日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『カワハギ』大阪府堺市/南港新波止産~日本全国☆釣り行脚

寒ブリ、寒サバ、寒ビラメ…冬の魚がおいしい季節になってまいりました。今回の狙いとなるカワハギも、頭に〝寒〟こそ付きませんが、やはり冬においしくなる魚。フグ並みといわれる身もさることながら、大きく膨らんだ肝を醤油に溶いて刺身で一杯などというのは、左党にとってはタマランものがあります。


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水温の低下とともに寒さから身を守るため、あるいはエサの少ない冬場を乗り切るために身に脂肪を蓄える魚たち。ところが、カワハギの場合は身にそれほど脂肪を蓄えない代わりに、栄養を蓄える肝が肥大します。そんな冬の肝パンなカワハギを狙うべく向かったのは、大阪府堺市は大阪南港にあります新波止です。渡船利用となる沖一文字(沖堤防)ゆえに潮通しは抜群。ブリやサワラなどの大型青物からクロダイ、タコなど多彩なターゲットを狙える一級ポイントです。もちろん人気もかなりのものですから、在阪の釣り人であれば行ったことのある方も多いのではないでしょうか。


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さて、当日の一番船は朝4時半出船とのことでしたが「まあ、相手はカワハギだし、そこまで早起きすることもあるまい」と5時半の2番船に乗るべく乗船場に到着。駐車場はかなりの数の車で埋まっております。乗船手続きを済ませてから船に乗り込むと、2番船とはいえ結構な数の釣り人で船内は活気ムンムン。これはいやが上にも気持ちが高鳴るというものです。


まだ暗い海上を走り、途中〝セル石〟で数名の釣り人を降ろしてから、しばし走ると、いよいよ総延長約1.5キロメートルの長い防波堤、新波止が見えてまいりました。防波堤が近づくにつれ、むむっ、等間隔で釣り人とおぼしきシルエットが立っているような…。


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防波堤に船が付き〝真ん中〟と呼ばれるポイントで降りると、外側向きはズラリと並んで竿を振る青物狙いの釣り人の姿が。いやはや、すごい人気ですなぁ。こちらは防波堤際のカワハギ狙いなので、明るくなるまでのんびりと待つこととします。

日が昇るとアタリ頻発

やがて日の出となり、朝の時合い到来とばかりに青物釣り師の竿が曲がり、大きなブリが取り込まれました。こちらもボチボチ始めますか、と安物竿に市販のカワハギ仕掛けをセット。エサを付けて堤防の際に仕掛けを入れます。「入れればすぐにアタるでしょう」などと楽観的に構えますが、一向にアタリはありません。堤防スリットの壁際や堤防の継ぎ目など、めぼしいポイントに仕掛けを入れますが反応はナシ。さてどうしたものか…。

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無心に探り続けるうちに、辺りはすっかり明るくなり朝の日差しで暖かくなってまいりました。と、コンッ!と鋭いアタリ。反射的に合わせると、スカッ! さすがエサ取り名人とも呼ばれるカワハギ。エサを取られた空バリが返ってきました。とはいえ、本日初の〝らしいアタリ〟に気合も入り、しっかりとエサを付けて再び投入。オモリが着底すると同時に再びコツンとアタリが出ます。今度は心構えもできており、鋭く合わせると心地よく竿先が絞り込まれてハリ掛かりです。 肝に昇天煮付けも◎

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キュンキュンと鋭い手応えを楽しみながらリールを巻き上げて、本命カワハギの一丁上がりです。完全に昼行性のカワハギゆえ、ちょっと釣り始めるのが早かったのでしょうか。ここからはコンスタントにアタリが出始め、ワッペンクラスの小型中心ながらも時に20センチ近いサイズも交じってカワハギの鋭角的な引きを堪能。エサ取り名人なだけにアタリがあってもハリ掛かりしないことも多く、つい夢中になってしまいます。結局、小さなワッペンクラスは逃がしながら、昼まで釣って食べるには十分な量のカワハギを確保できたところで竿を納めることにしました。


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帰宅後、カワハギをさばいてみると目論見どおり肝はパンパン。早速、型の良い物は刺身に、小型は煮付けにして晩酌です。肝を醤油に溶いて、ついでに刺身にも肝を乗せてパクり。これがもう、日本酒に合うことといったらありません。そして、身離れがよく上品で食感の良い煮付けもこれまた美味。たまらない冬の味覚に、ついつい日本酒が進むのでありました。


さて、今年も〝ちゃんとしていない釣り人〟のわりとショボくれた釣行脚にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。来年も皆さまにとってよい年でありますように。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。