企業経済深層レポート (C)週刊実話Web 
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2023年新春の“福袋”は衣類より食品へ!?〜企業経済深層レポート

今年も残り2カ月を切ったが、大手百貨店などは来年の初売りに向けた福袋の準備に余念がない。特に今年はコロナ不況を吹き飛ばせとばかりに、アイデア満載、奇抜な豪華福袋が目白押しだ。


その一つが鉄筋コンクリート造りのタイニーハウス(小屋)で、福袋は330万円(税込)。百貨店大手の髙島屋から発売される。流通業関係者が解説する。


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「この小屋の面積は約10平方メートルで、設置に必要な最低面積は約30平方メートル。造りは鉄筋コンクリートですが、実は3Dプリンター製というビックリハウスです」


3Dプリンターとは、デジタルデータをもとにして、立体的な物体を短時間で造形する機械のことだ。3Dプリンターを利用すれば、小さな部品から家屋までが簡単に作れてしまう。


今回の福袋企画は、3Dプリンター住宅メーカーのセレンディクスと髙島屋がタイアップして実現した。


3Dプリンターハウスの外観は球状の繭のような形をしていて、グランピングやリモートワークにも十分な空間がある。しかも造成や基礎を除けば、たった1日で完成するのだという。今回の福袋は1棟限定だが、希望者が多い場合は抽選販売となる。

一戸建て住宅にハワイ挙式…おもしろ福袋満載

このような奇抜な福袋が発売される背景とは何か。経営コンサルタントが語る。

「目下、日本の大きな課題の一つは、円安や物価高にどう対応するかです。セレンディクスは2023年に、3Dプリンターで1LDKの一戸建て住宅を約500万円で販売する予定です。近年は新築戸建てやマンション価格も右肩上がりで高騰中。髙島屋にとっては、ローコストの3Dプリンター住宅は、物価高騰への対抗策でありながら、話題性も抜群という、最高の商材です」


物価高騰対策を打ち出した福袋を販売するのは、髙島屋だけではない。


松屋銀座は、7億円相当のハワイの超高級コンドミニアムに宿泊体験できる福袋を発売する。価格は20万2300円(税込)で、1組限定だ。旅行アドバイザーが言う。


「航空券は自分で用意する必要がありますが、ハワイの5泊7日分の滞在権と、キャリーケースやアロハシャツなどの松屋商品がセットになっています。20万円強なら、絶対に超お得」


松屋銀座が販売する福袋では、ほかにも熱視線が注がれているものがある。宝石商が話す。


「松屋銀座が円安前に仕入れた2カラットのダイヤモンドは、現在の相場で1200万円相当。これを半額以下の550万円で福袋に。限定1個ですが、大きな話題になっています」


来年の福袋には、物価高騰だけでなく、もう一つのテーマが意識されているという。コロナ禍の「巣ごもりからの脱却」だ。


西武池袋本店が掲げるキャッチフレーズは「福袋でサイカイ(再開・再会)を祝おう」。コロナで長らく会えなかった人たちとの「再会」などの願いを込める。百貨店バイヤーが語る。


「そごう・西武は長らく結婚式が思うようにできなかった方たちのための福袋や、みんなが美味しい料理を囲める『再会食』などの福袋を準備しています」

お得な食品のサブスクも福袋に!?

前者は『八ケ岳高原 ウエディング福袋2023』と称し、価格は10万円(税込)で限定1個の抽選販売。百貨店バイヤーが言う。

「八ケ岳の邸宅を借り切って挙式ができるプランです。新郎新婦の衣装と宿泊代に、参列者10人の宿泊代と1泊2食の食事も含めた格安料金。コロナ禍で結婚式の中止や延期が相次いだカップルが多かったため、思い出の式を挙げてほしいという、そごう・西武の粋なはからいです」


後者の『再会食』としては、豊洲市場のカリスマ仲買人が目利きしたという『天然本マグロ福袋』が販売される。津軽海峡で捕れた本マグロの赤身、中トロ計1キロのセット。福袋は5万4000円(税込)、限定3個の販売だ。


そごう・西武に対抗するのは東武百貨店だ。こちらの2023年福袋のテーマは「家計を応援! 3年ぶりに3世代! 笑顔で集まれる1年に」だ。食品業界関係者が解説する。


「注目は一定期間、定期的に食品が届くサブスクリプション福袋。『サブスク果物福袋』は2万230円(税込)で、毎月1万800円相当の旬の果物が半年間、届くシステム。牛肉の『サブスク福袋』は3万円(税込)で、半年間毎月1回1万800円分を店頭で購入できます」


「食」の福袋では、ステーキ宮が『ステーキ宮の福袋2023』の予約受付を開始した。この福袋にはステーキ宮で利用できる食事券や、ドリンクバーの年間パスポートなど9800円相当を3890円(税込)で販売。福袋の提供数も3500個と太っ腹だ。


変わり種では、西武百貨店の『夢のノック体験&ベルーナドーム満喫福袋』。埼玉西武ライオンズの松井稼頭央新監督のノックが受けられ親子5組10人限定、2023円(税込)だ。百貨店バイヤーが言う。


「物価が高騰する以前は衣料品などの福袋が人気でしたが、来年は『食』の福袋が人気。庶民の懐事情が厳しくなっている証しです」


いつの世も福袋は家計の味方だ。