(画像)slyellow / Shutterstock.com
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サイバー藤田社長『ABEMA』W杯放映で一人勝ち!? 次は「エンゼルス」買収か

サッカーのFIFAワールドカップカタール2022の国内放映権を独占獲得し、64試合すべてを無料配信している動画配信サービス『ABEMA』の勢いが止まらない。運営するサイバーエージェントの総帥・藤田晋社長の「次の一手」は、大谷翔平が属するメジャーリーグ・エンゼルスの買収だという。原資は『ウマ娘』マネー!!


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カタールW杯で一躍名を上げたのが、インターネットテレビ『ABEMA』の親会社であるサイバーエージェント社の藤田晋社長だ。世界中を沸かせたジャイアントキリング(大判狂わせ)のドイツ戦、続く衝撃的な敗戦となったコスタリカ戦、そして決勝トーナメント進出を懸けた運命のスペイン戦(12月2日)の民放無料テレビ中継は、藤田氏の決断なくしてはあり得なかったからだ。


W杯の放映権は、国際サッカー連盟(FIFA)から日本最大の広告代理店・電通が購入し、NHK、民放からなるジャパンコンソーシアム(JC)が買い取って放映するシステムだ。しかし、国内放映料が200億円規模に跳ね上がり、各局とも折り合いがつかず頓挫。有料ネット放送『DAZN』に独占されたW杯アジア最終予選に続き、サッカー日本代表の無料中継が見られない、あまりに残念な事態となる可能性が高まっていた。


「W杯の試合は全部で64試合あるが、民放テレビ局が欲しいのは50%程度の視聴率と莫大な広告収益が見込める日本代表の予選リーグ3試合だけ。日本は決勝トーナメントに進出できるか読めないし、他国の試合を放映したところで〝15秒1億円〟枠のCMが売れない。かといって、NHKも単独で契約するのは難しい。この窮地を救ったのが、無料ネットテレビ局の『ABEMA』。親会社のサイバーエージェントには『ウマ娘 プリティーダービー』で稼いだカネがふんだんにあり、地上波局とネット局の力関係が逆転した」(スポーツ紙デスク)

「ウマ娘」利益をうまく活用

藤田氏は及び腰のテレビ各局に代わって、ABEMAがW杯の国内放映権を約180億円でパッケージ買いして、全試合を無料でネット配信。一方で、日本代表のドイツ戦を中心にNHK、コスタリカ戦をメインにABEMAと資本関係のあるテレビ朝日、スペイン戦などはフジテレビに切り売りした。

「ビデオリサーチの調べでは、NHK総合が生中継した11月23日の初戦、ドイツ戦の視聴率は35.3%(関東地区)。W杯で過去最高だった2002年日韓W杯の日本対ロシア戦(66.1%)には及ばなかったものの、このドイツ戦にはABEMAテレビ視聴者は含まれていません。若い世代は、元日本代表の本田圭佑氏が解説するABEMAのネット中継をスマホやタブレットで見ており、合計すれば最高視聴率更新とする見方もあります」(専門誌記者)


そんなABEMAの独占放映権獲得の原資となったのが、親会社、サイバーエージェントのインターネットゲーム『ウマ娘』の収益だ。同社の昨年度のモバイルゲームの売り上げは、世界3位の約9億6500万ドル(約1096億円)。ウマ娘が牽引し、グループ全体の昨年度の連結売上高は6664億円。前年比39.3%増で過去最高値を更新し、連結営業収益は1043億円に達した。


「ABEMA自身も今年は、6月の那須川天心と武尊の格闘技対決(東京ドーム)をペイパービューで独占生中継した。結果は、満員の観衆と(5万9000人=約20億円)、民放局の予想をはるかに超える有料視聴者50万件(約25億円)。宣伝やチケット販売はスマホで行い、決済もドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめ払い――実に効率のいいネットテレビの優位性を実証した」(前出・デスク)


これまでABEMAを使って地上波局が扱わなかった将棋、麻雀、釣り、競輪、大相撲全取組、記者会見などを中継し、新たな視聴者層を開拓。グループ全体の業績アップにつなげてきた藤田氏。そんなカリスマ経営者の「次の一手」はどこにあるのか。

世界展開に向けての買収

すでにサッカーのFC町田ゼルビア(J2)のオーナーとなっているほか、中央競馬のセレクトセールで名血の高額馬を立て続けに競り落とすなど、Jリーグやクラシック制覇も視野に入れている。だが、側近事業者によると、「MLBの球団取得が本命かも」という。

「一時は本社が近いプロ野球・ヤクルトスワローズの買収に動いた時期もありましたが、インターネットゲーム事業の世界展開を目指し、ターゲットをMLBの球団買収にスイッチしました。折しも、大谷翔平が所属するエンゼルスが売りに出ており、同社の米国展開戦略と重なった。MLBでは、任天堂がマリナーズの筆頭株主だった時期もあります。藤田氏も、そのあたりを目指すのでしょう」(スポーツアナリスト)


米メディアの報道によれば、エンゼルスの現オーナー、アルトゥロ・モレノ氏の売却希望額は30億ドル(4170億円)。藤田氏単独の買収は現実的でないものの、旧知の三木谷浩史・楽天会長やホリエモンこと堀江貴文氏、投資家の前澤友作氏などの協力があれば、筆頭株主となることは不可能ではない。


「MLBの球団買収は、オーナー会議の承認が必要です。1998年に会社設立されたサイバーエージェントはまだ新興で、国際的な認知不足を補うために行ったのが、今回のW杯国内独占放映権の獲得だといわれています」(同)


ほぼ同時期に設立されたGoogleやFacebook(現Meta)は、世界的な企業になっており、藤田氏もまた世界規模の企業を目指している。その象徴が、大谷が活躍するエンゼルスの経営権獲得――。来オフ、FA権を得る二刀流の進路にも、大きく影響するのは必至だ。