(画像)Asti Mak/Shutterstock
(画像)Asti Mak/Shutterstock

“セルフレジ”による万引きが深刻化…ミスか故意によるものかの見極めが困難

スーパーやコンビニで、人件費削減のために導入されている、客自らが商品のバーコードをスキャンして会計作業を行う「セルフレジ」を悪用した万引き被害が、全国で多発している。


全国スーパーマーケット協会によると、セルフレジは2003年に大手スーパーで導入が始まった。昨年のセルフレジの設置率は23.5%。3月15日にLINEリサーチが全国の18〜59歳を対象にした調査では、セルフレジの利用率は78%に上る。


【関連】元巨人の投手が窃盗犯に転落した背景に見え隠れする「犯罪組織」の影 ほか

「アメリカではセルフレジで5人に1人が万引きしたというデータも出ている。2月には北九州市のスーパーでウイスキーなどを盗んだとして、60代の中学校教員が福岡県警に窃盗容疑で現行犯逮捕された。男は容疑を否認したが、商品のバーコードをスキャンしていなかった。男はセルフレジで何回も商品を盗んでいた常習犯」(警察関係者)


セルフレジを悪用した万引きは、バーコードを手で覆いエコバッグに入れる手口のほか、買い物カートの下に高価な商品を置いて精算せずに店を出るなどのケースもあるという。


「ただ、故意にレジを通さなかったのか、ミスなのかを見極めるのが難しい」(スーパー店員)

現状は厳しい防犯対策

大手スーパーなどではセルフレジに客を撮影するカメラを設置したり、かごの中身と会計後の商品の重さが同じかを検知するシステムを導入したケースもある。

「小売業界は、客との信頼関係で成り立っている。極端な防犯システム導入は逆に警戒心を与え、信頼関係を損なう。過度な防犯システムは、導入しづらいのが現状です」(同)


完全無人のセルフレジを実現しているユニクロやGUでは、『RFID』と呼ばれるタグの自動認識システムを導入。このタグが全商品に付いているため、会計コーナーボックスに入れるだけで自動的に精算、万引きの余地がない。


「しかし、タグ1個が高価。単価の低い商品を売っているスーパーやコンビニでは採算が合わない。他の防犯対策を講じるしかない」(流通ジャーナリスト)


完全無人化にも穴がある。