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LiLiCo☆肉食シネマ~『ザ・メニュー』/11月18日より日本公開

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『ザ・メニュー』
監督/マーク・マイロッド
出演/レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモ
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン

いや〜久々にぶっ飛んだぜ! 以前、このページで紹介した『LAMB/ラム』が今年の衝撃作ならば、こっちは最もイカれてる1本。

お金持ちしか参加できない伝説のシェフが振る舞う、離島での高級ディナー。来るお客といえば有名俳優や料理評論家、ザ・お金持ち、料理のうんちくを語りたがる人など、一癖も二癖もある面々。でも、共通していることは、みんながこの食事を楽しみにしていること。純粋に料理を堪能しに来たのか、はたまた自慢をするために来たのかは分からないけど、素晴らしい料理の数々に刺激されます。

が、しかし、この映画は芸術のような美しい料理をただ楽しむ映画ではありません! というのも、出される料理からお客のブラックな過去がどんどん暴かれるからです。シェフは一体、どうやって情報を手に入れたのかドキドキします。そして、シェフのドS加減も徐々にエスカレートし、料理が登場する度にレストランの雰囲気も不穏な空気になっていくのです。

映画を見れば理解できる行動

シェフは自信を持って、さまざまな極上料理を提供してくれます。食器にもこだわり、料理を研究し尽くし、誇りを持ってお客様に食べていただく。たしかに「とんでもないシェフの映画」ではあるんですが、よくよく考えると、このシェフは、ただ単に変なのではなく、言ってることの一部は正論かも…と思わせてくれる。私はこの作品を見て、いつもお世話になっているレストランのオーナーに思わず電話。「この前の○○料理、また食べたいです。最高においしかった」と伝えたら、「うれしい! シェフも喜びます」…と。映画を見れば、私が取った行動が理解できると思います。

この癖のあるミステリアスなシェフを演じるのはレイフ・ファインズ。ハリーポッターシリーズのヴォルデモートでお馴染みです。あの冷たさと、どことなく漂う切なさ、そして秘めた狂気。この役は彼以外には考えられない。

そして、お客のタイラーを、『アバウト・ア・ボーイ』に子役で出演したニコラス・ホルトが演じてます。私の一番好きなゾンビ映画『ウォーム・ボディーズ』では、ゾンビになりきれない男性を熱演。そして今回は、料理のうんちくばかり言って見栄を張ることが生き甲斐の男という、キャラクターの展開がすごく面白い。こんな人、周りにもきっといます!

外食好きなあなたが次にレストランに行くとき、今までと違う気持ちになることでしょう。見たら誰かと話したくなる1本です!!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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