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『ウツ婚!! 死にたい私が生き延びるための婚活』著者:石田月美~話題の1冊☆著者インタビュー

『ウツ婚!! 死にたい私が生き延びるための婚活』著者:石田月美 
『ウツ婚!! 死にたい私が生き延びるための婚活』著者:石田月美 

『ウツ婚!! 死にたい私が生き延びるための婚活』晶文社/本体価格1600円
石田月美(いしだ・つきみ)
1983年生まれ、東京育ち。大学在学中に摂食障害になり、中退して実家に戻る。精神科に通いながら婚活をして結婚。2014年から『婚活道場!』という婚活セミナーを立ち上げ、「病を抱えたまま社会と繋がる」をテーマに精神科のデイケア施設にて講師を務める。

――精神疾患を抱え、実家で引きこもり生活をしていたそうですね。どのような毎日だったのでしょうか?

石田 食べて寝るだけの毎日でした。出掛けるのは両親が寝静まった深夜、コンビニに過食用の食べ物を買いに行くときだけ。お風呂にも入らず、誰ともしゃべらず、延々と食べて、お腹いっぱいで気絶しそうになりながら寝てという毎日です。引きこもりのきっかけは、太ったからです。人間関係が上手くいかず、その理由を自分の体型のせいだとすり替えていました。気がつけば数カ月単位で引きこもるようになりました。

――そんな生活の中で〝婚活〟しようとしたのはなぜですか?

石田 こんな生活なら「死にたい」と何度も思いました。でも、自殺する勇気が出ない。精神科の主治医は、無職で実家に寄生し、手に職も持たない私に、さじを投げるように「結婚すれば?」と言いました。ほとんど他人と接していなかった私は、その言葉を真に受けて婚活を始めたのです。久しぶりに接した〝社会〟で、改めて己の姿を見て「お風呂は入らなきゃヤバイな」というレベルからの婚活でした。

ラブホを予約し男性をタクシーに押し込んだことも…

――精神科に通いながらも、見事、結婚を成就させました。どんな〝テクニック〟を駆使したのでしょうか?

石田 何度もお見合いパーティーに行きましたが、人と接することでパニック発作が起きそうになりました。そこで、「キツイ下着はつけない」「発作が起きそうになったらトイレにこもって、今日の日付を確認する」「耳栓は会場に着くまでつけたままにする」などの工夫をしました。おかげで、こんな私でもデートのお誘いを受けるようになったのですが、デートもまた大変でしたね。

摂食障害なので、何が食べたいのか、どれくらい食べたらいいのかも分かりませんでした。そのため、自分でラブホテルを予約して、意中の男性を手作り弁当と共にタクシーに押し込んだこともあります。結果、私も弁当も食われたのですが、「彼女はいないけど、妻がいる」と言われました(笑)。

――現在は婚活セミナーを主催しているそうですね。

石田 精神科で見すごされがちな〝身体のこと〟〝生活のこと〟をお話ししています。結婚を勧めるセミナーではなく、〝婚活〟という切り口で、〝自分自身を安全に〟〝他者との関係性を安全に〟していくためのセミナーです。同じような悩みを抱えている方へ、

「私たちの抱える病は治りません。しかし、病と共に生きていくことはできます。その作戦を共に紡ぎましょう!」

(聞き手/程原ケン)