両国国技館 (C)週刊実話Web
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元”問題力士”阿炎が28年ぶり「三つ巴」優勝決定戦から涙の下克上達成!

「1人横綱の照ノ富士がいないと、何が起こるか分からない」――場所前からこう言われていたが、まさかこんなことが起こるとは…。


今年の締めの九州場所(福岡国際センター)は千秋楽、14日目まで単独トップだった高安が敗れたため、貴景勝、高安、阿炎の3人による三つ巴の優勝決定戦に突入。3人の中で番付が一番下の阿炎が2人を破って初優勝した。


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三つ巴戦は28年ぶり、3場所連続の平幕優勝は史上初。6場所全部の優勝者の顔ぶれが違うのは31年ぶり、三度目のことだった。


まさに絵に描いたような下克上。以前の阿炎はテレビインタビューでVサインを作るなど、やんちゃ坊主そのものだったが、最近は手のひらを返したような優等生ぶり。


「迷惑しか掛けていないので、少しでも喜んでもらえたらうれしい」


土俵下での優勝インタビューでも、こう言って不整脈などの体調不良で入院中の師匠、錣山親方(元関脇・寺尾)を思いやり涙ぐんだ。

コロナ禍のキャバクラ通いがバレて…

有為転変の力士人生。一番の窮地は2年前の令和2年7月、コロナ禍で行動制限がされているさなかにキャバクラ通いがバレ、3場所出場停止処分を食ったときだ。この際、延命のために提出し、協会預かりとなった引退届は、いまだに相撲事務所の奥にしまわれたまま。

妻子と別居して部屋で暮らし、幕下から出直す阿炎に寄り添い、励まし続けたのが錣山親方だった。今場所中の秘話を阿炎は明かした。


「病院には電話できませんけど、毎日、メールで励ましてもらった。その日の一番に集中しろって」


先場所、これから先のことを考えて全休し、思い切って右ひじと左足首の手術に踏み切った。回り道にも思えるこの決断が逆に良かったのかもしれない。


「リハビリのつもりでやる」そう無欲で臨んだ九州場所は、得意の長いリーチを生かした突き、押しが面白いように決まり、白星を積み重ねた。


「もっと、もっと、強い相撲を取りたい」さらなる飛躍をこう誓った阿炎。この6場所中4場所の優勝ラインが12勝だったことでも分かるように、ドングリの背比べ状態は来年も続く。まだまだ第2、第3の阿炎が出て来そうだ。