(画像)Daniel Padavona/Shutterstock
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プロ野球「新コミッショナー」就任で球界再編!? ”野球toto”財源に新球団誕生か

日本野球機構(NPB)の新コミッショナーに、榊原定征氏が就任した。早速、取り組むのが『野球toto』を財源にした「16球団エクスパンション(拡張)」。その第1弾として、2024年から新規参加球団が誕生する!?


今月5日のNPB理事会で、前任の斉藤惇氏(元日本取引所グループ最高経営責任者)からバトンを受けた榊原氏は、東レ会長や経団連会長などを歴任し、現在は関西電力会長を務める経済界の重鎮。豊富な企業経営の手腕を用いて「球界改革」が期待されている。


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「最大のテーマは、球団数を16に増やすエクスパンションです。2014年から自民党が地方活性化案として提言し、ソフトバンク王貞治球団会長もクライマックスシリーズを円滑に進めるためにも望ましい、と進言してきました。まずは新規加入球団の受け皿となるファーム限定のチームを2つ作り、任期中にさらに2球団増やす方針です。アフターコロナの起爆剤に、政財界が後押ししているようです」(全国紙・政治部デスク)


今回の球界再編のとっかかりは、11月24日のオーナー会議で決めた2024年から二軍のイースタン、ウエスタン両リーグで各1球団を増やす構想。来春に既存の12球団のフランチャイズ以外の府県から、新規参入する球団を募集する。


「イースタン(東日本)は静岡市でほぼ決まっている。都内の資産運用会社『ハヤテインベストメント』が巨人・山口寿一オーナーに相談の上、清水庵原球場(静岡市)を本拠地に参加を表明。地元の川勝平太知事、田辺信宏市長が協力を約束している」(同)

参入するには敷居が高すぎる

もう1球団は混戦模様だ。当初は独立リーグ『BCリーグ』で野球ファンが深く根付いたアルビレックス新潟が予想されたが、同じ中部地方で静岡市とエリアがかぶるため、外れる公算が高い。代わって浮上したのが、関西・東瀬戸内経済圏の高松市(または岡山県倉敷市とのダブル本拠地)だ。

高松市は、巨人が今ドラフトで1位指名した浅野翔吾外野手(高松商)の地元。唯一、NPB球団が不在の四国地方は最優先の候補地で松山市も候補だが、広島カープと本拠地が近い点が懐疑的に見られている。


「日本全国に社会人チームや独立リーグの球団が多数あるが、容易に名乗りを上げられない理由が2つある。ファーム限定の球団では集客が見込めず、赤字は必至。おまけにNPBの野球協約では新規参入には預かり保証金25億円を含む30億円が必要と記され、敷居が高い。一軍が存在しないため、ドラフト会議に参加できないハンディキャップもある。新コミッショナーはこの問題に真っ正面から切り込み、新規参入しやすい環境を整えている」(NPB関係者)


預かり金については、ファーム限定解除まで凍結し、赤字の一部をNPBと12球団が行う野球振興事業費で補填するという。しかし、NPBの金庫もコロナ禍で底を突き、新たな財源確保は避けて通れない。


そこで抜いたのが、伝家の宝刀『野球くじ』(toto、スポーツ振興くじ)。実は2015年にも実施となる運びだったが、巨人で野球賭博事件が発覚してとん挫した経緯がある。2代前のコミッショナーの熊﨑勝彦氏(元最高検察庁公安部長)が膿を出して徹底的に浄化し、2019年実施が予想されたが…新型コロナウイルスの影響で再び先延ばしに。

助成の対象、野球振興事業へ

そんな中、サッカーのワールドカップカタール2022のtoto人気と、今年9月開始の男子プロバスケットボールBリーグのtoto導入で、プロ野球実施の機運が高まっている。

カタールW杯では、コンピューターが無作為に複数の試合の勝敗を選ぶ非予想型の『ビッグ』に加え、1試合の結果を予想する新商品『WINNE(ウィナー)』を販売。1-0や1-1といったスコアを18択から選ぶ予想型が加わった。日本はグループリーグでドイツを2-1で下し6.2倍の配当。0-1で敗れたコスタリカ戦は11.2倍。決勝トーナメント進出を決めたスペイン戦は2-1で破る波乱を演じたが、4番人気の6倍。これは投機以上にサムライブルーの応援投票が多かったからだ。


「野球とサッカーでは得点力が大きく違い、高配当が期待できる。今季、巨人がヤクルトを19-5で破った試合(6月25日)で実施されていたら、100万円超の万馬券だった。すでに米国では、オンラインのMLBスポーツベッティング(賭け)が定着しており、テレビ観戦のお供に。大谷翔平が出場を予定しているワールド・ベースボール・クラシック(WBC、3月8〜21日)に導入されれば、日本でも一気にブームが起こる。若い世代のプロ野球ファンを取り戻す切り札です」(テレビ局幹部)


日本スポーツ振興センター(文科省所管)によれば、2021年度のtotoの総売り上げは、過去最高の1131億4905万円。的中金(50%)などを差し引いた収益の一部がスポーツ団体へ助成された。


プロ野球はその恩恵に預かっていないものの、totoに参入すれば、JリーグやBリーグとともに助成の対象となり、野球振興事業に充てることができる。それを、新規参入チームの助成や球団拡張に伴う新球場建設支援に回そうという狙いだ。


元経団連会長のコミッショナーの下で、今後は新潟市、福井県、松山市、熊本市、鹿児島市、沖縄県などを候補にさらに2球団を参加させ、「2リーグ16球団制」を目指すことになる。