日本でも鳥インフルエンザに感染したニワトリ、野鳥に関連する報道がこの冬、やたら多いと思っていたら、世界保健機関(WHO)は12月3日、次のような声明を発表した。
「公衆衛生を危険にさらす可能性のある、新たな病原体を封じ込めるために必要な措置を実施する」
インフルエンザウイルスに感染した鳥にさらされた人に対し、インフルエンザに似た疾患や重症急性呼吸器感染症(SARI)の発生を監視することを推奨したのだ。
〝インフルエンザの達人〟と呼ばれる医師で作家の外岡立人氏が言う。
「鳥インフルエンザウイルスは、シベリアの渡り鳥が運んでくるものです。そのため、北米や南米にはいなかったんですが、近年、地球温暖化が一段と進み、シベリアから南下する渡り鳥の飛行ルートが大きく変わってきた。北米のカナダや南米のペルーでも家禽農場のニワトリが、鳥インフルエンザに感染している例が報告されています」
人への毒性が懸念される
鳥インフルエンザは通常、10月下旬に最初の感染がみられるが、今シーズンは養鶏場では岡山、北海道、香川、茨城、和歌山、鹿児島など1道9県(12月8日時点)へ拡大。海外ではヒトへの感染、そしてヒト・ヒト間の感染も報告されているだけに脅威だ。
「アフリカで多く見られ、家庭でニワトリを飼う習慣のあるエジプトでも流行した。特に子供が犠牲になる例がありました。しかし、渡り鳥が来なくなって終息したようです」(外岡氏)
2003年からこれまで、WHOに報告された高病原性鳥インフルエンザH5N1型のヒトへの症例数は867、死亡者は457人を数えている。ヒトに対する強毒性は、どれほどなのか。
「今年9月にはスペインの家禽農場で2人の従業員がH5N1ウイルスに感染した。それは鼻咽頭液をPCR検査で行って確認されています。結局、軽症で済んだようですが、今のH5N1ウイルスが致死率50%の強毒性のものなのか、まだ分かっていない」(外岡氏)
この冬、鳥インフルの猛威は収まりそうにない。
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