『ドリーム・ホース』 監督／ユーロス・リン 出演／トニ・コレット、ダミアン・ルイス 配給／ショウゲート

年始めということで、今週は〝幸運を呼ぶラッキーアイテム〟といわれる「馬蹄」が登場する、夢と希望に溢れる作品を紹介します。

ちなみに私は乗馬のセンスがまったくありません。これまで3回ほど経験していますが、毎回見事にお股が大破。でも、私が生まれた日にお父さんが競馬で大当たりしたと聞いているだけに、〝ツキがある女！〟…と言いたいところだけど、オイ、その前にお母さんの側にいてくれよって話。

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とにかく馬に興味がなくても、この作品の楽しい世界に浸ることができました。映画は馬好きなら誰もが知っているドリーム・アライアンスの物語。そして、私の大好きなトニ・コレットが主演です！

トニが演じるジャンはパブで働いていますが、それだけでは生活が苦しく、スーパーの仕事も掛け持ちしています。しかし刺激のないルーティンは、どう見ても生き甲斐なんて見当たらない。旦那さんといえばビール片手にテレビばかり見ていて、2人は一緒に住んでいるものの心は別世界。

町のみんなで力を合わせて

そんなある日のこと、とある会話を聞いて、馬を飼うことに興味を持つジャン。とはいえ、経験はないし馬主になるほどのお金もない。でも、それで諦める人ではなかった。〝ウェールズの田舎町のみんなで力を合わせて、お金を出し合ってやればいけるのでは？〟と思い立つ。彼女の誘いに対し、最初は乗り気でない町民でしたが、きっとみんなも平凡な毎日に飽きていたのかもしれません。知識を増やし、馬のトレーニングをしてレースに出たりするようになると、みんながハッピーになってくるのです。

実はこの作品には大事なメッセージが込められているんです。ほとんど会話がなかった夫婦の間に共通の趣味ができたことで、表情も会話も家庭環境がまったく変わったことが大切なポイントです。

皆さんの家ではどうですか？　パートナーと分かち合える喜びはありますか？

実はうち、会話はあったけど共通の趣味があまりなかった。でも、魚好きの主人が勝手に連れて帰ってくるグッピーのおかげで、今では水槽が4つ！　グッピーの赤ちゃんもどんどん生まれてお掃除も大変だけど、命を守る責任感で2人とも親になり、同じことで喜び、同じことで心配したりします。だから、1人の主婦のアイデアでこの町みんなの家族がどう変化していったのかを見てほしい。

今年の1本目は『ドリーム・ホース』。皆さんにとって、今年がウマく…いきますように！

LiLiCo 映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。