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JRA重賞『ジャパンカップ』(GⅠ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

(C)JRA
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振り返れば、天皇賞・秋でルメール大将のイクイノックスが〝魔の1番人気〟の呪縛をついに断った、と思ったら、それからまた1番人気馬は連敗街道の憂き目に。あの頃、「トンネルを抜けたらまたトンネルだった、とならなければ良いが…」と文中で危惧したことが現実になっている。

先週も、前日まで1番人気は吉田隼ソダシだったが、レース前はルメールのシュネルマイスター。案の定(?)5着に敗退。一方、ソダシは呪縛から解かれたのか、3着の馬券圏内を確保し、明暗クッキリ。「大胆にソダシ切りで!」と予想した私は、天を仰いだ。

それどころか、勝ったレーンのセリフォスは3番手評価ぐらいで買い目に入れていたものの、2着の北村友ダノンザキッドはまるでヌケだもの。〝魔の1番人気〟の呪縛は相当深刻で、秋のGⅡ、GⅢにも感染し、天皇賞・秋以来10連敗中というのだから驚きだ。ただ全部馬券圏外かというと、そうでもなく、2着2回、3着3回と半分は馬券になっているから始末に悪い。単勝だけはハイリスク・ローリターンだからやめとけ、か。

で、いよいよジャパンカップ(JC)。第1回目から観てきて想い出深いのは、往年では、例えば1989年の勝ち馬ホーリックス(この頃は外国馬が強かった)に肉薄したオグリキャップかな。何せ前週のマイルCS優勝からの連闘だもの。「何でお前はそんなに無理矢理走ろうとするんだ!」と悲鳴にも似た声援を送った記憶がある。あとは、せん馬で優勝した94年のマーベラスクラウンか。この2頭ともご贔屓だった南井騎手(現・調教師)が乗っていたんだなあ。

それだけに乾坤一擲の勝負がしたい、と思うのだが、日本馬のGⅠ馬はわずか3頭で、メンバーはやや小粒。これじゃあ〝JC特別〟じゃねえか、という悪口は言わないよ(言ってるじゃん)。まあ逆に言えば、先週のマイルCS以上の大混戦必至ということか。珍しく4頭も出走の外国馬だが、日本の馬場は不適と見て(エリ女のマジカルラグーンはペケ)全消し。7歳以上もナシ。

“映画連想馬券”の本命はヴェラアズール

JCと相性の良い牝馬も日本馬で3頭いるのだが、マーカンドに乗り替わるデアリングタクトが復活するか、程度だ。〝侍ブルー〟がドイツを破る大金星。青枠を引いたことは吉兆か。菅原カラテ、国分優ユニコーンライオン、菱田テーオーロイヤルは東京の2400向きじゃなさそう。浜中ボッケリーニも、〝鬼門〟の大外18番枠では…。

と、消す馬を〝ざっくり予想〟して、軸はこのレースと相性良い天皇賞・秋で最先着(3着)の川田ダノンベルーガ。リーディング独走だった川田が最近、戸崎に13勝差まで迫られ、軽くヤバい? ここらで一丁、〝川田ここに在り!〟を見せるか。相手は、多分1番人気のシャフリヤール…ではなく(鞍上C・デムーロは東京の重賞と相性がなぜか悪い、のが少し厭。天皇賞・秋でもこの馬で5着だったし)、3番人気っぽいムーアのヴェラアズールを本線に。そして無視はできない前出シャフリ。

加えてGⅠではどうか、6歳馬だし、の声も承知で、武豊ハーツイストワール。あとは〝レーン・マジック〟が怖いダービー3着馬ヴェルトライゼンデ。最後に、前出の青枠で復活なるか、のデアリングタクトを少々。

さて〝映画連想馬券〟だが、対抗印のヴェラアズールから往年の女優ヴェラ・マイルズを思い出した。ミス・カンサス優勝からミス・アメリカ第3位となり、モデルから映画界入り。最近はそうでもないが、昔はミスコン出身の女優は多かった。巨匠ヒッチコックの『間違えられた男』(57年)で、強盗事件の犯人に人相が似ていたことで逮捕される男ヘンリー・フォンダの妻で、ショックから精神に異常をきたす役。冤罪の恐ろしさを描いて、社会派の色濃い一篇だった。個人的には『五人の札つき娘』(60年)の彼女が良かった。ジャンヌ・モローらと実際に頭を丸刈りにして、第二次大戦下、パルチザンと合流して奮闘する女たちの1人を熱演していたからだ。

買い目はダノン軸と言いたいが、一応③⑥⑩⑭⑮ボックス馬連&3連複で、⑭からは厚目ということで。⑧から⑥⑭⑮へ馬連、⑧から⑥⑭⑮へ3連複を少し。予想で唯一日本人騎手ワンツーの川田、武豊でゴォ~ル! なら好配当必至で、理想なんだけどなあ。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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