小宮一葉、花澄 (C)週刊実話Web
小宮一葉、花澄 (C)週刊実話Web

女優/小宮一葉・花澄インタビュー〜禁断の恋愛…あの百合族が令和に復活!?

日活がロマンポルノ生誕50周年記念プロジェクトとして企画した「ロマンポルノ・ナウ」。今秋3本の新作映画が公開されたが、その第3弾として女性同士の恋愛を描いたのが『百合の雨音』(金子修介監督)だ。金子氏といえば、監督デビュー第2弾が『OL百合族19歳』(主演・小田かおる、山本奈津子/1984年)。


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当時の百合ブームを巻き起こした話題作だった。その金子氏が34年ぶりにロマンポルノに復帰、令和の百合ヒロインに指名したのが、小宮一葉と花澄の2人だ。時を超え、彼女たちは百合にどう挑んだのだろうか?


――女性同士の恋愛映画に主演することになり、最初は「百合」に対してどんなイメージを持っていたか教えてもらえますか?


小宮 たとえば高校生とか、まだ性の区別がつかないくらいの女の子同士が惹かれ合う…というようなイメージでした。私の中での百合の金字塔といえば『少女革命ウテナ』(さいとうちほ作)というアニメ作品があるのですが、それがすごく好きなんです。女の子同士の恋愛なのですが、直接的な描写はあまりないんです。でも、劇場版がすごくて、2人がある意味、一つになるシーンで一方が車に変身するんです。もう1人を乗せて「一緒に違う世界に行こう」って(笑)。そういう精神世界がすごく好きです。精神的な面での、同性に対する「愛」というのは分かるところがありますね。


――女同士だからこその融合という感じでしょうか?


小宮 そうですね。

深爪はピアノで当たり前に!?

――ご自身は女性同士の恋愛に関して憧れとか告白されたような体験はある?

小宮 実際に告白されたことはないのですが、女性の方に対して素敵だなとかお話したいなとか、そういう気持ちはあります。その気持ちは男性に対しても同じだと思います。たとえばこの作品でも、花澄さんが演じる栞さんは最初、異性愛者として描かれているんです。でも、ふとしたきっかけで女性と想いが通じ合う。そういうことは全然あるんだろうなと思います。


――花澄さんは?


花澄 私は百合族の語源が(男性同士の)薔薇族に対するものだということも知りませんでした。身近に百合の方もいなかったので、あまり直接的なものとして意識して生きてこなかったなぁと思います。


――女性同士の禁断の職場恋愛ですが、とても美しく官能的に描かれていました。映画の中で、小宮さんが深爪をするシーンも随所に出てきます。過去のトラウマから恋愛に臆病になっているという役柄ですが、どう解釈しましたか?


小宮 好きな人に対しての想いみたいなものが鬱屈している部分もあるので、爪を切るという行為が相手のためでもあるけれど、深爪になりすぎるまで切ってしまうのは自傷行為的な部分もあるのかなと考えました。ただ、私はピアノを習っていたので、深爪になるくらい切っていました。だからって勘違いされることはありませんでしたけど(笑)。


花澄 私もピアノをしていたので、深爪になってましたよ。 セルフヌードを監督にお見せしたら…

――お2人はこの作品に出るに当たり、オーディションを受けたんですか?


小宮 私は知り合いのキャスティングディレクターの方から金子監督を紹介されました。脚本も見ていたので、ロマンポルノということも、ヌードになることも知っていました。


――もちろん、濡れ場は初めてなんですよね?


小宮 はい。実は、それまでにも何回か別の作品でお話をいただいては流れていたので、役者仲間からは「あれ? 小宮ってまだ脱いでないんだっけ?」と聞かれたくらい(笑)。役として必要であれば、そこは抵抗なかったです。


花澄 私は写真家でもあるんですけど、金子監督と別の映画を撮っている最中にセルフヌードを撮り始めたんです。世界的に有名なソール・ライターという方の写真展を滞在先の京都で見たのがきっかけ。全作品がヌードで感化されてしまいました。いやらしくなく、とても美しいヌードだったんです。私自身、自分の体が好きかと言われたらコンプレックスもあるんですけど、撮りようによっては素敵な作品になるんじゃないかと。それに1人で撮るなら安心じゃないですか。それが撮り溜まったところで金子監督にお見せしたら感動してくださって「君で1本撮りたい」と。そんなことがあって、今回のお話をいただけたんだと思います。ちなみに私の写真集はオンラインショップでも購入可能ですので『花澄オンラインショップ』でご検索ください。


――ところで、本作ではロマンポルノで初の試みとなる「インティマシー・コーディネーター」(※欄外注)を導入したそうですね。


花澄 インティマシーシーン(ベッドシーン、ヌードシーンなど)に関して言えば、昔のロマンポルノを見させていただくと「脈絡のないものが多い」という印象でした。そのほとんどが突発的に始まるなぁと。

ト書きには“達する”という言葉が…

――当時は、10分に1回のカラミを入れるのが不文律(?)でしたからね。

花澄 対する本作では、脈絡のないシーンはもちろんないし、コーディネーターの方がモニター画面の代わりになってくれて「右足を伸ばす方がキレイですよ」「顔はこっちがいいです」と指示してくださるので本当に助かりました。見え方にはとても気を使っていたので、リハーサルでは動画を撮っていただいたんです。たとえばしゃがむシーンにしても、腰が曲がったままだと美しくないので、どう動いたらキレイな曲線を描けるかなど検証しました。


小宮 私はベッドの上では花澄さん(栞)をリードする役目なのですが、正直いっぱいいっぱいで、どう見えるかとか考える余裕はあまりなかったです。コーディネーターの方には本当に助けられました。


――年上の女性をリードするのはいかがでしたか?


小宮 リードというより、私の方が最初は片想いで、好きな気持ちで積極的に向かっていくわけですから、その想いをぶつけました。


――受け身の花澄さんは?


花澄 なんというか…1のタッチに10で応える、みたいな感じでした(笑)。何しろ、ト書きには「達する」という言葉が結構書かれているんですよ。割と短い時間で急激に昇り詰めないといけない。最初はキスがあるわけですが、そこから1分くらいで達しないといけないから、助走がほぼないような状態が続きました。結構ぐったりしましたね。


――女性とのキスは初めてでしたか?


小宮・花澄 はい。


――男性との感触の違いとかはありました?


花澄 これを言ったら身も蓋もないんですけど、本当にそれどころじゃなかったかも。


小宮 確かに。役としてやってましたからね。(好きという)感情が入っているから、とても自然な感じでしたよ。リハーサルではマスク越しだったんですけど。


――本番で唇を重ねたら、電流が走った…とかはないんですね。


花澄 うふふ、ご期待に添えなくてごめんなさい。男性との違いはもちろん感じましたけれども。
◆かずみ 埼玉県出身。ナレーター、写真家でもある。ミス大東文化大学。パラオ共和国国際親善大使など。 ツイッター@textisan◆こみやかずは 東京都出身。東京音楽大学ピアノ科卒業。在学中に映画『最低』(今泉力哉監督)に出演。 ツイッター@kazuhakom
『百合の雨音』 全国順次公開中。池袋シネマ・ロサにて12/23〜上映決定! 舞台は出版社。上司の澤田栞(花澄)に想いを寄せる君原葉月(小宮)がある夜、雨に濡れた栞を案じて「シャワーを浴びよう」とラブホテルに誘う。葉月がベッドの上で想いを告げると、夫婦関係に悩んでいた栞は戸惑いながらも葉月のそれを受け入れ、一線を越えてしまう――。

※インティマシー・コーディネーター 映画やドラマで、性的な描写や激しい露出を伴う場面において、監督と俳優の間に調整役として入り、具体的な描写について合意を取り付ける専門スタッフのこと。