日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『オオクチバス』大阪府茨木市/大正川産~日本全国☆釣り行脚

小学生の時分、社会科の授業になると教科書に載っている臨海工業地帯の写真を見れば、「護岸の際を探ったら、メバルのデカイのがいるんだろうなぁ」と萌え、稲作の田んぼの写真を見れば、「脇の用水路がフナによさそう」などとトキメキ、公害問題で汚染されたドブの写真を見れば、「何か、とんでもないモンスターでもいるのでは…」などと妄想を膨らまし、ろくすっぽ授業などは聞いていなかったワタクシ。


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そんな性分ですから、大人になっても電車で移動の際には車窓に映る海、川、ドブなどのすべてが気になってしまい、「いつか釣ってみよう」という場所がたくさんあります。


京都から阪急電車で梅田に向かう際、茨木市駅を出てしばらく行くと渡る大正川も「いつか釣ってみよう」と考えていた場所の1つでして、所用で茨木に出掛けた折「せっかくだから釣ってみよう」となりました。


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昔は地図を見ながら胸を高鳴らせて現地に赴いたものですが、今はネットで航空写真の地図を見れば大体の予想はつきます。所用をササッと済ませてから駅前の喫茶店で軽く昼飯&一服。「せっかくだから最上流へ行ってみよう」と、バスで中穂積方面に向かうことにしました。


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紫明園東でバスを降り、歩くことしばしで墓地を抜けて、最上流となる長池の吐き出しに到着すると…「水がねぇ〜っ!」航空写真で水があるように見えたのは、実際はほんのわずかに流れる水に濡れた三面コンクリート水路の表面だったようです。とはいっても阪急電車から見える大正川は両岸にボサの茂った自然の雰囲気が残る小川です。ということは、このまま下ればどこかで水は増えるハズ。水がある所まで、ひたすら歩いてみることにしましょう。

迷わず行ってバス入れ食い

穂積小学校の脇を抜けてもまだ水はなく、「さすがにモノレールの宇野辺駅辺りまで行けば少しはマシになるのでは」と、さらに歩きます。が、モノレールの下まで来ても、まだ水はチョロチョロ。この川を行けば、どうなるものか。危ぶむなかれ、迷わず行けよ。行けば分かるさ。ありがとーっ! …結局、車窓で見た阪急鉄橋まで来ました。釣りになりそうなエリアはここら辺からなんですね。ま、実際に歩き通して来てみなけりゃ分かりませんからね。

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さてやりますか…。安物の渓流竿に簡単な玉ウキ仕掛けを結び、エサのミミズを緩やかな流れに乗せます。と、すぐにピョコピョコと玉ウキが揺れ、ブルブルッと釣れたのはブルーギルです。水のないところから歩き通した末のアタリは、なんとも嬉しいもので、さらに少し歩いてみます。すると、ボサが密集した「ここは間違いなし」といった、いかにもよさげな淀みに出ました。早速、ボサ際に仕掛けを入れるやいなや、待ってましたとばかりにスーッと水中に引き込まれる玉ウキ。軽く合わせると先ほどよりよい手応えで、今度はオオクチバスがハリ掛かりです。15センチほどのいわゆる「豆バス」と呼ばれる大きさですが、仕事帰りにチョイと遊びでやる釣りですから、これでも十分。仕掛けを入れる度に玉ウキが沈み、子供とはいえ、激しいファイトが身上のオオクチバスゆえ元気な手応えはなかなかに楽しいものです。

お金をかけず充実の1日

これで十分などと言いつつ、ワタクシも欲にまみれた俗物。ひとしきり楽しむうちに「もうちょっと大きいのがほしいの♡」と、大きめのミミズを選んでハリに付け、ボサ際ギリギリへ仕掛けを入れます。すると、ポワンポワンとウキが動き、そして勢いよく水中に沈みました。エサが大きいのでしっかり食い込ませるべく、1・2・3と数えてからダァーッ! で合わせると本日一番の手応え。

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右に左にと走る引きを楽しんで抜き上げたのは、20センチほどのオオクチバス。〝ちゃんとしたブラックバサー〟は相手にもしないような小バスとはいえ、皆さまご存知のとおりワタクシ〝ちゃんとしてない釣り人〟なのでこのサイズでも、もう十分に満足。仕掛けを入れればアタリの出る釣りについつい夢中になってしまい、気がつけば夕暮れ時に。そろそろ夕方のラッシュ時間も近くなってきたために、頻繁に鉄橋を行き交う阪急電車を眺めつつ竿を仕舞い、最後のほうに釣った魚を何尾か、今晩の酒のアテにするべくビクに仕舞って帰路に就くことにしました。


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帰宅後は、釣りたてのオオクチバスをフライにして晩酌です。もともとは食用として移入されたオオクチバスですから、フライはクセもなく、ごく普通の白身魚のフライといったところで美味。今日は1日よく歩いたこともあり、またオオクチバスのフライが旨いとあってビールも進み、ほどなくホロ酔い。大してお金もかからずに歩いて健康、釣ってストレス解消、楽しい1日となりました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。