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『シロギス』静岡県静岡市/三保海岸産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

皆さま、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

さて、新年一発目ということで、今回は富士山なんぞを眺めながら釣りをしてみようかと思います。いつも〝ドブ〟やら〝隅っこ〟やら〝最奥〟やら、ショボくれたポイントが大好きなワタクシ。せめて新年くらいは雄大な景色を愛でつつ、思い切り竿を振るのもよいのではなかろうかと、静岡県静岡市は清水区にあります三保海岸へ行ってみることにしました。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

世界文化遺産である〝富士山〟の構成資産に登録されている〝三保松原〟を有する三保海岸。駿河湾越しに眺める富士山は、なかなかに見ごたえがあります。加えて急深な地形ゆえ、サーフ(海岸)から青物やマダイ、時にはクエなどもヒットする夢多き海岸ですから、新年一発目にもふさわしい釣り場と言えましょう。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「富士山を眺めながらマダイなんか釣れてしまった日にゃ、あーた、新年から縁起がよすぎるでねぇの」などと分不相応な期待を胸に、朝の東海道線に揺られて清水駅で下車。駅から三保海岸へ行くには、バスと水上バスの2通りの交通手段があり、せっかくなので水上バスで向かうことにします。駅から歩いて5分ほど、船着場の江尻桟橋に向かう道すがら、港の最奥となる駅前の岸壁がふと気になりました。よく、遊び慣れた男性が〝ヤレる女性〟にはレーダーが反応する、などという話を耳にしますが、それと似た感覚なのでしょうか。ショボくれたポイントでも、なんとなく釣れそうなポイントには、レーダーが反応するものです。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「いやいや、今日は雄大な富士山を眺めながら、大海原にキャストするのが目的なんだから…」と、強い反応を示すレーダーを強制停止させ、三保までの乗船券を購入。水上バスに乗り込みます。

新年早々志は低きに流れ

江尻桟橋を出た船はゆっくりと進み、対岸にあたる三保半島の先端、三保桟橋までおよそ20分の小さな船旅です。海上から三保松原越しに見る富士山は美しく、これだけでも清水に来た価値があるというものです。

景色を楽しむうちに到着となり下船。半島の最先端まで浜を歩いてから釣りを始めます。投げ竿に仕掛けを結び、大海原に向かってフルキャスト! スルスルとしばらく糸が出て着底。水深は20メートルほどでしょうか。さすがは急深な三保海岸です。ゆっくりとオモリは右に流され、豊富な水深と潮通しのよさに期待をしつつアタリを待ちますが、昼を過ぎても一向にアタリがありません。

こうなると、こらえ性のないワタクシとしては早くも志が崩れるもので、早々にマダイ狙いを諦め、小物狙いの仕掛けにチェンジ。「何でもいいから釣れてくれっ!」と力いっぱい仕掛けを投げ入れます。

シゲハゼ
シゲハゼ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

しばらく待ってからアタリのないままエサ点検で仕掛けを巻き上げると、わずかに重いような…。巻き上げた仕掛けにはシゲハゼが付いておりました。わりと深い泥底でテッポウエビと共生するシゲハゼ。水深のある駿河湾らしい獲物にちょっと嬉しくもなりますが、もうちょっとまともな魚が釣りたいところです。

ようやくアタリ美しいシロギス

 

シロギス
シロギス 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

干潮を過ぎ、上げ潮が効き始めるとともに頻繁にエサが取られるようになり、ついにブルルッ! と明確なアタリが出ました。反射的に竿を煽ると心地よい手応えが伝わり、輝きながら波打ち際に現れたのはシロギスです。そうそう、こういう美しいのを今日は釣りたかったのよ。と、すぐにエサを付け替えて投げ入れるとブルルッ! で追釣。「ここから数釣りか?」と期待したのも束の間、この後は時折アタリがある程度となり、6尾目を釣ってからはパタリとアタリがなくなってしまいました。なんとかもう1尾、と投げ続けますが、この時期の季節風である西風が強く吹き始め、沖には白波も立ち始めたことから潔く竿を畳むことにします。

竿は畳んだものの、まだ日もありますし、当初はマダイ狙いで夜までやるつもりでしたので消化不良。さてどうするか…となったところで、朝の道中で気になった駅前の岸壁が頭に浮かびました。「せっかくだから、あそこもやってみるか…」ということで、この続きはまた次回…。

シロギスの天ぷら
シロギスの天ぷら 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、釣れたシロギスは天ぷらで賞味。当たり前ですが、既製品のタイ産冷凍開きキスの天ぷらとは段違いに、上品でいて白身らしい風味のしっかりと感じられる天ぷらは美味。新年に富士山を望みながら思い切り竿を振り、なんとも気持ちのよい釣りとなりました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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