(画像)tadamichi/Shutterstock
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「札幌女子大生死体遺棄」殺人容疑で再逮捕の容疑者、捜査の妨げになっていた“悪癖”

手元に1冊の卒業文集がある。そこには〈将来の夢〉と記されたタイトルで「ぼくは、将来、お父さんのいた、海上保安庁や自衛隊、警察官などの国家公務員になるのが夢だ」の一文で始まる。


文集の真ん中で笑顔を見せる男子児童が40年後に世間を震撼させる事件を起こす元自衛官の小野勇容疑者(53)だとはこのとき、誰が想像できただろうか。


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北海道札幌市内のアパートの1室で絞殺された女性の遺体が発見されたのは、10月8日だった。


「部屋から見つかったのは小樽市内に住む女子大生・瀬川結菜さん(22)の遺体です。死因は窒息死。警察はその場で死体遺棄容疑で小野勇を逮捕。小野は事件前の9月末にも瀬川さんと会っていた」(社会部記者)


2人を繋いだのはSNSだった。


「SNSでは昨今、共通の趣味を持つ人同士でオフ会などが行われています。今回の事件も『#死にたい人と繋がりたい』、『#希死念慮』などと瀬川さんが呟いたのを見つけた小野が『いいね!』を押したことで2人は繋がりました」(同)


つまり、自殺願望を持つ人間同士がSNSを介して知り合った背景があるのだ。


実際、小野容疑者とSNSを介して出会ったことがあるアイドル系美人のA子さんがこう打ち明ける。


「小野と直接会ったのは2年ほど前です。その前にも1年以上、DM(ダイレクト・メッセージ)でメッセージのやり取りをしていました」

女性に対する執着が凄かった!?

この女性が小野容疑者と出会ったきっかけも『#死にたい人と繋がりたい』というものだった。

「小野は〝自分は親不孝者だ〟〝傭兵時代に人をたくさん殺めて後悔している。だから死にたいんだ〟と本当かどうか分からないことを言ってましたね。また、小野自身が病院で処方してもらったうつ病の薬を1シート、1000円ほどのお手頃価格でSNSのDMを介して売っていた。それもネット上のメンヘラ女性を惹き付ける手段になっていたと思います」


小野容疑者はSNS上のプロフィル欄に《心優しき死神でありたい》、《送り人》などと書き込んでいた。しかし、小野容疑者がSNS上を徘徊していたのには「別の理由がある」とA子さんは断言する。


「女でしょうね。そこに対しての執着心は凄かったです。私も〝結婚していなければ付き合いたい〟と口説かれました。また、小野は自分でタトゥーマシーンを持っているほどのタトゥー好きなんですが〝女の人には彫りたいけど男はいらない〟とも語っていました」


小野容疑者とかつて同じ住宅リフォーム会社で働いたことがある男性も、同じように語る。


「一緒にスナックに行って飲んだ次の日には隣に座ってくれた女の子のことを〝俺のカノジョ〟とか言ったりしていて…。こいつ、バカじゃないかと思いましたね。小野は身長160センチくらいで、体重が70キロほどある典型的な小太りのビール腹。癖っ毛で可愛げのないキューピーみたいな感じ。とてもモテるタイプには見えなかったね」


自衛隊を辞めた当時の小野容疑者は経済的にも困窮していた。


「住宅リフォームの営業なんて飛び込みの歩合制。基本給は10数万円。当時の小野は自衛隊時代にソープランドやキャバクラ通いで作った300万円ほどの借金があって、飯が食べられないから毎日2000円を会社から前借りしていたね」

嘘か現実か分からない投稿

営業成績も100人ほどいる営業マンの中で下から数えたほうが早かったという小野容疑者は、2年ほどで職を辞す。その後はホームセンターの販売員やタクシー運転手といった職を渡り歩くが、いずれも長続きしなかった。

「原因は小野の悪癖だったのではないか。小野はとにかく嘘をつく。リフォーム会社時代も〝俺は自衛隊で徒手格闘の教官だった〟なんて自慢していましたね。徒手格闘の教官を務めるような優秀な人間なら、数年で自衛隊を辞めないだろうと思っていましたよ」(同)


実は、この小野容疑者の悪癖が捜査の妨げになっているようだ。


「事件発生直後、北海道警は小野の自家用車であるスバル・インプレッサが止まっていたガレージを10人以上の鑑識を投入して念入りに1週間以上、調べていました」(前出・社会部記者)


それは瀬川さん殺害後に小野容疑者がSNSに、《僕なんかを信じてくれて手伝わせてくれた人たちには感謝している ひとり増えて3人になった》や《3人目かぁ…》といった複数人の殺害を仄めかす投稿をしていたからに他ならない。この投稿から連想されるのは2017年、神奈川県座間市のアパートで男女9人の切断遺体が発見された殺害事件だ。


先のA子さんも小野容疑者から「SNSで知り合った女性を殺したことがある」と打ち明けられた1人。


「こちらが何か聞いているわけでもないのに〝過去に2人殺したことがある〟、〝遺体は粉々にして捨てるからバレない〟と淡々と語っていましたね。それで直接会ったら腰に刃渡り8センチほどの折りたたみナイフをぶら下げているから、自分も殺されるんじゃないかと思いましたよ」


座間9人殺害事件の白石隆浩死刑囚との面会を記した『冷酷』(幻冬舎文庫)の著者でノンフィクションライター・小野一光氏の話。


「自殺志願者を次々と殺害した白石死刑囚は、強制性交を行うという目的を抱いて、被害女性を募っていました。今回の小野容疑者も、そのような目的だった可能性は否定できない。現在、過去の余罪について追及されているはずですが、自己顕示欲が強い印象があるため、虚偽の申告であった可能性はゼロではない。室内に残された指紋や微物などの証拠がないか、慎重に捜査していると思います」


この事件の闇は深い。