野党・国民民主『自公政権』に参画!? ネックは前原代表代行&「維新」との関係性か
国民民主党が自民、公明両党の連立政権に参画し、同党の玉木雄一郎代表が年明けにも入閣する――。
12月2日、時事通信が配信した観測記事をきっかけに、こうした怪情報が永田町を駆け巡り、3党だけでなく野党第1党の立憲民主党も含め、各党議員を震撼させた。所属議員が衆参それぞれ10人、計20人にすぎない国民民主の動向が、永田町の話題をさらったのはなぜか。「自公国連立」説の真偽はいかに。
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国民民主は通常国会で、令和4年度予算と第1次補正予算に賛成。10日に閉幕した臨時国会では第2次補正予算だけでなく、最大の焦点となっていた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐる被害者救済法にも、野党の中で真っ先に賛成の意向を示した。
もはやその言動は与党そのものであり、連立入りしても不思議ではない。そもそも玉木氏は自民党の名門派閥、宏池会(岸田派)中興の祖である大平正芳元首相の後継者を自任し、大平氏の縁戚に当たる。地元も同じ香川県で、大平氏は旧大蔵省の先輩でもある。
玉木氏と宏池会の親和性は高く、宏池会から枝分かれした志公会(麻生派)を率いて、かねてより「大宏池会構想」をもくろむ麻生太郎副総裁とも良好な関係を保っている。しかも、山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相、寺田稔前総務相が相次ぎ辞任を余儀なくされ、岸田文雄首相は息も絶え絶えの状況となっている。
公明党のリークという説も…
そんなタイミングだけに、国民民主の連立入りと玉木氏の入閣は、現実味を持って受け止められた。「火のない所に煙は立たぬ」の言葉通り、水面下で調整が進められていた可能性は高い。早急に政権基盤を強化し、局面打開の契機にしたいと願う岸田首相の思惑が透けて見える。だが、この手の話が表沙汰になれば、すぐ潰れるというのが永田町の常識。入閣がかなうとあって玉木氏が浮かれ、自らしゃべってしまったという説もあるが、いくら「軽い」(国民民主関係者)ことで有名な玉木氏でも、連立構想の消滅が想像できないほど能天気ではないはずだ。
そこで考えられるのは、公明党によるリーク説。公明は1999年10月、時の小渕恵三内閣の下で小沢一郎氏率いる旧自由党とともに「自自公連立政権」を組んでいる。その後、自由党が離脱して自公の連立政権になり、野党転落など紆余曲折を経て今に至る。
公明は3党連立より2党連立のほうが、影響力を発揮できると身をもって経験している。逆に3党連立になれば、公明の存在感が低下することは避けられない。
ましてや衆院小選挙区の「10増10減」に伴い、候補者調整がより複雑になるため、新たに得られるかもしれない選挙区を国民民主に奪われる可能性がある。公明にとって国民民主の連立入りは、是が非でも潰しておきたい案件なのだ。
もう一つ考えられるリーク元は、立憲民主党だ。立憲民主と国民民主は、元をたどれば旧民主党で、いわば「兄弟政党」(立民の泉健太代表)である。
旧民主から自民に移籍した山口壯衆院議員は、環境相(すでに退任)に就任。松本剛明衆院議員は旧民主党政権時に外相を務めたにもかかわらず、寺田氏の後釜として総務相に就いた。この光景を目の当たりにした立民からは、山口、松本両氏に対し、嫉妬と怨嗟の視線が注がれている。
さすがにすんなりは進まない
旧民主出身者では細野豪志、長島昭久両衆院議員が、自公政権で閣僚になるのは、もはや時間の問題だろう。そんな中、玉木氏まで入閣させるわけにはいかない。立民にはそんな思いが強い。しかも、野党議員が次から次へと与党入りすれば、野党は弱体化する一方で、立民による政権交代はますます遠ざかることになる。国民民主の連立入りを阻止する動機は、もはや十分そろっているだろう。
玉木氏といえば被害者救済法の修正をめぐって、ツイッターに「言葉遊びで法的には意味がない」と投稿し、立民の岡田克也幹事長が激怒するという出来事があった。
被害者救済法は寄付勧誘時の法人や団体の配慮義務を定めているが、政府・与党側は、マインドコントロール下にある人の寄付を禁止すべきとする立民に歩み寄り、「十分に配慮」という表現に強めた。このことを玉木氏は「言葉遊び」と揶揄したわけだが、まさか与党入りすることを見越して、立民を挑発したわけではあるまい。
この軽率さがいかにも玉木氏と言わざるを得ないが、現実問題として与党入りはすんなりとは進みそうもない。国民民主の前原誠司代表代行が、拒否するとみられているからだ。前原氏はもともと政権交代論者として知られており、与党入りにはかねてから否定的な考えを持っている。
前原氏は京都を地盤としており、大阪発の全国政党である日本維新の会と良好な関係を築いている。関西同士とあって喧嘩は避けたいというのが、互いによろしくやっている理由だが、維新は安倍晋三政権や菅義偉政権の頃と異なり、岸田政権には対決姿勢で臨んでいる。維新が立民と国会対策で共闘しているのは、その裏返しにすぎない。
玉木氏がひとたび連立入りを決断すれば、国民民主が分裂するのは間違いない。もちろん、玉木氏が党を捨て単独で自民入りする可能性もあるが、そんなことをした途端、玉木氏は世間から白い目で見られるようになる。自公国連立政権の動きは、年明け以降もくすぶり続けることだろう。
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