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蝶野正洋『黒の履歴書』~コロナ禍におけるサラリーマンの懐事情

蝶野正洋
蝶野正洋(C)週刊実話Web

新年早々、首都圏に緊急事態宣言が発令された。去年はコロナで散々だったから、今年は新たな気持ちで巻き返そうと思っていた矢先に出鼻をくじかれたようで、経済的な部分だけでなく精神的にもダメージが大きい。

今回は特に飲食店に対しての営業自粛要請が強く、協力金などの保障も手厚くなっている。

こうした一時的な給付金をバラまく太く短い対策も必要だけど、コロナ禍はいつ終わるか分からないから、細くても継続的に2〜3年くらいかけて、給付金を一般家庭にも支給するような方法があってもいいと思う。

政府や自治体はギリギリまでGoToキャンペーンを続けたけど、急に緊急事態宣言を発令した。コロナ対策が迷走しているけど、働き盛りの世代があまり声をあげないのが不思議なんだよ。

これは世間で言うほど、サラリーマンたちがコロナの影響を受けてないってこともあるんじゃないかな。

どの企業もコロナ禍で売り上げが落ちている。それを経営者は事業者補填などの国から出たカネをやりくりしたり、内部留保を切り崩して、なんとか従業員の給料を払っているのが現状だ。

おかげで、大半のサラリーマンはボーナスが減ったかもしれないけど、毎月の給料は変わらなかった。もちろん、リストラされたり、会社が倒産したというケースもあるけど、どちらかといえば、コロナで給料が半分以下になったサラリーマンは少数派じゃないかな。

しかも、仕事が減って、残業もなくなって、リモートで通勤もしなくなったけど、給料はそこまで変わらない。それに飲み会はないし、旅行も行かないから支出も減って、コロナ以降に貯蓄が増えたという人が多いかもしれない。

それでも声をあげていかないと…

不測の事態が続く社会では、毎月給料がもらえるサラリーマンの強さが出たということだよね。

それをみんな感じているから、政府の対応が二転三転しようが、あまり文句を言わずに静かにしているのかもしれない。

アメリカでは州と国を合わせると、月40万円程度の給付金が出たエリアもあった。低所得者だった人たちの場合は、通常よりももうかってしまう。

俺がラスベガス在住の後輩プロレスラーに聞いた話だと、仕事はなくなったけど給付金でキャッシュが入ってきたから、とりあえずクルマを買い替えたやつがたくさんいるらしい。

まぁ、国から支給されたり、自粛生活で余剰になったカネは、貯め込まないでガンガン使ったほうが経済的にはいいんだろう。

コロナに関してだけでなく、基本的に日本政府の対応は遅いし、やることも後手後手だ。政治家やお役所勤めの人間というのは、任期の間だけ滞りなくやりすごせばいいだけで、何も変えようとはしない。

菅さんも一緒で、最初は変えるぞとアピールするけど、結局、何もできなくて、今は次の総裁選まで、波風なくやりすごそうとしているように見える。

だから政治に期待しても即効性のある対策なんて出てこないのは当たり前なんだけど、それでも声をあげていかないと政府も国民も共倒れになってしまう。

今の日本を実質的に動かしているのは、働き盛りのサラリーマンたち。この層が日和見してないでもっと働きかけていけば、日本経済はコロナに負けないと思うよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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