企業経済深層レポート (C)週刊実話Web
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2023年大河ドラマ・徳川家康“グッズ商戦”が過熱中!〜企業経済深層レポート

新春の書店をのぞくと、徳川家康関連本がズラリと棚を埋めている。1月8日からNHKで新たな大河ドラマ『どうする家康』がスタートしたが、これにあやかろうとする〝便乗本〟が絶えないからだ。


大手書店員が言う。


「例年、この時期は大河ドラマの関連本が店頭を彩るが、特に今年は売れ行きが好調。主役が『嵐』の松本潤だからか、若い方から年配まで女性がお求めになるケースが多いのです。NHKにすれば〝マツジュン〟効果を狙っての抜擢でしょうから、してやったりといったところでしょう」


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だが、こうした大河人気を見込んだ商法は、何も出版物に限ったことではない。昨年12月に『三菱UFJリサーチ&コンサルティング』が、ドラマの舞台となる愛知県に及ぼす経済波及効果を393億円と試算。すでに名古屋圏を中心に、関連グッズ商戦が熱を帯びているという。シンクタンクの研究員が解説する。


「この数字は過去の大河8作品の平均値を基に算出されたもので、愛知県内の宿泊観光客が約32万人、日帰り客が約437万人増えることを想定したものです。ただ、家康ゆかりの地は静岡や東京、日光など数多く存在する。これらを合わせれば500億円を優に超える可能性も高そうです」


具体的な動きを見てみると、家康の生誕地として知られる愛知県岡崎市では「日本100名城」にも選定された岡崎城が、1月21日にリニューアルオープンする。岡崎公園内に造られた『どうする家康 大河ドラマ館』とともに観光客増員のランドマークとして注目を集める。

岡崎だけでも注目商品続々発売

ちなみに、この『ドラマ館』は市が運営に2億円もの補正予算を組んだ肝いり施設で、年間70万人の来場が見込まれるという。そのため、開業前に館長は旅行会社やバス会社へのツアー依頼に奔走していたほど。また、市内でも次々と関連商品が登場している状況だ。

商工会関係者が言う。


「市は大河ドラマの決定後、『家康公スイーツプロジェクト』と題した町おこしを実施。今ではカフェや洋菓子店など20軒以上が参加しています。例えば喫茶店『茶楽音。』では、家康の好物だったきな粉をまぶしたわらび餅とアイスをコラボさせた『家康公わらび餅』を販売。『Bistro&Cafe 北海道マルシェ 岡崎シビコ店』が販売する葵の御紋入り『家康公たい焼き』、『一隆堂』が提供する、たぬき親父と呼ばれた家康好みの八丁みそが香る『タヌキ缶入り手焼き煎餅セット』も人気です」


岡崎市にある江戸時代創業の蔵元『丸石醸造』では、山田錦を使った『徳川家康大吟醸』『徳川家康純米大吟醸』をラインアップ。同じく市内の豆乳とみそメーカー『マルサンアイ』では、従来1キログラムで販売していた赤だしみそ『家康1Kg』を、初めてでも購入しやすいよう500グラムにサイズダウンして販売中だ。


さらに2016伊勢志摩サミットの際、各国首脳に贈呈された手描き絵ろうそくを製造した『松井本和蝋燭工房』は、昨年末に燭台付きの手描き絵ろうそく『徳川家康コローセット』を製造。販売に乗り出し、注目を集めている。


観光業界関係者が語る。


「生誕地であるだけに岡崎市の過熱ぶりは突出しているが、名古屋市にある『徳川美術館』でも関連商品がお目見え。ファッションや生活雑貨を開発販売する『フェリシモ』が同美術館とコラボし、葵の御紋入り西陣織ポーチや尾張徳川家に伝わる調度品の意匠を模したデザインリングなどを製作。モダンで気品があると早くも人気が高まっています」

活気みなぎる家康ゆかりの各地

家康とゆかりの深い静岡県でも大河ドラマ商戦は活発だ。まず、浜松市では岡崎市を上回る5億円を投じて建設された「大河ドラマ館」が1月22日にプレオープン。家康が浜松城を築城し、天下取りの第一歩となった地だけに、市内にも活気がみなぎる。

「町の酒店では家康が好んだ薬膳酒で、抗菌作用のあるスイカズラを使った復刻酒『浜松忍冬酒』を販売。出世城のある城下町だけに、縁起を担ぐ『徳川家康刻印 火打鎌と火打石セット』をはじめ、葵の御紋入りの縁起物グッズも人気を博している。また、武田信玄との三方ヶ原の戦いで敗走した際、家康が空腹を満たした『小豆餅』と、その代金を家康からむしり取った『銭取』という名の和風マドレーヌも和菓子店『あおい』で売られており、観光客らに好評です」(別の商工会関係者)


『久能山東照宮』のある静岡市も家康ブームに沸いている。市内の日本料理店『うおかね』では、『家康公狩場弁当』が話題だ。久能山東照宮監修のもと開発された和菓子『家康公おへそもち』も人気を博しているという。


前出の観光業界関係者が言う。


「こうした傾向は、栃木県にある『日光東照宮』でも同じ。週末に訪れる観光客が増えており、家康が好んだ言葉にちなみ名づけられた東照宮境内にある和菓子店『福徳庵』の『福徳大福』は、大河人気で売れ行きが伸びているようです」


家康ゆかりのグッズ商戦は、大河ドラマの盛り上がりとともに、今後ますますヒートアップしそうだ。