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『高倉健からアホーと呼ばれた男』(かや書房/本体価格1980円)~本好きのリビドー/昇天の1冊

『高倉健からアホーと呼ばれた男』(かや書房/本体価格1980円)
『高倉健からアホーと呼ばれた男』(かや書房/本体価格1980円) (C)週刊実話Web

高倉健が逝ったのは平成26年11月10日。七回忌にあたる年、『高倉健からアホーと呼ばれた男』(かや書房/1980円+税)と題された1冊が発売された。

サブタイトルは『付き人西村泰治が明かす――健さんとの40年』。私生活まで共にしてきた人物が、昭和の銀幕スターの知られざる素顔を語っている。

同書に掲載された西村泰治の写真は、強面でヤンチャ気質の昭和の男という風貌。その男の肩に手を回し、満面の笑みをたたえた健さんが表紙を飾る。その笑顔は、我々が映画で見たものとは明らかに違う。西村氏との関係の深さが垣間見られる。

内容に目を向けると貴重なエピソードの数々。西村氏は健さんの滝行に同行することが多かったという。滝行に赴く理由は、劇中とはいえバッタバッタと人を斬るから。つまり、殺した人たちの供養のため。ストイックな健さんの一面を物語る逸話だ。

ミステリアスだった大スターの飾らない素顔

だが、撮影で多忙な時の健さんはこう言う。「今日は十人くらい殺した。おまえが変わって供養してくれ」。西村氏「はい」。こんなユーモアあふれる話がてんこ盛りである。

「健さん最愛の女性は?」の章では、貫いた純愛のエピソード。誰を愛したのかは、手に取って読んでほしい。

『新網走番外地』『夜叉』『鉄道員(ぽっぽや)』など代表作の撮影の合間に撮ったオフショットも見どころ。どの写真の健さんも笑っている。ミステリアスだった大スターの飾らない素顔を、身近にいた男が伝える貴重なドキュメンタリーである。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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