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『歴史人2月号=特集:日本人のルーツをたどる!名字と家紋の真実』(ABCアーク/税込900円)~本好きのリビドー/昇天の1冊

『歴史人2月号=特集:日本人のルーツをたどる!名字と家紋の真実』(ABCアーク/税込900円)
『歴史人2月号=特集:日本人のルーツをたどる!名字と家紋の真実』(ABCアーク/税込900円)

私たちが生まれながらに持つ「名字」。そして、今では墓石に刻んだり、和服などに刺繍で入れるくらいだが、その由来を知ることは少ない「家紋」。その二つを取り上げ、分かりやすく解説した雑誌が歴史人2021・2月号特集『日本人のルーツをたどる! 名字と家紋の真実』(ABCアーク/税込900円)だ。

名字とはそもそも古代、朝廷が有力な豪族や貴族に「氏」(うじ)を与えたことが起源だそうだ。個人を挙げると「蘇我」「中臣」などが代表例。中臣はその後、「藤原」となっていく。

一方で武士が現れると、「源」「平」などを「姓」(せい)に使う者が現れる。織田信長は「平」を姓とし、徳川家康は「源」を名乗った。これに住んでいた場所の地名「織田」「松平」をそれぞれ「名字」とし、正式な名前は「織田平信長」(おだたいらののぶなが)、「徳川源家康」(とくがわみなもとのいえやす)となる。武士は「土地」の名前を名字としたのである。

日本の“不思議さ”を突きつけられた気持ち

一般庶民は、特例を除いて名字がなかったが、明治政府が国民全員に名字を義務付けると、村の西側の田んぼを持つ者が「西田」、橋の近くに住んでいれば「橋下」など、地形や方位をもとにした。

家紋の歴史も同じように奥深く、たどっていくと先祖が見えてきたりする。日本の不思議さを突きつけられた気持ちになる。

昨年までKKベストセラーズが発行していた雑誌だが、今年からABCアークへ発行元が変わった『歴史人』。今後も興味深く読んでいけそうだ。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)