「与正氏は党大会後、実力にふさわしい肩書か、次の党大会で党政治局員への選出もあるかもしれません。何しろ座席の位置は正恩氏の真後ろで、幹部全員が正恩氏の言葉を一言一句も聞き漏らさずメモしているのに、与正氏だけは手を動かしていませんでした。まるで『私の原稿だから頭に入っている』と、言っているようなものです」(同・ジャーナリスト)
一方、日本にとって最大の懸念は、やはり核増強路線への回帰が明確になったことだ。
「北朝鮮は核武装を自衛手段と位置付けているが、軍事や外交の世界では、自衛と侵略が表裏一体であることは常識です。今回の党大会では、新型原子力潜水艦の建造を初めて認めたことに衝撃が走りました」(軍事アナリスト)
1月9日、北朝鮮の国営報道機関『労働新聞』に、驚くべき新型兵器の開発計画が記されていた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の多弾頭式個別誘導複数目標再突入体(MIRV)、極超音速滑空弾頭(新型ICBM搭載用)、無人攻撃兵器と偵察観測手段、軍事偵察衛星などである。
それぞれ実用化には長い時間がかかるものの、北朝鮮が新型兵器の開発に成功した場合、米国は既存のミサイル防衛(MD)システムでは迎撃が不可能となる。
「原潜は酸素補充のための海面浮上を必要とせず、長時間にわたる連続潜航が可能ですから、北朝鮮の原潜が太平洋まで潜航すると、米国は核兵器による本土攻撃の脅威にさらされることになります。バイデン新政権の発足をにらみ、新たな脅威を振りかざすことで、北朝鮮が揺さぶりをかけた格好です」(同・アナリスト)
北朝鮮への経済制裁が効力を発揮していない…
原潜やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載潜水艦には特殊な鋼板が必要で、建造が事実とすれば、経済制裁が軍事方面に対して効力を発揮していないことになる。
また、米国の首都ワシントンを射程に収める射程1万5000キロのICBMの精度を高め、さらなるMIRVの研究事業を進めるとも言及している。
「昨年10月の軍事パレードで初公開された新型ICBMは、弾頭部に核弾頭2~3個を装着できる多弾頭ミサイルとの分析があり、この技術向上を指していると思われます」(同)
しかし、今回の報告で核軍事力の増強を示したのは、バイデン政権発足を前に対米交渉力を高めることが目的とみられ、まだ研究段階の兵器も多数含まれているようだ。軍事専門家の多くは、計画成功の可能性は限定的とみている。
北朝鮮当局は党大会の最中に、党中央委員会11局に所属する核ミサイル研究者ら20人を緊急逮捕したと発表した。逮捕容疑は、韓流ドラマを見て、韓国のラジオを聞いていたという信じられない事犯である。
こんな国が日本および世界の脅威とは、実に奇怪だ。
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