将棋界の最高位を決める第35期竜王戦の7番勝負第2局は、10月21日、重苦しい空気に包まれて始まった。
注目は、藤井聡太竜王。将棋にあまり興味のない人でも「スゴい人」であることは知っているだろうが、その強さが説明しづらくなってしまったという。
「対局の流れが変わり、今までは圧倒的な強さで勝ち上がっていましたが、ここ最近は『第1局目を落とす、窮地に陥ったが逆転勝利』というスタイルになりました」(スポーツ紙記者)
今回の竜王戦7番勝負も第1局目を落としている。挑戦者の広瀬章人八段も強いのだが、藤井はここまではタイトル戦3棋戦連続で「黒星スタート」となっている。将棋のタイトル戦は、先に4勝した方が勝ちで最大7局戦う。藤井は過去2戦とも〝タイトル防衛〟を果たしたが、「5局目を迎えずに」という展開ではなくなった。
「今期のタイトル初戦に限っていえば、1勝3敗。圧倒的な勝率を誇る第一人者らしくない防衛戦が続いています。今期はスロースターターですね」(同)
10代でベテラン棋士を打ち破るすごさ
藤井は今回の竜王第1局を落とした後、
「際どい勝負に持ち込むことができずに申し訳ない。第2局では熱戦にできるように頑張りたい」
と、大盤解説会に集まったファンの前で頭を下げていた。
「これまで、起死回生の一手で逆転勝ちしてきたのではありません。ジワリジワリと窮地を抜け出し、またジワリジワリと相手を追い込んでいくような対局です」(関係者)
この「ジワリジワリ」が将棋を知る人にしか分からない世界観なのだろう。
将棋は50代、60代で「名人」と呼ばれる世界でもある。藤井のスゴさは10代でそのベテラン棋手を打ち破り、最年少記録を次々に更新。タイトルも総ナメにしてきたところにある。
「休憩中に何を食べたとか、将棋に関係ない点でも注目されました」(同)
簡単に分からなくなってしまったスゴさは、その一手にすごみが増したからか? 天才は凡人の理解できないところに行ってしまったのかも…。
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