日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『スズキ』東京都江東区/豊洲産~日本全国☆釣り行脚

ついこの間まで暑い暑いと言っていたのがウソのように、最近ではすっかり涼しくなりました。というより、朝晩などはうすら寒いくらいで急速に秋の気配を感じております。もっとも、もう11月なわけですから、当然と言えば当然なのですが。年を取ると日が経つのが本当に早く感じられて嫌ですね。


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さて、秋の訪れとともに好機を迎えるのが都市港湾部のスズキです。夏の暑い盛りには流入河川内や、ちょっと沖合いの水温が少しでも低めのところにいたスズキたちが、高水温が落ち着いてくるとともに港湾部で釣れるようになります。スズキといえばルアー釣りの定番人気ターゲットでもありますから、この時期になりますと閑散としていた港湾部にもルアーマンの姿が目立つようになり、好機を迎えたことが分かります。


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そんなスズキを狙って、今回は東京都江東区にあります〝豊洲ぐるり公園〟にやってまいりました。日が沈むのもだいぶ早くなり、日没間近の夕方に到着してみると、やはり好機とあってか海に面した護岸の遊歩道にはルアーマンの姿がチラホラと見てとれます。とはいえ、非常に広い護岸ですから釣り場は広々、他の釣り人を気にすることなく竿を出せるのがこの釣り場のいいところ。早速、安物のコンパクト竿(リールとセットで1980円)を取り出し、市販の胴突仕掛けを結んだらエサのアオイソメを付けて護岸の際に仕掛けを落とします。スルスルと仕掛けが落ちて着底。水深は6〜7メートルでしょうか。


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もともとは東京ガスや石川島播磨重工業(現IHI)の敷地であったエリアゆえ、当時は大型船の出入りがあったことから水深は十分。直線にして1キロメートルほどはある広い岸壁のどこかに魚は付いているハズですから、ゆっくりと岸壁際を歩いて探っていくことにしましょう。

まずはクロダイ続けて本命も

美しくライトアップされた豊洲大橋を眺めつつ、背後ではオープンエリアで飲食を楽しむ賑やかな声と、お店から流れる程よいBGMを聞きながら探るうちにクンッ! とアタリがありました。ベイエリアの観光地らしいムードから一気に釣りモードに引き戻されます。息を殺して待つうちに、ひときわ強いグンッ! で竿を煽るとハリ掛かりです。下へ下へと突っ込む力強い引きをいなしつつ、リールを巻き取り、水面に出てきた魚は…スズキではなくクロダイです。

クロダイ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

まあ、これはこれで嬉しい1尾なので慎重に玉網を出して取り込み。護岸に上げてメジャーを当てると40センチジャスト。「こりゃ幸先のいいスタートだわい」と血抜きを施してクーラーへしまい、再び護岸を探っていきます。この界隈は河口に当たるため、スズキのみならずクロダイの魚影も濃いんですな。


クロダイならクロダイで、もっと大きいのもいるハズ…と、より丁寧に際を探っていくと、コンッ! と小さなアタリを感じたような。少しでも違和感を感じたときは止まって様子を見よ(個人的見解)、と歩を止めてジッと待つことしばし。再びクンッとアタリが出た直後にフワ〜ッと急に軽くなりました。食い上げのアタリです。


すぐにリールを巻きながら合わせると、今度はグイーン! と下に向かって突っ込みます。こりゃイカンと、リールのスイッチを切ってハンドルを逆転、糸を出して対応します。

都市部の魚を刺身で一杯

先ほどのクロダイより重量感があるうえ、右に左にとよく走るので、おそらくスズキでしょう。強い引き込みには糸を出しつつ、巻いては出してを繰り返しながら慎重に巻き上げてくると、街灯に照らされた水面下でギラリと長めの魚体が反転。やはりスズキです。水面近くまで上がってくると今度は豪快にジャンプ! これがスズキ釣りの醍醐味でもありますが、この〝エラ洗い〟と呼ばれるジャンプでバラしてしまうこともあるのでヒヤリとします。

スズキ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

ひとしきり足下で激しく暴れるのをやり過ごして、ようやく無事ネットイン。力強い引きのわりに、上げてみれば50㌢ほどとそこまで大きくもありませんが、肉付きのよい魚体は旨そうです。先ほどのクロダイと合わせれば1人で食べるにはもう十分ですし、まだちょっと釣り足りない気もしますがこれで竿を納めることにしました。


クロダイとスズキの刺身 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、持ち帰ったクロダイとスズキはともに刺身で賞味です。都市港湾部の、いわゆるドブスズキ、ドブクロダイなどともいわれるこの魚たちではありますが、クロダイは程よく脂が乗り、またスズキは淡白で上品。どちらも美味で酒が進みます。これから秋の深まりとともに面白くなる都市部の港湾エリア。仕事の後のストレス解消に、チョイと竿を出すなどというのもよいかもしれません。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。