北朝鮮2023年「核」大国“暴発”の脅威…冷静さを失った女帝を初公開
昨年12月19日、朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』は、前日に行われた大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星17型』の発射実験について関連記事を掲載し、その中で初めて金正恩総書記の次女とみられる女児の写真が公開された。また、正恩氏の実妹、金与正党副部長も実験に立ち会ったが、その様子に違和感を覚えたという声が多く聞かれた。
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「正恩氏の後ろにいた与正氏は、ICBMの発射直後と推察される場面で、感情を抑えきれず激しく歓呼していたのです。このように冷静さを欠いた姿を見せたのは初めてのことでした。写真には本人のチェックが入るはずですから、そのまま国営メディアで報じられたのも異例です」(北朝鮮ウオッチャー)
一昨年までの北朝鮮は、米国と首脳会談を行うきっかけをつくるために、弾道ミサイルを発射していた。しかし、昨年は尋常ではない数のミサイルを発射したにもかかわらず、正恩氏や与正氏から政治的なメッセージが発せられることはほぼなかった。
「こうした状況から、昨年のミサイル乱射は『純粋な新兵器の開発実験』だったと推察されます。北朝鮮から『ミサイル発射により米国と韓国、そして日本は慌てているはずだ』という自信が感じられますね」(同)
発射の兆候を察知できない!?
北朝鮮の国営通信社『朝鮮中央通信』によると、与正氏は12月20日の談話で、北朝鮮のICBMをまだ開発段階にあるとみている韓国軍の分析に反論。すでに技術は確立していると強調し、「われわれの戦略兵器の能力をおとしめようとしている」と批判した。「これまで北朝鮮はICBMの飛距離を縮めるため、ロフテッド軌道(通常よりはるかに高い角度)で発射していました。高角発射の場合は、ミサイルがほとんど垂直に飛んで落ちてくるため、大気圏に再突入したときの高熱発生時間が短い。しかし、ICBMを通常角度で発射すれば、マッハ20(音速の20倍)ほどの速度で大気圏に再突入するので、機体は約6000〜7000度の高熱に長時間さらされます」(軍事ライター)
さらに与正氏は、大気圏再突入技術の検証のためには通常角度(30〜45度)での発射が必要とする韓国側の見解に触れ、「(検証は不要で)やればできるし、見れば分かることだ」と主張。この談話をめぐり、米国本土を射程に収めるICBMを通常角度で発射する「予告」ではないかとの見方が、韓国内で強まっている。
北朝鮮は固体燃料推進ICBMの開発も目標に掲げており、12月16日にエンジン試験を実施している。北朝鮮がこれまで発射してきたICBMはいずれも液体燃料型で、発射直前に燃料を注入する必要があった。これに対し固体燃料を使用すれば、発射の兆候を察知されにくくなるのだ。
「12月18日、北朝鮮は準中距離弾道ミサイル(MRBM)の発射実験を行いましたが、翌日に韓国の専門家らが『北朝鮮の公表した衛星写真の画像が極めて不鮮明だ』と酷評すると、与正氏は談話で『短時間の試験に高解像度カメラを設置する必要はない』と反論しています」(同)
ダム湖からのミサイル発射…
正恩氏が2021年1月に策定した「国防発展5カ年計画」を北朝鮮は着々と実現しているとみられるが、残る課題である原子力潜水艦(原潜)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)についても、北朝鮮は独自の方法で開発を進めている。米韓の軍事専門家は当初、北朝鮮がSLBMを保有しても、それほどの脅威にはならないと考えていた。それは原潜への搭載が不可欠であり、現段階における北朝鮮の技術では原潜の建造が困難だからだ。
「昨年9月25日、北朝鮮はSLBMを発射しましたが、なんと、その場所はダム湖の水中発射場でした。また、証拠としてロシアの短距離弾道ミサイル『イスカンデル』を北朝鮮が改良した『KN23』が、ダム湖の中から空に向かって飛び出す写真も公開されています」(軍事ジャーナリスト)
通常、ミサイルは「サイロ」と呼ばれる格納庫に収納されているが、軍事・偵察衛星の発達により、その位置を敵方にキャッチされるようになった。それどころかサイロの扉が開く瞬間さえ、現在の衛星技術なら簡単に認識できる。
「ミサイルは発射態勢に入ると大量の赤外線を放出するため、たとえ地下に隠しても衛星に見破られてしまうが、ダム湖のような水中なら補足できません。北朝鮮がSLBMと同等の攻撃手段を手に入れたことは、日米韓にとってこの上ない脅威です」(外交関係者)
正恩氏は、北朝鮮の核ドクトリンを修正して先制攻撃を可能とした上で、「核放棄や非核化を宣言したり、相手の要求に応じるために交渉したりすることはあり得ない」と断言した。
そして、与正氏は北朝鮮の対外政策を統括し、核・ミサイル開発に諸手を挙げて賛同している。2023年、日本は先鋭化する〝女帝〟と核大国の暴発に備えなければならない。
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