(画像)David Lee/Shutterstock
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WBC“ルール未定” の「不手際」で日本人メジャーリーガーが予選から強制出場か

大谷翔平、ダルビッシュ有に続き、鈴木誠也も――。


ワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)を戦う侍ジャパンのクリーンアップは、大谷、鈴木、ヤクルト・村上宗隆。先発ピッチャーはダル、大谷、千葉ロッテ・佐々木朗希、オリックス・山本由伸。下位打線にはソフトバンク・柳田悠岐、阪神・佐藤輝明、大山悠輔、ヤクルト・山田哲人、巨人・岡本和真もいて…。「世界一奪回」がかなり現実味を帯びてきた?


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それでも、問題がないわけではない。ダルや鈴木が正式に参加を表明するまで、かなりの時間を要した点が気になる。


「彼らは栗山英樹監督の人柄、人望で侍ジャパン入りを決めました」(球界関係者)


〝即決〟できなかった理由もあったようだ。


「当初、侍ジャパンをサポートしていたNPBスタッフは『決勝ラウンドだけでいいから、なんとかならないか?』と、日本人メジャーリーガーたちを口説いていました」(同)


メジャーリーグ30球団のオーナーたちがWBCに協力的ではないのは、有名な話。所属選手がWBC中に故障したときのリスクを強く恐れるためだが、「決勝ラウンドだけ」の言い方は、ちょっと気になる。


「ダルが自身のSNSで参加表明したコメントが、WBC開催者の不手際を物語っているというか…」


米国在住記者がそう言う。ダルが参加表明したのは、12月7日。〈日本ラウンドからいないと気持ち悪い部分もありましたので〉と予選はもちろん、来年2月17日から始まる強化合宿から合流するニュアンスだが、これこそが〝WBC主催者の不手際〟なのだ。

聞く度に曖昧な回答が…

日本ラウンド(予選)を勝ち上がり、決勝ラウンドに進出する際、『何人かの選手を入れ替えてもいい』と伝えられている。しかし、そこから先の詳細なルールはまだ決まっていないようだ。入れ替えメンバーについて、その人数が「2人」から「2、3人」となり、「投手に限り」、「いや、故障者が」と、聞く日によって回答が変わるそうだ。

「『いつ聞かされた情報が本当なんだ?』というのがNPB側のホンネでしょう。入れ替えが可能になるのは間違いないですが」(同)


日本人メジャーリーガーたちの時差ボケ、移動負担を加味して、「決勝ラウンドのみ」とする方法もあった。しかし、その入れ替え策が「故障者のみ」となった場合、彼らを待機させるだけで終わってしまう。大谷、ダル、鈴木には予選から頑張ってもらうしかないのだ。


こんな意見も聞かれる。


「前回大会の2017年ですが、アストロズに所属していた青木宣親が3月2日にチームへ合流し、翌3日の強化試合に出場していました。でも、合宿から合流させたほうがいい。合宿地の宮崎は大変な賑わいになるでしょうが」(スポーツライター・飯山満氏)


合宿、予選からの合流案をMLBサイドから見た場合、ダルたちには〝別のリスク〟が生じてしまう。


「侍ジャパンの合宿と、MLBのスプリングキャンプは、時期的にバッティングします。侍ジャパンが決勝戦まで進出した場合、ダル、鈴木、大谷はキャンプ、オープン戦は全休となる可能性が高く、再調整のため、メジャー開幕戦をマイナーで迎えることに」(同)

“大谷ルール”が採用されるのか

WBC参加を即決できなかったのは、そのためだろう。WBCの〝未定ルール〟は、これだけではない。

「指名打者制です。『大谷ルール』になるのか、通常DH制なのかまだ分かりません」(前出・球界関係者)


今季、MLBで採用された「大谷ルール」。大谷が先発する試合で「投手兼指名打者」としての出場が可能となり、投手降板後もDHとして打席に立ち続けることが可能だ。


通常DH制なら、大谷先発の試合は他選手をDHに入れなければならない。大谷は投げる日には、打席に立つことができなくなる。


「投手・大谷が先発する試合で打者・大谷が使えないとなれば、打線の破壊力も違ってきます」(同)


「DH解除」の9人制で臨むのか? 2年ぶりのリアル二刀流という選択肢もある。「大谷がリリーフにまわる説」が出たのは、試合終盤のギリギリまでDH・大谷を打席に立たせ、得点力を落とさないための〝苦肉の策〟でもあったわけだ。


「今年8月に開催されたU-15大会は『大谷ルール』でしたが、その恩恵を受けた選手はいませんでした。他の出場国とのバランスを考えたら、通常はDH制。興行的なことを考えれば、打者と投手の両方が見られる大谷ルールになります。どちらになるのか…」(ベテラン記者)


通常DH制でも得点能力を落とさないための鈴木合流であり、DH制を解除して大谷をリリーフに使うのかどうかは、栗山監督の判断次第となる。


「出場メンバーが28人から30人に拡大されるのは間違いありません」(同)


「2人」の増員だが、栗山監督はMLBの日系人選手を入れようとしている。今季ア・リーグ新人王を争ったガーディアンズのスティーブン・クワンと、カージナルスのラース・ヌートバーの両外野手だ。


「侍ジャパンの打線は、外国人投手特有のムービングボールに苦しめられてきました。日系人選手の力も借りないと」(前出・関係者)


〝ルール未定〟により、ダルたちの合流にリスクが伴うことになった。