今年は当たり年の豊作か、それとも不作か。といっても、農作物の話ではない。1月の大相撲初場所(両国国技館)は卒業を間近に控えた金の卵たちが角界の門を叩くミニ就職場所(本番は3月の春場所)だ。昨年12月に行われた新弟子検査は8人が受験、全員が体格検査を満たした。うち7人が卒業目前の高校生か高卒OB、1人が大学生だった。
「入門してくる新弟子には、年によって出来、不出来の波があり、昭和63(1988)年春場所のように、曙、貴乃花、若乃花と後の横綱を3人も輩出した超豊作の年もあれば、反対に1人も関取が出なかった大凶作の年もあります。今回の新弟子の特徴は圧倒的に高校生が多いこと。以前は〝高卒は大成しない〟といわれていましたが、最近の関取は高卒が大卒を圧倒している。番付を見ても横綱照ノ富士をはじめ、大関貴景勝、豊昇龍、琴ノ若、大栄翔ら上位陣のほとんどが高卒です」(協会関係者)
相撲の強豪校出身者
今回の新弟子たちもなかなかの実力者揃い。中でも、注目度が高いのは昨春、鳥取城北高を卒業した落合哲也だ。2年連続して高校横綱のタイトルを手にし、昨年9月には全日本実業団選手権でも優勝した実績を誇る。
「初場所では幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏むことが決まっており、昨年末から入門した宮城野部屋で稽古を始めています」(大相撲担当記者)
現役高校生6人のうち、相撲経験のないのは1人だけで、残る5人は高校相撲で活躍した実力者だ。そのうちの3人は、高校相撲の強豪校・埼玉栄高のチームメート。主将を務めていた斎藤成剛は伊勢ノ海部屋の部屋付きの甲山親方(元前頭大碇)の長男で「会場を沸かせられるような力士になりたい」と意気込みを語る。
ユニークなのは、現役大学生の飯間ルーカス一夫。両親はブラジル国籍、高校でバスケットボール、名古屋経済大ではラグビーをやっていた変わり種だ。
果たして、金の卵たちはどんな花を咲かせるのか興味は尽きない。初場所は1月8日から始まる。
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