OZアカデミー女子プロレス代表の尾崎魔弓(54)が来たる2月12日、東京・新宿フェイスで『R45〜ババアをなめるなよ!』と銘打った45歳以上の選手限定による興行を開催する。出場選手は還暦超えのジャガー横田(61)やダンプ松本(62)をはじめ、長年にわたって日本の女子プロレス界を支えてきたレジェンドばかり。そんな話題性抜群の大会を企画した尾崎に、試合の趣旨や見どころについて聞いてみた!
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――45歳以上だけでプロレスをやろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
尾崎魔弓(以下、尾崎)今は若い子だけの興行が当たり前のようにあるじゃないですか。でも、ベテランだけの興行はないなと思っていたんです。2005年1月に横浜の赤レンガ倉庫で、男女でそれぞれ3日間の興行を開催したことがありました。若い子たちのほかに、私は30歳以上という枠の大会をプロデュースしたんですが、当時は30歳で年寄り扱いですよ!
――今の女子プロレスからすると考えられませんね。
尾崎 30歳じゃまだ若いよね。でも、当時はそうだった。ところが、結果的に私たち30歳以上の大会が、客入りも評判も一番よかったんです。そんなこともあったので、やりたいとはずっと思っていたんですけど、今回はタイミングよく会場が取れました。18年前とは状況が変わり、現役で活躍しているベテラン選手が結構いるんですよ。
――ようやく念願がかなったという感じですね。大会タイトルの「ババアをなめるなよ!」というネーミングも、インパクトがあっていいですよね。
尾崎 日頃の試合では若い子たちに、面白がってババアとか言われてますからね(笑)。でも、私は「じゃあ、てめぇら、この年までできんのかよ!」って言いたいですよ。自分でババアと言うのはいいけど、人に言われると腹が立ちます(笑)。
見どころは“ババアの底力”
――ベテラン選手へのオファーは大変でしたか?
尾崎 最初は50歳以上にしようかと思ったんだけど、さすがに人数が少ない。この大会で引退しちゃう人もいるかもしれないし(笑)、結局45歳以上ということにしました。
――現役のベテラン選手は、こんな機会を待っていたのでしょう。出場選手を見ると、これだけのメンバーはそうそう集まらないですよ。レジェンドばかりです。
尾崎 そうだね。ありがたいことに大勢集まりました。
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今大会の出場選手は18人。尾崎をはじめ先述したジャガー、ダンプのほかに、堀田祐美子(56)、井上京子(53)、伊藤薫(51)、渡邊智子(50)、ドレイク森松(52)、遠藤美月(51)、藪下めぐみ(50)ら、50歳以上が10人になる。
ここに倉垣翼(47)、永島千佳世(46)、ミス・モンゴル(46)、AKINO(49)、KAZUKI(47)、山縣優(46)、バンビ(46)、チェリー(48)らが続き、リングアナウンサーはダイナマイト・関西(53)が務めるという豪華な布陣だ。
――今大会の見どころはどこでしょう?
尾崎 ババアの底力ですね。若いレスラーに負けない熱い闘いを見せたい。そのためには「笑いを取って終わり」みたいな感じではなく、参加選手にはいつも以上に気合を入れて試合をしてほしいです。若い頃に比べれば体は動けなくなっているかもしれないけど、そのぶんベテランならではの闘い方がありますから。
――どんな人たちに見てもらいたいですか?
尾崎 往年のファンはもちろんだけど、男女問わず、若い人たちにも見てもらいたいよね。若いレスラーしか興味がない人は、来ないかもしれないけどさ(笑)、ババアだってこんな面白い試合するんだってところを見せたい。
経験値で若い子たちに対抗
――正直な話、50歳をすぎて現役を続けていくのは大変なことだと思います。
尾崎 若い頃と違って、けがをすると回復に時間がかかります。まして大けがをしてしまったら、長期欠場イコール引退になってしまう。だから絶対に気を抜けない。若い子たちのように、がむしゃらに闘ってはいないけど、危険を回避しながら試合を面白くするのがベテランの味だよね。
――でも、試合を見ていると、尾崎さんは若い選手に容赦なく投げ飛ばされてますよね。
尾崎 そりゃ長年やってきているから、受け身もちゃんと取れるんです。私は小柄ですから、若い頃からよく投げ飛ばされてきてますからね。経験値で若い子たちに対抗してます。ベテラン選手の経験値だけは、若い子にないでしょう? これまでみんな大変な思いをして、現役を続けてきている。だから今回は、出場する選手全員が主役なんです。ババアの生き様を見てもらいたいですね。
――レジェンドはオーラが違うんでしょうか?
尾崎 でもオーラって、出そうと思って出るもんじゃないしね。その人の持っているものだと思うよ。若くてもオーラがある人もいるし、いつまでたってもオーラがない人もいるし(笑)。
――気の早い話になりますが、この大会が盛り上がって第2弾、第3弾となる可能性はありますか?
尾崎 ある! あり得るね。ただし、メンバーは今回限りだと思う。
――それはなぜですか?
尾崎 次の大会までに引退しちゃう人がいるかもしれないし、また新たに45歳になる人が、参加するかもしれないからね。
出場17選手(大阪在住のドレイクは欠席)は昨年12月15日、大会会場の新宿フェイスに集結した。そして、全員そろっての記者会見が行われ、同大会がワンナイト・トーナメントになることが発表された。
選手はA、B、Cの3ブロックに分かれて闘い、それぞれ勝ち上がった選手が決勝戦に進む。試合時間は10分一本勝負で、時間切れ引き分けの場合は両選手が失格となる。3ブロックの代表がそろった場合は3WAYマッチで決勝。ブロックの代表争いで両者失格となった場合は、代表2人の決勝もしくは代表1人の優勝になる。決勝戦は時間無制限、3カウント。失格などがなければ16試合が行われる予定だ。
1回戦で究極の〝123歳対決〟
会見後の抽選会では出場選手が紹介され、リングに上がる前にそれぞれ番号の書いてあるクジを引いた。すると期待以上の、ファンにとっては夢のような組み合わせが決定。いきなり1回戦でジャガーとダンプの〝123歳対決〟が実現し、選手からもどよめきが起こった。2人の闘いは実に30年ぶりになるという。
また、長いキャリアにもかかわらず、シングルでは初対戦という選手もいれば、遺恨が再燃して舌戦が繰り広げられる場面もあった。さらに、優勝者には豪華商品が進呈されるとあって、出場選手はそれぞれ闘志をあらわにしていた。
ジャガーは「この話を聞いたとき『尾崎は素晴らしいことを考えたな』と思いました。10代の子から私たちのような60代まで、ずっと現役でいるという幅広い層になって、女子プロレスも進化しているなと感じます」と語り、本大会に意欲を燃やしていた。
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抽選会終了後、改めて尾崎に質問をぶつけてみた。
――抽選による組み合わせというのは、いつ決めたのですか?
尾崎 対戦カードを考えようとしたら、すごく悩んでしまったんです。濃いメンバーすぎてまったく何も思い浮かばなかった。そこで、抽選でカードを決めるトーナメント戦にしました。
――1日に数試合こなすのは過酷ですが…。
尾崎 それも逆に、ババアでも若い子に負けず、まだまだ動けるところを見せたくて、あえてトーナメントにしたこともあります。
――最後に意気込みを!
尾崎 45歳以上の女帝、真のババア・ナンバーワンを決める大会です。ぜひ、期待してください!
(文中敬称略)
文/飯塚則子(ライスマウンド) 撮影/原啓之
尾崎魔弓(おざき・まゆみ)
埼玉県川口市出身/身長158センチ、体重57キロ
所属:OZアカデミー/デビュー:1986年
得意技:テキーラ・サンライズ、オザキック、裏拳
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