『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』小学館
『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』小学館

『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』著者:鈴木エイト~話題の1冊☆著者インタビュー

鈴木エイト(すずき・えいと) 滋賀県生まれ、日本大学卒業。2009年創刊のニュースサイト『やや日刊カルト新聞』で副代表、主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め、『週刊朝日』『AERA』『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』に寄稿。
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――旧統一教会と安倍政権との〝癒着〟が発覚しました。どのような関係があったのでしょうか?


鈴木 2013年参院選において、安倍晋三首相(当時)が肝いりの候補者だった北村経夫氏への組織票支援を「直々に」教団に依頼。菅義偉官房長官の「仕切り」によって北村氏は、選挙運動期間中に、統一教会地区の教会2カ所で極秘に礼拝に参加し、講演を行いました。北村氏は教団票約8万票の上乗せで当選。安倍首相の依頼について記載された教団内部文書には「参院選後に当グループを国会で追求(原文ママ)する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるか、組織の『死活問題』です」との文言がありました。首相官邸・政権ツートップが教団側とギブアンドテイクの関係にあった形跡が窺えます。


――政治家が教団と関係を持つメリットはどこにあるのでしょうか?


鈴木 地盤がなく選挙に弱い政治家ほど、教団のマンパワーを頼りにします。教団は、地方議員時代から世界平和連合などを使って政治家の後援会を結成し、支援を行ってきました。選挙では、電話かけやポスター貼りなどを行う運動員を無尽蔵に派遣し、秘書や事務所スタッフも提供。政治家はそんな教団を便利な存在として重宝してきました。そして、その差配をしていたのが安倍氏や細田(博之)氏です。また従順な2世信者を使っての世論誘導を画策していた形跡もあります。

ようやく解散命令請求へ…

――ここに来て教団への〝解散命令〟が話題になっています。本当に実現するのでしょうか?

鈴木 岸田文雄首相がかなり前向きになりました。特筆すべきは、質問権行使後の教団の回答待ちの段階でも、事実関係が積み上がれば解散命令請求行使は可能だとしたことです。これらのことからも、関係省庁を総動員して解散命令請求に向けて舵を切ったのは間違いないでしょう。


――一方で旧統一教会と深く関わってきた政治家への追及は、なし崩しにされそうな雰囲気ですね。


鈴木 どの政治家が教団とギブアンドテイクの関係にあり、不適切な関係を結んできたのかを検証しない限り、前には進めないはずです。本書には、そのような政治家の疑惑に迫った軌跡が記されています。解散命令までには年単位の時間がかかります。法人が解散しても、組織の実権を握る韓国の宣教本部への送金ルートは複数あり、すべてにメスが入るかは微妙です。何よりメディアが教団の問題、教団と政治家の問題について報じ続けることが肝心です。


(聞き手/程原ケン)