マンションやアパートなどの賃貸住宅に入居する際、家賃保証会社との契約を条件とする物件オーナーが増えている。従来は「連帯保証人」を設定するケースが多かったが、家賃滞納や契約違反が急増しており、家賃保証会社の利用が拡大。賃貸管理会社の8割が家賃保証会社を利用しているという。
「家賃保証会社は借り主による家賃の滞納時に代位弁済や滞納分の回収、退去時の残存物処理、明け渡しに係る訴訟などを代行してくれるので、リスクの大幅軽減になります」(不動産会社関係者)
一方で、家賃滞納した借り主に対し、家賃保証会社の厳しい債権回収や部屋の追い出しによるトラブルも増加しているという。
「コロナ禍でリストラされ、家賃を2カ月滞納したら家賃保証会社に鍵を変えられ、ドアの外に家財が放置されていた」(50代男性)――。「深夜や早朝に自宅に来られ家賃を督促され、地方に住む両親や兄弟まで代わりに家賃を払えと恫喝された」(20代女性)――。そんな、昔のサラ金のような債権回収を行う悪質な業者もあり、一部で問題になっているのだ。
こうした中、NPO法人・消費者支援機構関西(大阪市)が家賃債務保証大手のフォーシーズ(東京都・港区)に賃貸住宅の賃借人との間で交わす契約条項の使用差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、仰天の判決が出た。
独居老人やフリーターは部屋を借りられない!?
「最高裁は『賃貸借契約を結ぶ家主、借主でもない保証会社が家賃を2カ月以上滞納し、電気やガスの使用状況から部屋を利用していないとみられる場合などに部屋を明け渡したとみなすフォーシーズの条項が違法』として、使用の差し止めを命じたのです。また、3カ月以上の滞納で家賃保証会社が事前通告なく賃貸借契約を解除できるとした別の条項も違法と判断しました。昨年の大阪高裁では保証会社側の訴えが認められ、家賃滞納による家財撤去ができると判断されていましたが、最高裁では借り主を保護する異例の判決で、NPO法人が逆転勝訴しました」(全国紙記者)
この判決によって今後、家賃滞納が続いても保証会社による部屋の引き渡しが認められず、家主側が不利になる恐れがある。
「数カ月に渡り家賃を滞納され、連絡が取れなくても退去させられないのは困ります。これからは部屋を貸す相手を選ぶしかないですね」(不動産オーナー)
今後は家賃保証会社が独居老人やフリーターなど滞納リスクが高い入居希望者を不当な理由で断ったり、高額の契約料を求める可能性も否めない。今回の最高裁の判例によって賃貸借契約の流れが変わり、部屋を借りられなくなる人が増えるかもしれない。
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