社会

核兵器“増強”の北朝鮮「金正恩総書記」誕生で脅威がさらに増大

早速「核増強」を宣言した金正恩総書記
早速「核増強」を宣言した金正恩総書記(画像)Torsten Pursche / Shutterstock.com

1月5日、北朝鮮の首都・平壌で5年ぶりに開幕した朝鮮労働党第8回大会で、金正恩氏が全会一致で「総書記」に選出された。

「12日に閉幕した党大会を記念し、14日には平壌の金日成広場で軍事パレードが行われました。来る20日に発足する予定のバイデン米次期政権に対し、軍事力向上を誇示する狙いがあるとみられます」(北朝鮮ウオッチャー)

総書記に就いた正恩氏は今大会で、核を増強する路線に回帰する方針を明確にした。米国にあからさまに強硬姿勢を示した格好だ。

「正恩氏は初日から3日かけて『活動総括報告』を読み上げ、まず国防におけるこれまでの成果と兵器開発の方針、次に今後5年間の経済戦略、さらには対米方針と南北関係を中心に、自国の立場を表明しました。すでに昨年、5年前の党大会で策定した『経済発展5カ年戦略』については失敗を認め、人民に陳謝するとの声明を発表しています」(同・ウオッチャー)

正恩氏には昨年7月ごろから、多くの言動に変化が見え始めた。党創建75周年祝賀会が開かれた昨年10月10日の演説では、人民や災害復旧にあたった軍将兵に対して、涙声で謝罪と感謝を繰り返している。

「国民に不穏な動きがありそうな場合、独裁者は一層強権を振りかざして力で抑え込むか、懐柔政策に乗り出すか二通りある。正恩氏が選んだのは後者だったわけで、今回の報告でもあらためて経済失政を認めています。その上で幹部党員に向かって、『今のような旧態依然とした活動方式を続けていては、いつになっても国の経済を盛り立てることはできない』と叱りつけ、責任を回避しています」(同)

妹・与正氏の“実際の権力”は強大!

北朝鮮では独裁者が問責されることはなく、「正恩様に不名誉な発言をさせてしまった責任は自分たちの側にある」という理屈で終わる。そんな調子なので、いつまでたっても国民生活が向上することはない。

また、今大会では妹・金与正氏の昇格人事が注目されていた。

「与正氏に関しては党幹部ではあるものの、役職は複数人いる政治局候補委員の1人にすぎませんでした。しかも今大会では、その政治局候補委員からも外されている。ただ、実際の権力はもっと強大で、党の宣伝扇動部、あるいは組織指導部を管轄しているとの見方もあります」(国際ジャーナリスト)

一昨年から与正氏は、対米、対韓関係で発言力を増しており、内外政策の司令塔「金正恩秘書室」を統括している可能性もある。いずれにせよトランプ前米国大統領や文在寅韓国大統領に対して、与正氏の名前で恫喝コメントを発表していることから、正恩氏の「名代」あるいは「代行」のような役割を担っていることは間違いない。