
食料品や生活雑貨など物価高で“安売り戦争”勃発〜企業経済深層レポート
世界的な原材料価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、日本中が値上げラッシュにさらされている。
総務省の統計では、今年11月の東京都の消費者物価指数は前年同月比+3.6%と40年ぶりの大幅な上昇。そんな中で生活雑貨や食料品を低価格で扱う新業態店が次々と登場し、消費者が殺到しているのだ。
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『無印良品』は、今年9月に500円以下の生活雑貨や食料品を集めた『無印良品 500 アトレヴィ三鷹』(以下、無印500)を東京都三鷹市にオープン。幅広い層に人気を博している。小売業界関係者が解説する。
「この新店舗の売りは、低価格で品質の優れた商品を取り揃えていること。500円以下の商品が、全体の約7割を占めています」
その『無印500』の売れ筋商品が、タオルとデニム製造の残り糸で作られた軍手で、1点49円と安く、片手ごとに購入できる点が話題となっている。
また、無添加のシャンプーや植物由来のゴミ袋など、環境配慮商品の品揃えも充実。酸味、甘味、うま味の強い3種のトマトとナッツを練り込んだ「バターチキンカレー」(350円)や、サツマイモの切れ端を商品化した「スティック切れ端干しいも」(190円)も人気で、今後は年間20店舗ペースで出店する予定だという。
同じく100円ショップの『ダイソー』を運営する『大創産業』もメイン価格帯が300円の新ブランド『Standard Products by DAISO(=スタンダードプロダクツ バイ ダイソー)』を昨年3月、渋谷にオープン。以後、続々と新店舗を出店している。
低価格勝負の“スリコ”
小売業界関係者が言う。「販売商品は、瀬戸焼の豆皿をはじめとする食器類や間伐材を利用した木製玩具、リビング用品や服飾雑貨と幅広く、300円の枠は超えるものの熊野筆のメイクブラシ(770円)なども扱っています。高級感のある商品を低価格で提供している点は、『無印500』と同じです」
ちなみに、「300均」といえば『パルグループホールディングス』が展開する生活雑貨店『3COINS(=スリーコインズ)』が有名だが、同チェーンもこの低価格帯商戦の波に乗り、売り上げを伸ばしているという。
業界関係者がこう語る。
「『スリコ』の愛称で親しまれる『3COINS』は300円がメインの日用品ショップだが、親会社『パル』の今年2月期の売り上げは1342億円。うち『スリコ』が全体の約3割とグループの柱となっており、対前年比46%増の驚異的な伸びを示しているのです」
「スリコ」が飛躍した最大の理由は実は300円以上の軽家電の躍進にあり、1650円という破格の値段で発売した「ワイヤレスイヤホン」が、累計100万台突破の大ヒット。電子ペンでメモが取れる「電子メモパッド」(550円)も完売店が続出し、若者たちの注目を集めているという。
だが、世界的な物価高が続く中で、なぜ低価格を売りにした安売り店が続々と誕生しているのか。シンクタンクの研究員が解説する。
「エネルギー資源や食料品、さまざまな原材料などが値上げされたが、大企業を除く日本のサラリーマンの昇給率は、この物価高に追いついていない。そのため、安売りを得意とする小売りチェーンがこれを商機と見定め、厳しい経営環境をクリアする新業態の開拓に奔走しているのです。実際、日用品の値上げから生活防衛しようという人は増えており、その証左とも言える100均業界の売り上げは、右肩上がりとなっています」
なんでも半額に!?
『帝国データバンク』の調べによれば、2021年度の100均業界の売り上げは5.8%増の9500億円。今年度もこれが上積みされており、25年には1兆円規模にまで膨れ上がると見られている。また、別の経済評論家はこう指摘する。
「海外製造がメインの100均業界は円安による製造コストの上昇、製造拠点の中国や東南アジアでの人件費の高騰で経営環境が厳しい状況です。ただ、物価高で今後も安売り店が注目され続けることは明らか。そこで今までにない商品を導入して『100均』から『300円均』『500円均』へシフトし、安売り市場の再編と拡大を狙っているのです」
かくして、低価格帯市場には続々と新規参入が相次いでいるわけだが、その中でも破竹の勢いを見せているのが、2021年創業の『TOAmart(トーアマート)』だ。
同チェーンは「メーカーからの直接仕入れを実現させた『半額専門店』」をうたい文句に全国で180店舗余りを展開。日用雑貨から食料品まで幅広く販売しており、通常700円前後のマスクが200円強、菓子類なども100円以下が当たり前だ。
前出の小売業界関係者が言う。
「また安さに定評のあるイオンでは、トップバリュー商品の『ノンフライカップ麺』(68円)が100均より断然安いと評判に。ローソンの激安店『ローソン100』が200円で提供する『だけ弁当』は、白身魚や卵焼きなど1種類のおかずだけを詰めた弁当だが、これが今年6月の発売以来200万食を売り上げる勢いです」
勃発した安売り戦争は今後、既存店と新規参入店の生き残り競争が避けられない状況だ。
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