エンタメ

JRA重賞『日経新春杯』(GⅡ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

JRA
(C)JRA

先週のシンザン記念はタテ目を食らって、有馬記念に続く万馬券という大魚を逸した。「あと個人的にはルークズネストから『暴力脱獄』(67年)を。原題は〝クールハンド・ルーク〟」と2着馬を推していたし、勝ったピクシーナイトも選んでいたが、軸のルメール・ククナが4着じゃあ…とレバタラを言っても詮無いな。

もう1つ残念なのは、昨秋に7週ほど続いた記録、ディープインパクト産駒の重賞毎週連対がその後、年末のターコイズS、阪神カップと、また継続の気配で、シンザン記念に唯一出走のロードマックスに注目と書いたら、何とシンガリ負け…。またここから重賞毎週連対記録を再スタートして欲しい。

ということで、幸い今回は一番人気濃厚のアドマイヤビルゴを筆頭に、ディープ産駒は4頭も出ているのが心強い。ただし、その武豊は腰痛で先週丸ごと休んだのが少々気掛かり。ボクも腰痛持ちなので、その痛さはよく分かる。復帰即ふんばれのるか、いささか心配だ。

対抗はご贔屓川田のヴェロックスと言いたいところだが、川田は先週までの金杯含む4日間でまだ未勝利と調子が出ないのも心配だ。馬自体もこのところ1番人気を裏切り続けているし。

イチオシはサンレイポケット。中京で日経新春杯をやるというのがミソで、中京2戦2勝は心強い。ヤネの荻野極騎手の経験不足が問われそうだが、ここは頑張って欲しい。あとは池添でディープ産駒のサトノソルタス、頼れる福永のクラージュゲリエあたりか。

映画馬券と言っても正直今週は強調材料がない。往年のギャング俳優ジェームズ・キャグニーから取ったダイワキャグニーのことは以前書いたし、ミスマンマミーアから、続編も作られた大ヒット・ミュージカル映画『マンマ・ミーア!』(08年)ぐらいかな。ただし前者は典型的〝左きき〟とはいえ、東京コースならであり、中京コースは一回走って3着という微妙な戦績、加えて7歳以上は出番なしのデータもあるしなあ。後者も牝馬で、馬券になったのはこの10年で1頭だけという心細さ。いかに〝牝馬の鉄〟でも買いにくい。

日経新春杯といえばテンポイントの悲劇…

そこで、日経新春杯の思い出を。何と言っても唯一無二といってもいいのがテンポイントだろう。僕らの世代のオールド競馬ファンは、競馬を始めて何年かの頃の、トーショウボーイ、グリーングラス、テンポイントが〝3強〟を形成していた時代にすぐタイムワープする癖がある。すでに一時代を築いたテンポイントだが、その最期はあまりにも悲劇的だった。それは1978年のこの日経新春杯、海外遠征前の〝壮行会〟の感があったレースで66.5キロという今では考えられないほどの極量を背負っていたが、彼なら楽勝さ、と誰もが思っていた。粉雪の舞う京都競馬場が後になって思えば嫌な予感か。悲劇は4コーナー手前で起こった。骨折競走中止! 暗転。足をブラブラさせて痛そうな彼をボクも正視できなかった。普通なら完全に安楽死。だが、ファンの助命嘆願運動が、その後、競走馬としては異例の治療に発展し、彼は1カ月半も闘病し、3月4日に力つきて、天に翔けた。その当時の記事や、ビデオを見返すたびに、泣いてしまうほど。半世紀近い馬券人生で、競走馬の死に泣いたのは後にも先にもこの一頭だけ!

おっと、湿っぽくなった。予想はシンプルに5点③④⑨⑩⑪のボックスを馬連、3連複で。そして、テンポイントを偲んで〝10〟番から、〝ディープ馬券〟として⑧⑮へ2点の馬連、④⑩縛りで⑧⑮への3連複を2点追加したい。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

あわせて読みたい