(画像)Ink Drop/Shutterstock
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ロシア真の標的は“北海道”だった!? 「日本攻撃計画」進まなかった背景に米大統領選?

今年2月24日のウクライナ侵攻以降、民間人を殺害し、原子力発電所を含む電力施設を攻撃するなど悪逆の限りを尽くしているロシアだが、ともすれば攻撃対象は同国でなく日本だったかもしれない。


昨年8月、プーチン大統領が日本侵攻を真剣に検討していたことを米誌『ニューズウィーク』(11月24日付)が報じ、衝撃が走っている。同誌は北方領土をめぐる争いが要因だとしており、北海道が標的になっていた可能性もある。


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この「日本侵攻計画」の極秘情報は、ロシア連邦保安庁(FSB)の内通者から同国の人権活動家に、不定期で送られてくる告発メールで明らかになった。


問題のメールは3月17日付で、「2021年8月、ロシアは日本との局地的な軍事衝突をかなり真剣に準備していた。両国が深刻な対立の段階に入り、戦争に発展するという確信があった。なぜ最終的にウクライナが戦争の対象となったか分からない」と書かれている。この文面からは、ロシアが攻撃対象として日本とウクライナを天秤にかけていたと読み取ることができる。


FBSの内通者は、日本侵攻計画の具体的な証拠として、極東地域(日本周辺を含む)を管轄する東部軍管区に「電子戦システム」を搭載したヘリコプターが配備されていたことを挙げている。


「電子戦とは電磁波を使った攻撃方法で、敵のレーダーや通信機器の電波を妨害し、その能力を低減、無効化することが狙い。高出力の電磁波の場合、攻撃対象を破壊することもできる。実際に日本の防衛省は2021年、ロシア軍が北方領土に最新の電子戦装備を配備したと分析しています」(軍事ジャーナリスト)

日本の残虐性を強調する

北方領土は、日本とロシアが抱える最大の問題だ。内通者はメールに「第二次世界大戦の敗戦国で、いまだに正式な軍隊や情報機関を持つことができない日本にとって、北方領土の返還は戦後の地位を取り戻すことを意味する」と歴史的な背景を述べている。

また、メールには安倍晋三元首相の名前も出てくる。昨年8月の時点ではもちろん存命で、首相を退いていたものの国内外に大きな影響力を持っていた。安倍元首相のスタンスに関しては「北方領土問題に絡む交渉と、英国の秘密情報部(MI6)のような独自の対外情報機関の創設を重視していた」と説明している。


昨年8月といえば、日本ではちょうど東京五輪・パラリンピックが無観客で開催されていた。しかし、ロシアは組織的なドーピング問題が発覚し、国としての参加を認められなかった。


昨年2月と6月、ロシアは北方領土周辺で大規模な軍事演習やミサイル発射を繰り返しており、7月にはミシュスチン首相が北方領土の択捉島を訪問している。こうした一連の動きが、日本侵攻の準備だったとしても不思議ではない。


もう一つ、内通者のメールには見逃せない事実が隠されている。それは「情報戦」だ。昨年8月、ロシアにおいて第二次世界大戦中の機密が解除され、日本軍がソ連軍捕虜に拷問や人体実験を行っていた情報などが公開された。これらは日本の残虐性を強調することが狙いだという。


つまり、侵攻作戦と同時に反日キャンペーンが行われていたわけで、メールは「状況を最大限にエスカレートさせ、戦争するぞと脅し、その後、交渉を開始することはロシアでは容認されていた」と指摘している。


内通メールに書かれていた情報が事実だったとすると、多くの日本人にとっては「知らぬが仏」だが、一つ間違えば北海道をはじめ日本が、現在のウクライナのような惨状を迎えていたかもしれない。

中国の存在も油断できない

ロシアが日本に対して、一線を越えなかったのはなぜか。その理由としては、やはりアメリカとの関係を見逃すことができない。

ロシアは2016年の米大統領選挙に際し、陰に陽に介入してトランプ大統領を誕生させた。その後のトランプ政権時代は、米国とロシアとの関係も良好だったが、20年の選挙でトランプ氏が敗れ、バイデン政権が発足すると、ロシアとの関係は一気に冷え込んでいった。


「メールが本物だと仮定すると、ロシアは日本攻撃を検討したものの、日米安全保障条約に基づき米軍が参戦してくる可能性が高いとみて、結局ゴーサインが出なかったということになる。反対に、実際の標的にされたウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に加盟していないため、欧米諸国が参戦してこないと考えたのでしょう」(外交筋)


また、内通メールは「ロシアにとって北方領土は、日本だけでなく中国との交渉材料でもある。北方領土をめぐる紛争で日本が勝利することは、中国にとっては受け入れられない事態だろう」としている。


「中国とロシアは、このところ日本周辺で爆撃機を飛ばしたり、軍艦を航行させたり、頻繁に連携行動を取っている。ロシアはウクライナ侵攻における経済支援で、中国に借りがあるため、今後、中国が台湾に侵攻するタイミングでロシアが歩調を合わせ、日本に軍事的圧力をかけて支援する作戦も考えられます」(前出・軍事ジャーナリスト)


アメリカの傘の下で守られている日本だが、ロシアの脅威が完全に消えたわけではない。プーチン大統領の最終的な野望は「ロシア帝国の再建」だという指摘もあり、いつまた紛争の種をまくのか全世界で監視しなければならない。