社会

『大間マグロ』ブランド維持できず!? “産地偽装”の疑問の声も1カ月で方針変更へ

(画像)Osugi / Shutterstock.com

今年も新春恒例のマグロの初競りが、東京・豊洲市場で1月5日に行われた。最高値の1番マグロとして青森県大間産の212キロの本マグロが3604万円で競り落とされた。競り落としたのは『銀座おのでら』を運営するグループ企業と豊洲場内のマグロ専門仲卸業者『やま幸』だった。

「今年の初競りには常連の『すしざんまい』を運営する喜代村、おのでら・やま幸のタッグ、埼玉県を拠点に食品スーパーを展開する『ベルク』、新たにすし食べ放題店『有楽町かきだ』の連合チームが参加したのですが、3年連続でおのでら・やま幸が競り落とした。やま幸の山口幸隆社長は、約10年前から香港を拠点とする『板前寿司ジャパン』や銀座の老舗すし店『久兵衛』と組んで初競りに参加していた。山口社長は〝日本一のマグロの目利き〟としてマスコミにも度々、登場している有名人ですよ」(豊洲市場水産仲卸業者)

初競りは“本物”大間のマグロ!?

やま幸の代名詞にもなっている大間マグロは特許庁に商標登録されており、青森県と北海道の間の〝大間沖〟で獲れたことが条件になっていた。ところが、昨年10月4日付の地元紙・東奥日報に「『大間まぐろ』ステッカー貼り付け 大畑―竜飛崎漁獲のみに」という記事が掲載された。

「適切な産地表示にした背景には外部から『産地偽装じゃないか?』と疑問視する声が上がったからです。大間漁業協同組合は大間沖で獲れていないマグロにも『大間まぐろ』のステッカーを貼っていた。大間沖のマグロの餌となるイカやサンマが来なくなったため、漁獲量も減っていた。約120人いるマグロ漁業に従事している漁師たちも仕方なく広範囲に漁場を求め、太平洋のほうでも獲っている。それに『大間まぐろ』ステッカーを貼れば、1キロ1万5000円の高値になる」(地元テレビ局関係者)

大間漁協では、大間沖以外で獲れたマグロは荷受けするものの、『大間まぐろ』のステッカーは貼らないと昨年9月下旬に決めていた。ところが、大間マグロの定義を厳密にすれば、脂が乗った大間マグロは獲れにくくなるため、その方針はわずか1カ月で変更。昨年11月から大間町大間にある港で水揚げされ、漁協が荷受けしたものを商標登録に沿って大間マグロにする、と改めたのだ。

「漁協は大間で水揚げされるマグロのうち、太平洋などの大間沖以外で獲れた量については明らかにしていませんが、かなりの数に上る。初競りに出された本マグロは〝本物の大間マグロ〟と断言しています」(同)

自然界の食材には限りがある。初競りの本マグロは本物でも、すし店をはじめ、飲食店で流通する大間マグロは超一流人気ブランドだけに、今後は不透明だ。

あわせて読みたい