今年、最も衝撃的だった出来事といえば、間違いなく安倍晋三元首相の暗殺事件だろう。
自ら銃を自作してまで安倍元首相の命を狙った山上徹也容疑者の動機は「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する恨み」だった。
以降、報道は旧統一教会の批判一色になり、中でも霊感商法や億単位の高額献金が社会問題として大きく取り沙汰され、法改正にまで至る事態となったが、専門家の間では教団内で40年にもわたって行われてきたという信者間の「養子縁組」あっせん疑惑の方が問題だとする意見が強い。
一連の経緯は、11月に放送されたNHKの『クローズアップ現代』で明るみになった。番組によると、教団は子供のいない信者の家庭と子供のいる家庭との間で「養子縁組」を推奨。その数は、教団が把握しているだけでも実に745人にも上っているという。
「教団系の出版社『光言社』が発行した複数の書籍には《養子の約束を交わすのは妊娠前が最も望ましい》との記述があり、子供の誕生前から養子縁組に出す前提で話し合うよう推奨していました。縁組を希望する場合や合意した場合には教団本部の家庭教育局への報告が求められているので、〝組織的なあっせん〟を強くうかがわせる内容となっています」(全国紙記者)
「解散命令」請求の根拠になる
これでは、「最初から子供を養子に出す前提で妊娠する人もいるのではないか?」「子供の人権をないがしろにしている」などの声も上がり、養子縁組を所管する厚生労働省も調査に乗り出している。
「養子縁組あっせん法は2018年4月に施行され、反復・継続的なあっせんを行う場合は都道府県の許可が必要と規定されています。同法には刑事罰も設けられており、無許可でのあっせんは1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金が課される。厚生労働省はこれまでに、教団に対して二度にわたって質問状を郵送。今月19日までに教団から2回目の回答を得たとして、同省は『回答内容を踏まえて適切な対応を検討したい』とコメントしている。悪質な違反が確認された場合は、警視庁への刑事告発も視野に検討しているようです」(同・記者)
その内容から〝人身売買〟に近いと批判も相次いでいる旧統一教会の養子縁組問題。警察の強制捜査にも発展しかねず、教団にとっては致命傷となる恐れも強い。
「この問題が、文部科学省が現在検討している『解散命令』請求の根拠となる可能性も高い。組織的な養子縁組のあっせんが、解散命令を出す要件である〝法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為〟と見なされる恐れが強いからです。養子縁組あっせん法の違反で刑事告発を受け、警察の強制捜査が入れば、解散命令への〝トドメの一撃〟となり得えます」(同・記者)
まずは、一刻も早い実態解明が待たれる。
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