
平尾誠二「夢がないと面白くないでしょ」~心に響くトップアスリートの肉声『日本スポーツ名言録』――第34回
日本ラグビー界を技術力と精神性の両面から大きく発展させ、その功績で〝ミスター・ラグビー〟と呼ばれた平尾誠二。多くのファン、関係者に惜しまれながら、53歳の若さでこの世を去った伝説のラガーマンの生涯を振り返る。
2015年9月、ラグビー元日本代表の平尾誠二は「末期の胆管がんで、最悪の場合は余命3カ月」と診断された。
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当初、平尾自身は診断結果を知らされていなかったが、親しい知人がつい口をすべらせてしまった。その知人は「おまえのほうがよう知ってるなあ」という平尾の言葉を聞いて、告知を受けていなかったことに気付き、うろたえた。すると、平尾は「大丈夫やって、ちゃんと治るから」と、いつも通りの明るい笑顔を向けたという。そして、その後もしばらくは、がんになる前と変わらずに日本ラグビー協会理事の仕事やテレビ解説を続けた。
同年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップは、日本代表が強豪の南アフリカを相手に奇跡的な勝利を挙げたことや、「五郎丸ポーズ」で人気が沸騰。おおいに盛り上がりを見せていた。同大会後に協会の理事会に出席した平尾は「次のW杯日本大会に向かう中で、代表の強化に取り組むのが一番必要だということがはっきりした」と語った。
その年の暮れに受けたインタビューで、平尾は2019年のラグビーW杯日本大会について「19年はゴールではない。最速のスピードでそこを突っ切れば、10年後、20年後に日本がW杯で優勝できる。そういう夢を抱ける。不可能だとは思わないし、夢がないと面白くないでしょ」と語っている。
ドラマのように夢と希望を捨てず
友人でノーベル賞学者の山中伸弥が「効果も副作用も予想はできない」としながら、世界初となる胆管がんの治療法を紹介すると、平尾は「世界初か!」とむしろ興味津々な様子すら見せたという。翌年10月、53歳の若さで亡くなる瞬間まで、平尾は夢と希望を捨てることはなかった。アジア初となる日本でのラグビーW杯開催をその目で見ることはかなわなかったが、平尾の熱い思いが通じたのか、日本代表は予選リーグでアイルランド、スコットランドという格上チームから奇跡的な勝利を挙げ、日本ラグビー史上初となる決勝トーナメント進出を果たした。大会自体も台風直撃による試合中止がありながら、チケットの完売率は高く、なんとか無事に終えることができた。
ラガーマンはラグビーを当て字で「楽苦美」と書くことがあるが、平尾の場合は「苦」を克服すべき目標と捉えることによって、「楽」と「美」を追い求めた。
高校進学時には地元のラグビー名門校から特待生の話がありながら、熱心なスカウトを受けたことで伏見工業高校を選んだ。
当時の伏見工業は不良のたまり場といわれるような学校で、平尾が入学する前の全国高校ラグビーで花園高と対戦した際には0-112の大敗を喫していた。
しかし、平尾がチームの中心になると、2年の京都府大会決勝で花園高を破って全国大会に初出場。3年で主将になると、全国制覇まで成し遂げてみせた。こうした経緯は『落ちこぼれ軍団の奇跡』(光文社)として書籍にまとめられ、それをもとにしたドラマ『スクール☆ウォーズ〜泣き虫先生の7年戦争〜』(TBS系)も大ヒットした。
代表監督としても貢献
平尾は高校卒業後、同志社大学に進学して大学選手権3連覇に貢献。大学2年の1982年には当時、史上最年少の19歳で日本代表に選出されている。社会人でも神戸製鋼の主力として日本選手権7連覇を達成。1991年の第2回W杯、ジンバブエ戦では同大会における日本初勝利の原動力となった。
卓越した身体能力に加え、常識にとらわれない発想力と強烈なキャプテンシーを兼ね備えた天才ラガーマン。いつしか〝ミスター・ラグビー〟と呼ばれるようになった平尾は、現役を引退してからも指導者として、日本のラグビー界を確実に進歩させてきた。
代表監督を務めた第4回W杯において、チームに外国人選手6人を加えたことで「日本らしさがない」との批判を受けると、平尾は「日本らしかったから負けていた、と言うべきなんですよ」「新しい日本らしさ、本当の日本らしさというものをつくったらいい」と語っている。
平尾は「勝ち続けるには、常に新しいものを生み出す力がないとダメですね」とも話しており、その柔軟な発想は徐々に実を結んでいく。2020年には国際統括団体ワールドラグビーから「ティア1」(強豪上位10カ国)に認定されるまでに、日本ラグビーは成長した。
神戸港を眺める平尾の墓碑には「自由自在」の文字が刻まれている。日本らしい美しいラグビーで勝利することを求めた平尾にとって、最もふさわしい言葉だろう。
《文・脇本深八》
平尾誠二雄 PROFILE●1963年1月21日生まれ〜2016年10月20日没。京都市出身。中学入学と同時にラグビーを始め、伏見工業高校で全国制覇、同志社大学で大学選手権3連覇、神戸製鋼で日本選手権7連覇を達成。元日本代表で引退後は代表監督も務めた。
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