(画像)Alexander Khitrov/Shutterstock
(画像)Alexander Khitrov/Shutterstock

北朝鮮・金総書記が初公開の娘を盾に命乞い!? 米軍「斬首作戦」に恐怖か

北朝鮮は11月18日、米国全域を射程に収める新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星17』を発射した。韓国軍合同参謀本部によると、飛行距離は約1000キロ、最高高度6100キロ、速度マッハ22(音速の22倍)で、ミサイルは同日11時23分ごろ、日本の排他的経済水域(EEZ)である北海道の渡島大島の西方沖約200キロに落下したという。


【関連】北朝鮮ミサイル実験で“慢性的な経済難”!? 資金繰りで国家主導の麻薬売買&偽造紙幣も… ほか

そして、この発射と同時に驚くべき報道が相次いだ。朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』は翌19日付で、金正恩総書記が妻と女児と一緒に発射場を訪れた写真を公開。この女児は、これまで写真や映像に登場したことがなく、国営の『朝鮮中央通信』は、正恩氏が「最愛の娘と妻」とともに発射実験を視察したと報じた。


李雪主夫人の写真は公開済みだが、夫婦の間には2010年、13年、17年に生まれた3人の子供がいるとされる。これまで家族や私生活について秘密主義を通してきただけに、突然の情報解禁の裏には何があるのだろうか。


「北朝鮮は自国にマイナスとなる情報を出しません。その真意は、労働新聞が掲載した正恩氏のコメントを読めば見えてきます」(国際ジャーナリスト)


労働新聞によると正恩氏は「子孫に代々受け継いでいく記念碑」として核兵器を開発しているという。そして、核兵器開発を追求するのは「敵の砲撃で母親を失い、子供たちが路上で食べ物をあさるという悲惨な事態を防ぐためだ」としている。


「つまり、表向きは核兵器開発に断固とした決意で取り組んでいると主張しながらも、実際は『米軍よ、こんな美人妻と幼気な女の子を殺すようなことはしないでくれ』と、正恩氏は妻子を盾にしてスカートの中に隠れたのです」(同)

実子は韓国メディアも把握していない

正恩氏は18日のICBM発射まで1カ月近くも姿を見せなかったが、それは米国が計画する「斬首作戦」を恐れて、潜伏していたからだという。

米海軍は今年2月、昨年末に特殊部隊『ネイビーシールズ』が、韓国内において極寒期訓練を極秘裏に実施したことを公表した。また、10月末から11月上旬まで実施された米韓合同軍事演習でも、意図的に「斬首作戦部隊の訓練」情報が流されている。


「この演習には米韓空軍の軍用機240機余りが参加し、まさに実戦さながらの規模でした。正恩氏はその恐怖から演習が終了した頃合いを見計らい、身の安全を確認した上で姿を見せたのです。日本流に言えば腰抜け、米国流に言えば〝チキン〟ですね」(軍事アナリスト)


韓国の国家情報院は11月22日、正恩氏に同行していた女児について「第2子のキム・ジュエと判断している」と、国会の情報委員会で報告した。海外メディアはさっそく後継者候補と騒ぎ立てたが、第1子は男児とみられており、もしそうならこれまで男系継承を続けてきた北朝鮮の慣習に反することになる。


また、韓国の一部メディアは第3子についても男児と推定しているが、実際はまだ性別を特定できておらず、第2子以外は名前さえ把握できていないようだ。


「気になるのは『火星17』を背景にした写真に、正恩氏と娘しか写っていない点です。ひょっとしたら李夫人は妊娠中ではないでしょうか。寒い野外に妊婦が長時間いるのはよくない。そこで娘が、家族の代表という大役を演じたのではと考えられます」(外交関係者)

“次世代権力闘争”の火種か…

娘の登場が後継者問題に絡んでいるとするなら、注目されるのは正恩氏の実妹である金与正党副部長だ。一時期、正恩氏に健康不安がささやかれた際は、与正氏が実務を取り仕切っていた。その実力は折り紙付きだ。

「正恩氏は昨年12月にも激やせして、重病説が再燃しました。与正氏が金王朝を継ぎ、真の〝女帝〟となる可能性はゼロではない。それを快く思わない李夫人が、正恩氏に『後継者は直系から』と念を押した可能性はあります」(同)


李夫人と与正氏の〝女の戦い〟が勃発したら、それこそ国を揺るがす大騒動だが、その一方で2人の関係は良好だという声もある。


「与正氏が、実兄の子供と権力闘争を繰り広げるとは考えにくい。万一、正恩氏が不測の事態で数年内に死亡するようなことがあれば、与正氏が後継者となりますが、残された子供たちとは協力体制を築くでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)


正恩氏が健康不安説を払拭し、長期支配を続ければ別の問題が浮上する。


「正恩氏の子供たちは成人後、いずれかが後継者となるわけですが、与正氏の子供たちも将来的には政権中枢に就くでしょう。となれば両氏の子供たちが争うことも考えられます」(同)


予期せぬ正恩氏の娘の登場は、〝次世代権力闘争〟の火種がまかれたことを意味するのかもしれない。


18日のICBM発射後、正恩氏は「わが国の核戦力はいかなる核の脅威も抑止できる最強の能力を確保した。敵が脅威を与え続けるなら、核には核で、正面対決には正面対決で応えるだろう」と述べ、米国やその同盟国をけん制した。


金一族の権威をアピールするために、年端もいかない娘をミサイル発射に立ち会わせる。北朝鮮はやはり特異な国だ。