段目まで転落し、今場所、6場所ぶりに十両に返り咲いたばかりの朝乃山だった。
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それを裏付けるのが、NHKが毎日、放送の中で発表している前日の取組の再生ランキング。序盤、この元大関がなんと貴景勝や8人もいる関脇・小結陣を押しのけて1位だったのだ。
「6場所出場停止処分を食らうなど経緯の特殊さもあるが、上位にファンの目をクギ付けにするようなスター力士が見当たらないからでしょう」(大相撲担当記者)
注目しているのは、ファンばかりではない。現役時代、覇を競い合った元横綱白鵬の宮城野親方もその1人で「早く幕内に上がって大暴れしてほしい。幕内に上がれば、(陥落前の)自分がいた地位が見えてくるし、近づいても来る」とエールを送り、「次の大関候補一番手」と高く評価している。
チャンスをつかんで成績を残す!
これに応えようと朝乃山も必死。十両になると、色付きの絹製の締め込みを使用できる。朝乃山が選んだのは「初心を忘れないように」と、あえて大関時代に使用し、ずっとタオルに包んで仕舞っておいた黒のまわしだった。黒は入門して初めて締める木綿製のまわしの色だ。
「ケガで番付を下げたわけではないから、土俵に上がると、周りの力士たちとはやはり別格。1場所7番制の幕下までと違って、十両以上は15日間相撲を取るため、心身のリズムもつかみやすいようで、前半は敵なしだった」(協会関係者)
膝のけがで休場中の横綱照ノ富士は、この十両から6場所で大関、8場所で横綱に駆け上がった。
「朝乃山はどこも故障していないので、もっと早いかも」(前出・大相撲担当記者)
元横綱鶴竜の鶴竜親方も「チャンスはそうない。朝乃山も戻って来るぞ」と、弟弟子の小結霧馬山を叱咤しているほど。
さあ、〝富山の怪物〟が本領を発揮する。
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