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JRA重賞『日経新春杯』(GⅡ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

(C)JRA
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当コラムとしては今年最初の運試しとなったシンザン記念の馬連970円、3連複1290円をダブルで的中し、当てましておめでとう! と自画自賛したりして。いやあ、上位4頭ボックスの買い目では「トリガミも覚悟している」と書いたが、1番人気のイーガン騎乗のクファシルがタレてくれて(何とシンガリ)、2、3、4番人気の決着で投資のおよそ倍額になったのだから、まずは御の字。それにしても勝った武豊ライトクオンタムの強いこと。〝紅一点〟で牡馬たちをなで切りにし、阪神JFの勝ち馬リバティアイランドに対し、クラシック戦線での挑戦状を手にした形だ。何といってもディープインパクト産駒の最終世代の逸材として注目したい。

それにしても、初っ端から5日間で4日開催というハード・スケジュールが終わって、早くも昨年のリーディング争い上位騎手が好調のようだ。川田は9日なんて9戦4勝8連対の離れ業で早くも首位に立ったし、戸崎、横山武、松山も順調に星を積み重ねている。イーガン、バシュロの新参外国人騎手も奮闘しているが、JRA外国人騎手のルメール大将は、〝正月休み〟を例年のように取って、9日から始動したが、有力馬4頭に乗りながらどれも馬券対象にならず、良いところナシ。このままでは、リーディング争いに加われるのか? 今年の大将の成績が気になるところ。私は馬以上に騎手に注目したいタチなので、そこんとこヨロシク。

さあ、トントンと連勝を目指そう。日曜日は日経新春杯をチョイス。このレース、オールド・ファンなら、1978年、かの伝説の名馬テンポイントが粉雪舞い散る中、4コーナー手前で致命的な骨折を負った凶事を思い出さずにはいられないだろう。現在では考えられない極量66.5キロを背負っての惨事だった。普通なら即安楽死の重傷だが、ファンの「殺さないで」の声に異例の大手術が行われたが、彼は40日以上も闘い、3月5日朝に天に召された。ファンは泣いた。私も泣いた。たかが馬一頭、されど馬一頭の死に落涙したのは、後にも先にもこのテンポイントのみ…あれから45年経っても、私の心の中では日経新春杯は常に〝テンポイント追悼競走〟なのだ。

“映画連想馬券”の本命はヴェルトライゼンデ

おっと、センチメンタルになった。予想と参ろう。まず大前提は、JC3着が光り、1番人気は確実視されているヴェルトライゼンデの取捨だろう。鞍上はムーアからイーガンへと外国人騎手のリレー。イーガンはシンザン記念の1番人気馬で凡走したばかりだし、ムーアほどの信頼は置けないのかも。JCから、というステップも過去にローズキングダム(11年、結果は3着)などいたが、異例といえば異例だ。そこで一応軸はライゼンデだが、タテ目も十分あると踏んで、〝強い明け4歳馬〟の3頭となる松山プラダリア(ディープインパクト産駒でもあるし)、武豊ヤマニンゼスト、川田ヴェローナシチー。さらにライゼンデと同じ6歳馬のロバートソンキーは、地味な伊藤騎手の〝米びつ〟で、最近やっと本格化した感じ。この5頭ボックスで行くつもり。加えてライゼンデから和田竜イクスプロージョン、デムーロのプリマヴィスタを馬連&3連複で少々絡めたい。7歳、8歳馬にも気になるのはいるが、そこまでは広げられない。

さて〝映画連想馬券〟だが、軸のヴェルトライゼンデをチョイス。〝世界旅行者〟という馬名だから〝SF小説の父〟ジュール・ヴェルヌの冒険小説の映画化『八十日間世界一周』(56年)を、と思うのだが、21世紀のリメーク作『80デイズ』(04年)のほうが、ジャッキー・チェンなどオールスター度では負けていないし、新しい分、手に取りやすいか。まだ飛行機も電話もない19世紀末、〝80日間で世界一周できる〟ことを実証しようと発明家(スティーブ・クーガン)とその使用人(ジャッキー・チェン)が冒険の旅に出るという一席。56年版はのんびり感もあったが、04年版はスピーディーにロンドン→パリ→イスタンブール→中国→サンフランシスコ→ニューヨーク…と駆け巡る。ヒロインで、当時は新進女優だったセシル・ド・フランスが実にチャーミングで一目惚れしたものだ。

買い目は①②③⑧⑫の馬連&3連複ボックス。②から⑨⑪へ馬連、①②及び②③縛りで⑨⑪へ3連複。目指せ、今年度無傷の連勝を!

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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