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『マイナ保険証』普及に待った!? 開業医の半数以上が導入に反対する理由

Chinnapong
(画像)Chinnapong/Shutterstock

河野太郎デジタル大臣が現在の健康保険証を2024年秋に原則廃止して、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認等システムに一本化する方針を打ち出したことで、医療機関は〝てんやわんや〟だ。

「マイナンバーカードを健康保険証の替わりに使うマイナ保険証は、開業医にとってはマイナス面が多い。全国の51保険医協会・保険医会が加盟している全国保険医団体連合会は、オンライン資格確認等システム導入の撤回を求めています」(医療ライター)

千葉県市川市で発熱外来も担当する藤巻耳鼻咽喉科医院の藤巻豊院長が語る。

「患者さんの資格確認という観点から、マイナ保険証には賛成です。毎月、保険証が失効しているのに診察を受けた患者さんのレセプト(医療報酬の明細書)がたくさん戻ってくる。マイナ保険証導入で失効した保険の不正使用も防げます」

システム等準備も開業医側に負担が

藤巻院長のように、マイナ保険証導入に賛成する開業医がいる一方、先の全国保険医団体連合会は原則義務化に反対の立場だ。

「保団連の加入者は現在、10万7000人超。開業医の63%が加入している。ということは開業医の半数以上は導入に反対していることになる。マイナ保険証が導入されれば、患者は複数の医療機関を受診しても情報の一元化で同じような薬を処方される。これまで一つの病院の診察に納得がいかず次々に病院を受診する『ドクターショッピング』が困難になり、患者の少ないクリニックは患者獲得が難しくなる」(医療関係者)

ハード面でもオンライン資格確認等システムのパソコンを購入しなければならない。1台約53万円。パソコン購入費は補助金で賄えるが、全国の医療機関に導入すれば莫大な費用がかかるため、導入が頓挫することも考えられる。

「医療機関は患者がマイナ保険証を使用するために必要なマイナンバーカードを読み取れるカードリーダーも設置しなければならない。しかし、普及率は33.5%と進んでいないのが現状です」(前出・医療ライター)

マイナ保険証の普及への道は険しそうだ。

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