プロ野球に新時代!? 侍ジャパン「WBC」優勝なら悲願の“日米ワールドシリーズ”実現か
野球ファンにお年玉的なビッグニュースが飛び込んできた。米球界が公式戦での日本プロ野球とメジャーリーグの交流戦の検討に入ったというのだ。侍ジャパンのWBC優勝が条件というが、これで悲願の「日米ワールドシリーズ」開催に大きく前進か!?
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プロ野球とメジャーリーグの「公式戦での交流戦」が、昨年12月上旬にアメリカ・サンディエゴで開かれたMLB(米大リーグ機構)全30チームのオーナー、監督、GMが一堂に会するウインターミーティングで協議された。
「日本もアメリカも来季の公式戦日程が決まっているため、実施は早くとも2024年から。MLB側が日本に来るのか、日本側が渡米して対戦するかは決まっていないが、オフの親善試合とは違って勝敗が優勝争いにカウントされるため、『日米ワールドシリーズ』の社会実験になる」(スポーツ紙記者)
日米交流戦を説明するには、18年前から検討が始まった日本シリーズの勝者とMLBのワールドシリーズ王者が真の世界一を決める「リアル・ワールドシリーズ」構想を振り返る必要があると記者は続ける。
「ダイエーから球団を買収した2004年、ソフトバンクの孫正義オーナーが中心となってMLBに提唱し、近年も渡米して当時のトランプ大統領にも支援を求めてきた。かつての大物日本人メジャーリーガーの野茂英雄や松井秀喜、松坂大輔、そして現役のダルビッシュ有らの活躍で実現に近づいた時期もあったが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパンのV逸でつまずいた。前々回大会はプエルトリコに、前回大会ではアメリカにそれぞれ準決勝で敗退。MLB側が『時期尚早』と腰を上げなかったのだ」
アメフト“NFL方式”で対戦
ところが、ベーブ・ルース以来104年ぶりとなるエンゼルス・大谷翔平の二刀流の活躍で、日本の要望を再吟味。さらに先月幕を閉じたサッカーW杯カタール大会で、各国の選手たちが国の誇りを胸に戦う姿に触発され、国際化を求める声がベースボールファンに広がり、山を動かした。冒頭のウインターミーティングで、MLB首脳から日米ワールドシリーズを念頭に日米交流戦を試してはどうかとの提案があり、出席者の多くから興行としてメリットが大きいと賛同を得たという。
「ただ、一部球団から、『MLB入りしてもメジャーで通用しない日本人選手も少なくない』との指摘があり、MLBで日本がアメリカと互角以上の結果を残せた場合に実施を検討――のしばりをかけたのです。これで事実上の日本優勝→日米交流戦の流れができた」(スポーツ紙の現地特派記者)
しかし、交流戦が実現しても日本にはセ、パ12球団、アメリカにはア、ナ30球団あるため、全チームと戦うことは不可能。そこで浮上したのがアメフトの「NFL方式」だという。
NFLは、それぞれ4地区(北、南、東、西)から構成された「アメリカン・フットボール・カンファレンス」と「ナショナル・フットボール・カンファレンス」からなり、各地区で優勝した4チームとワイルドカード(勝率上位)の2チームずつ、合わせて12チームがスーパーボウルを目指して戦う。各地区単位で争う間、他カンファレンスの1つの地区4チームと交流戦を行う。交流する地区は4年周期で変わるため、各地区の相手チームは異なるものの、地区優勝が基本だから有利、不利は生じない。
米国も本気で勝ちにくる!
NPBで例えると、セ・リーグ6球団はMLBア・リーグ東地区のヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズ、レイズ、オリオールズと対戦。パ・リーグ6球団はMLBナ・リーグ西地区のドジャース、パドレス、ジャイアンツ、ダイヤモンドバックス、ロッキーズと戦う、といった具合だ。これなら、最大の課題とされた移動距離と時間の問題が解決するのである。ところで、WBC2連覇を目指す米国は、過去の4大会では若手メンバーを中心に戦ってきた。だが、今回はメンツをかなぐり捨て、出場選手枠30人全員を大リーグのスター選手で固める。本気で勝ちにきたのだ。
米国内のスポーツの人気はNFL(アメフト)、NBA(バスケットボール)、MLB、NHL(アイスホッケー)の4つに集中していた。しかし、近年はMLS(サッカー)がNHLの人気を上回ったこともあり、ファンの高齢化が続くMLBは危機感を強めている。
「その上、次回、2026年のサッカーW杯は、米国、カナダ、メキシコ3カ国の共同開催。米国では、カタールW杯でアルゼンチンを優勝に導いたメッシが現在所属するパリ・サンジェルマンから来季、インテル・マイアミCFへ移籍すると報じられるなど、各国のビッグネームがMLSに続々参戦中。サッカーから人気を守るには、WBC優勝が絶対欠かせないという判断です」(前出・デスク)
WBCで米国は昨季15勝の右腕ウェブ(ジャイアンツ)と同12勝の左腕コルテス(ヤンキース)を両輪に、メジャー通算197勝でサイ・ヤング賞三度、昨季12勝の左腕カーショウ(ドジャース)と通算195勝のウェーンライト(カージナルス)、さらにNPB巨人時代の2017年に最多奪三振を記録し、昨季12勝を挙げたマイコラス(同)の代表入りが決定。抑えにも「エアベンダー」と呼ばれる魔球を操るウィリアムズ(ブルワーズ)など4球団の守護神を揃えた。
日本はメジャーリーガーを招聘
打線は昨季40発でア・リーグ2位だった大谷の同僚のトラウト(エンゼルス)が主将で牽引。昨季ナ・リーグ本塁打王(46本)のシュワバー(フィリーズ)、全米野球記者協会がMVPに選出した出塁率4割4厘のゴールドシュミット(カージナルス)、さらに捕手は昨季22本塁打、21盗塁のリアルミュート(フィリーズ)が務める布陣が完成。「米国代表候補30人の昨季年俸を足すと実に438億円。参加保留中のア・リーグMVPで62発の本塁打王ジャッジ(ヤンキース、9年約504億円)が加われば、さらに跳ね上がります。全員が大谷級の天才で、優勝を確信しているからこそ、日米との交流戦やワールドシリーズの話に及んだのでしょう。しかし、WBCは短期決戦。昨季、自己最多タイの16勝を挙げたダルビッシュ有(パドレス)、二刀流の大谷、メッツ入りが決まった7年連続2ケタ勝利中の千賀滉大が万全なら、銀河系軍団が相手でもジャイアントキリングは十分可能でしょう」(大リーグ解説者)
対する侍ジャパンは、2連覇した2009年の第2回大会に並ぶ、日本人メジャーリーガー5人を招聘して王者復活をめざす。
内野は浅村栄斗(楽天)、山田哲人(ヤクルト)、村上宗隆(ヤクルト)、坂本勇人(巨人)、山川穂高(西武)、岡本和真(巨人)…。外野は鈴木誠也(カブス)、柳田悠岐(ソフトバンク)、塩見泰隆(ヤクルト)、近藤健介(ソフトバンク)…。捕手は甲斐拓也(ソフトバンク)、森友哉(オリックス)…。そして指名打者に大谷が入ると予想される。
巨人の主砲・岡本ですら三塁に昨季56発の村上、DHに大谷がいるため、スタメンではない。本塁打王1回、打点王2回の浅村も、昨季41発でパの本塁打王に輝いた山川と一塁を争わざるを得ないほど層が厚い。
とはいえ、3月に行われる第5回WBCは、前回優勝した米国ばかりでなく、前々回優勝のドミニカも第一級のメジャーリーガー揃い。国内リーグの選手だけで戦ってきたキューバもメジャー選手が出場OKになれば、侮れない。過去2大会連続1次ラウンド敗退中の韓国も雪辱に燃えており、米国戦を前に侍ジャパンが敗退する可能性もある。
それでも今回のWBCは日米ワールドシリーズの前段、そして日米交流戦の最終関門。侍ジャパン・栗山英樹監督にとって「優勝が持つ意味」は他国をはるかに上回る。日本球界の悲願達成に気合が入る。
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