女優/川上麻衣子インタビュー~「絵本、エッセーと多彩…でも男性には一途なんですよ」
川上麻衣子といえば『3年B組金八先生』(TBS系)の迫田八重子役を思い出す方も多いだろう。17歳での初ヌードも衝撃的だった。その後は女優としてのキャリアを重ね、コメディーにも挑戦。近年では絵本の翻訳、エッセイの執筆、ガラスデザイナーなど多方面で活躍し、愛猫家としても知られている。
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私生活では2000年に離婚しているが、その後の恋愛事情はどうなっているのか? ファンには気になるところだ。彼女が経営する東京・千駄木のお店『SWEDEN GRACE(スウェーデングレイス)』で話を聞いた。
――この辺りは「谷根千」と呼ばれる人気エリアですが、どうしてこの地にお店を出すことに?
川上 元々は父が谷中に住んでいたことがあり、菩提寺が谷中霊園というのが最初の縁です。ある取材で来たときに猫を扱ったギャラリーなどが多かったんですね。私自身が猫好きなのと、猫を愛している街という印象があって、お店を開くならここだなと思いました。
――1階の『スウェーデングレイス』はスウェーデンの暮らしのデザインや麻衣子さんデザインの作品などが並び、2階はイベントスペース「まいの間」。こちらではどんなことをしているのでしょう?
川上 2018年に一般社団法人『ねこと今日』というのを立ち上げたんです。まだコロナ前だったので、保護猫の譲渡会を開いたり、スウェーデン語教室やフリーマーケットなどもやってきました。それまではお店とイベントを別々の場所でやっていましたが、一緒にしようということで今年(2022年)5月に現在の場所に移転してきました。
猫を飼う生活とは…
――コロナ禍で猫などのペットを飼う人が増えていると聞きます。川上 そうですね。ただ、去勢の作業が追いつかない、病院自体にアルコールが少ないなど、コロナ禍の影響も大きくて、この辺りでも一時期、野良猫がすごく増えたんです。私自身、保護猫活動にはまだまだ詳しくないのですが、少しでも多くの方に里親になっていただきたくて『しあわせにゃんこ』というボランティアの方たちと協力し合いながら譲渡会を定期的に(月2回)開催してきました。もちろん、感染対策をして人数制限をしながら。里親が決まった猫は、この3年ほどで1000匹は超えていると思います。
――ご自身が飼われているのも保護猫ですか?
川上 今は2匹で、ココロ(女の子で6歳のキジシロ)とタック(男の子で5歳の茶白)といいます。ココロは母親が虐待されて病院に運ばれてきて、そこで生まれた子。タックは千葉で親とはぐれていたのを保護されました。18歳で初めて猫を飼ってから、一番バランスがいいのは3匹だと思っているのですが、3年前に亡くなって以来、まだ巡り会えてない感じですね。
――猫がいる生活は何が楽しいのでしょう?
川上 一番いいのは「気配」なんですよね。静かなのに、ふと気がつくと見えるところで寝ていたり。
――でも、死を看取るのは辛いでしょ?
川上 今まで7匹看取ってきましたが、それも含めて幸せだなと感じるようになりました。一緒に暮らしたという満足感というのかな。猫の方がその日を分かっていて、ちゃんと誘導してくれるような気がするんです。まるで、こちらのスケジュールに合わせてくれているような。あるときは、偶然家族が全員揃っているときだったり、海外に長期間行かなければいけない前日だったり。18歳から飼い始めましたけど、これまで猫のいない生活がないんです。途切れたことがない。
――男は途切れても、ですか?(笑)
川上 いきなりソコに来ましたか? 確かにそうですね、うふふ。
――やはり、その猫を受け入れてくれない男性はだめですかね。
川上 それはもう無理です。嫌いと言われた時点で、その先はないかも(笑)。
――5年前、舞台のパンフレットが原因で発覚した恋人とはその後も?
川上 お付き合いさせていただいてます。
――当時、大阪で舞台に出演されて、そのパンフレットに某先輩俳優が「最近、関西弁を覚えたのは関西弁の彼氏ができたかららしい」とメッセージを寄せていたのがきっかけで交際が発覚されたんでしたね。再婚はないのですか?
――川上さんといえば『~金八先生第2シリーズ』(1980年放送)での迫田八重子さんの印象が強いのですが、いろいろと大変だったようですね。
川上 とにかく沖田浩之くん(松浦悟役)の人気がすごくて、街中で女子高生に会うと石を投げられてましたから。沖田くんにちょっかいを出す女…というイメージだったんでしょうね。カミソリなども送られてきて、本当に怖かったです。
――ドラマの中では、不良の松浦悟が優等生の八重子の言うことだけは聞くんですよね。そこが癇に障ったんでしょうか。
川上 私が「あのことを言うわよぉ」と言うと、彼が「分かったよぉ」って。でも、ドラマの中ではその秘密が明かされないままなんです。私も気になって脚本家の小山内美江子さんに聞いたら、「漫画化されるんだけど、そこには秘密が何だったのか、描かれているのよ」と言われて読んじゃいました。なので、気になる方は読んでみてください。
――その優等生が、数年後にヌードになったのは衝撃でした。17歳のときの写真集『暑い国 夢の国 生まれた国』(篠山紀信撮影)は、あの宮沢りえさんよりも早かった。
川上 正直、ヌードになるのは本当に嫌でした。事務所に入るときも「絶対に脱がない。どんなベッドシーンでも!」という強い気持ちだったんですが、篠山紀信さんに撮っていただけるのなら…とお任せしたんです。でも、それ以来、同世代の女の子が演じない役をたくさんいただけました。10代の非行とか妊娠する役とか。いわゆる汚れ役を断る女優さんが多い中で、私にはそういう役が多く回ってきたんです。それに、14歳でデビューすると「あの子は処女なのか?」と当時のマスコミは興味津々でしたが、私の場合は「ヌードになってるくらいだから、処女じゃないだろう」と勝手に考えられて、芸能レポーターからも放っておかれたんです(笑)。
――スウェーデン生まれだけに、進んでいるんだろうなと?
川上 その分、いやらしい妄想をされてしまい、苦労もしましたけどね(笑)。
――その後、36歳のときに再び篠山紀信さんで写真集『MAIKO KAWAKAMI』を出された。10代の写真と現在の写真の半分半分というユニークな構成でした。
川上 20年間の成長と変化を見比べられる、味わいのある作品で、私のお気に入りです。36歳というのは何事にもちょうどいい年齢で、20代でもなく40歳になる手前。そういう意味で10代の写真は(自分の)子供を見ているような境地でしたね。
――川上さんは年齢にこだわりがあるようですね。お付き合いした男性には27歳が多いとか。
川上 そうなんです。すごく魅力を感じるんですよ。少年から青年になる変化の大きい頃でしょ? スポーツ選手も27歳くらいがピークといわれるじゃないですか。あと、青年から大人になる42歳というのも、中途半端でいいですよね。中年に入りそうでいて、でも、まだ若いゾっていう揺らいでいる感じがいいんです。そういう男性には自分からアプローチしちゃいますね。
――そこは肉食系のイメージ通りです(笑)。
川上 でも、2人きりになるとすごい甘えん坊になるところもあるんですよ。
――そういうところが猫っぽいですね。
川上 それ、よく言われます。猫と暮らすと、猫に似てきちゃうんですかね。
影響を受けた諸先輩方
――ところで、生前、仲のよかった志村けんさんとの思い出も語っていただけますか?川上 元はといえば女優の可愛かずみちゃんと私が同じマンションに住んでいて、志村さんとは3人で常に一緒だったんです。飲んだ後に雑魚寝をするくらい仲がよくて、もしかしたら志村さんはかずみちゃんがタイプだったのかもしれないですね。彼女が亡くなってからは2人で飲み歩きましたが、お互いに恋愛相談はしてましたよ。志村さんの場合、振り回されるというかうまくいかない恋が多くて、よく愚痴を聞いていました。『志村X』(フジテレビ系)など、たくさんの番組でも共演しましたけど、志村さんは「唯一、何もなかったのは麻衣子だけ」って言われました。なんでだろう? お互いにタイプじゃなかったんですかね。
――志村さん以外に影響を受けた方はいますか?
川上 市原悦子さんには若いときに貴重なアドバイスをいただきました。『金八先生』のあと、学校が厳しくて芸能界をいったん辞め、普通の高校生活を送ったあとの復帰第1作が市川崑監督の『幸福』という作品。近親相姦の末、実兄の子供を妊娠し錯乱して失血死する少女の役でした。脚本を読んだときはショックで、どうしてこんな難しい役を…と悩んでいたんです。そんなときに市原さんが「若くしてこういう演じ甲斐のある役をもらえるのは女優冥利に尽きるわよ」と言われたのが励みになりました。あとは太地喜和子さん。映画のロケ先で「あんた、面白いからおいで」と言われて一升瓶をドーン(笑)。とっても魅力的な方でした。
――すごいエピソードですね。最近の川上さんも脂が乗って魅力的ですよ。その美を保つ秘訣はなんですか?
川上 特に何もやってないんですけど、最近はラジオ体操にハマっています。毎朝6時半に上野公園とか根津神社など、いろんなところに出没しているんです。すごく盛り上がってますよ~、ラジオ体操。第1から第2まで、きっちりやるといい運動になりますから。上野公園は300人くらい、根津神社にも100人くらいが集まってきます。見たところ70代がメインなんですけど、朝の清々しさを感じながら、年配の方の中に入って、ちょっとだけ自分の若さを感じているってところですかね(笑)。
――お店はスウェーデン雑貨ですが、川上さんといえば車へのこだわりも有名でしたね。
川上 『サーブ』ですね。故障も多くていろいろと面倒くさい車でしたが、5台乗り継ぎました。でも、会社の倒産とともに車生活を卒業しました。この辺は電車の方が便利だし、レンタカーでいろんな車種を楽しんでいます。
――イメージ的に男性遍歴はすごいのに、車に関しては一途なのが意外ですね。
川上 男性に対しても案外一途ですよ、そんなに乗り換えないんです(笑)。
◆かわかみまいこ 1966年2月5日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。著書に『彼の彼女と私の538日 猫からはじまる幸せのカタチ』(竹書房)など。YouTube『ねこと今日』も好評配信中。
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