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日本全国☆釣り行脚~『マハタ』~茨城県神栖市/鹿島港沖産

マハタ釣り
マハタ釣り (C)週刊実話Web

鹿島灘の水平線から昇る太陽に大漁を祈願してからはや数時間。すっかり日が高くなってしまいましたが、相変わらずワタクシは何も釣れません。たまに竿先を押さえ込むアタリはあるのですが、気持ちがはやってしまい、エサを食いかけたであろう魚に逃げられてしまう始末です。

「そんなに焦らなくていいから、じっくり食い込ませてよ~。まだチャンスはあるからね~」

船長からの優しいアドバイスに救われますが、さすがに丸ボウズは避けたいところ。もはやどんな魚でもいいから掛かってくれっ!

「魚礁のところに入ったからね~。オモリが引っ掛からないように、こまめに仕掛けの位置を調整してよ~」

マハタ釣り
マハタ釣り (C)週刊実話Web

船長からの指示が飛んで、周りの釣り人がそれまで以上にせわしなく仕掛けを動かします。いまだに釣果のないワタクシも見よう見まねで仕掛けを上下させますが、「ガツッ!」という感触で根掛かり…。また仕掛けとチャンスタイムを消費してしまいました。嗚呼…。

横で竿を出す釣友に超高級魚がヒット!

慣れない船釣りに苦戦するワタクシの横で、案内役の〝釣友の釣友〟が本命のヒラメを連発しております。

ヒラメがよく釣れる
ヒラメがよく釣れる (C)週刊実話Web

その様子を眺めるワタクシがよほど物欲しそうに見えたらしく、

「せっかく来たんだから、お土産に持っていってよ。自分の家のぶんはもう釣れたからお裾分け!」

と、1キロ強のヒラメを進呈してくれました。ありがたや~。

「乗った!」

ワタクシの横で竿を出す釣友が、会心のアタリをモノにしたようです。竿は手元近くまで曲がり、時折襲う激しい突っ込みに思わず身を乗り出すようにして、必死のヤリトリをしています。これがヒラメなら相当デカイのでは…?

やがて浮き上がってきた魚影は茶色くて平べったいシルエット…ではありません。やや紫っぽい黒色で、立派な背びれと大きな口。コイツは超高級魚のマハタじゃねぇか!

50cmを超えるマハタに興奮! 
50cmを超えるマハタに興奮! (C)週刊実話Web

50センチを優に超えるマハタに釣友は歓喜の表情を浮かべております。本命のヒラメにも引けを取らない、イヤ、それにも勝る超高級魚ですからそれも当然です。

さすがにこんな釣果を見せつけられては、燃えないわけにはいきません。しかし、その後はほかの釣り人もアタリが減り、昼前に沖あがりとなりました。

結局、ワタクシはめぼしい釣果を得られずおしまい。お慰みでいただいたヒラメが、貴重なお土産になってしまいました。前回賞味したヒラメはこうして手に入れた物です。無念…。

釣行から数日後、出先で顔を合わせた釣友からビニール袋に入ったタッパーを渡されました。何コレ?

「いや~この間のマハタさ~、何日か寝かせてから食べたら激ウマだったのよ。刺身としゃぶしゃぶにしたんだけど、まだ身の弾力もあってうま味もしっかり出て、酒が進んじゃってさ。飽きるほど食べたから、三橋さんにもお裾分けしてあげようかなって。だって釣れなかったもんねぇ(笑)」

気の置けない仲とはいえここまで言われると実に悔しい! ただ、それ以上にマハタ刺しの誘惑は強烈…。

ダメだっ、負けるな、オレ!

「いいの? ホントにいいの? イヤ~、持つべきものは友だねぇ」

数日前に釣った魚とは思えぬ身の弾力!

清貧の精神はマハタ刺しの誘惑に一瞬で駆逐され、気がつけば平身低頭でその袋に手を伸ばす自分がいました。だって、マハタ刺しなんて滅多に食べられませんから…。大人の世界は「負けるが勝ち」なのですよ。

帰宅後、ピンクがかった綺麗な白身を薄造りにし、まずはワサビ醤油でひと口。数切れ堪能したところでダシ汁にサッとくぐらせ、表面がやや白くなった頃合いでポン酢をつけてパクリ。

絶品のマハタ
絶品のマハタ (C)週刊実話Web
ダシ汁にサッとくぐらせて…
ダシ汁にサッとくぐらせて… (C)週刊実話Web

もう、何も言葉が出ません…。とにかくうまい! 数日前に釣った魚とは思えぬ身の弾力とうま味のバランスが最高です。いや~、いつもの安酒でいただくには高貴すぎる肴でした。

ロクな釣果を得られぬ釣行でしたが、船釣りならではの高級魚三昧に大満足。まぁ、ワタクシはおこぼれを頂戴しただけなんですけど。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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