かつて世間を騒がせた「2000年問題」や「2020年問題」。いずれもコンピューターシステム内部のバグによって生じるさまざまな問題として知られるが、最近耳にする「2024年問題」は全くの別物だ。
日本の運送・物流業界では、働き方改革関連法が2024年4月に適用される。これに伴って生じるであろう多くの問題点を総称したのが「2024年問題」。
適用後に懸念される最も大きなトピックは、時間外労働の制限だ。
新たな法律では、年間の時間外労働が960時間に制限されるが、これはすでに960時間以上の時間外労働をしているドライバーにとっては、収入減となることを意味する。
トラックドライバーなどの収入は、全産業の平均値よりも1〜2割少ないとされ、さらなる減収は切実な問題。別業界への人材流出にもつながり、人員不足がさらに深刻化する恐れがある。
管理システム等が間に合わない可能性も
雇用者側にとっても、月60時間以上の時間外労働については、賃金を割り増ししなければならず、また非正規雇用者についても正規雇用者と同等の賃金払いが必須に。人件費の高騰は避けられず、多くの運送・物流業者の経営を苦しめることが懸念されている。
しかし、迫るタイムリミットに対して、運送業界全体では対応があまり進んでいないようだ。
「2024年問題に向けて、労働環境や労働条件の見直しは必須ですが、それに対応するための勤怠管理システムの導入や、ITシステム導入による輸送効率向上などは、丼勘定などのアナログな慣習がまかり通っていた運送業界においては、なかなかハードルが高い」(業界に詳しい識者)
運送・物流業界の動向は我々の生活の質に直結する。「2000年・2020年問題」よりも、暮らしに大きな影響を及ぼすかも…。
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